明治の文豪志賀直哉の短編に「清兵衛とひょうたん」という作品がある。清兵衛という少年が、ひょうたんを育ててその実を加工することに少年らしい熱心さで取り組み、大人顔負けの加工技術を持つようになるが、父親が彼の情熱をまったく理解せず、チクチク文句を言った挙句ある日清兵衛のひょうたんをすべてぶち壊してしまうという話であった。「明治の昔から、親ってのは子供が夢中になることを胡散臭くおもってたんだんだなあ・・・。」とその頃(今も)マンガばっかり読んでびりびり怒られていたので、親近感を持ったことである。さらに、その中で語られる清兵衛のひょうたんの加工テクがたいへんおもしろく印象的であった。
いわく、
「どぶに沈めて中を腐らせたひょうたんの口を切り、種を出し」「そのひょうたんを掘りごたつの中に入れて表面に汗をかかせ、」「すかさず父親の晩酌の酒の飲み余しで、丁寧にその汗を拭いていく」「それを、1週間以上続ける」というような内容だったと思う。おもしろそうだったので自分もやってみようと、ひょうたんの種を一袋植えた。が、お馬鹿な子供だったので、双葉が種の殻をかぶって出てきたのを助けてやろうとして種の殻を無理やり双葉から毟り取り全部枯らしてしまった。
志賀直哉は「日本文学史上NO.1の美男」といわれる作家である。確かにいいかげん爺になった写真でも、瞳がきらきらした美しい頭蓋骨の形をした顔が写っている。モテたらしい。さもあらん。