お客さまのtotto*さんも大好きだとおっしゃるアガサ・クリスティー。私も大好きです。
しかし根っから頭が粗雑にできているもので、「ミステリ」の部分は正直ほとんど飛ばして読んでいるようなものです。クリスティーの何が好きって何といっても雰囲気。イギリスの上流階級が繰り広げる紅茶とスコーンとサンドウィッチのアフタヌーンティー。カリカリに炒めたベーコンと卵のイングリッシュブレークファスト。カードゲームつきの晩餐会。そしてお屋敷で催されるハロウィーンパーティーやクリスマスパーティー。特にクリスマスパーティーはクリスティーが自伝で言っているように特別な思い入れがあるらしく、色んな作品の中に出てきます。んで、そのパーティーがなんとも言えず素晴らしい!
この「クリスマスプディングの冒険」は短編なのですが、それはそれは素敵な田舎の上流階級のクリスマスがでてきます。大量のヒイラギやヤドリギ。大きなクリスマスツリー。吊り下げられた靴下。暖炉の中で燃える丸太。牡蠣のスープに丸々と太った七面鳥の丸焼き。そしてクリスマスプディング。切り分けて上等のブランデーで作ったハードソースをかけて食すしろもの。イギリスではこのプディングにあらかじめ縁起物(ボタンとか指輪とか指ぬきとか)仕込んでおいて、誰に何があたるかで占いをするというゲームがあるのです。このお話の中ではその縁起物が重要な意味を持っていて、謎解きのきっかけになるのですが・・・
もう、謎なんかどうでもいい!という気分になるぐらい、クリスマスパーティーの描写がよろしいのですよ。出てくる食べ物、出てくる食べ物すべておいしそう。「古きよきイギリス」の伝統行事は、意味ありげで由緒ありげですごく楽しそうで上品。
正直言ってクリスマスパーティーが楽しかったことはあまりないのですが・・・「こういうのだったらいいなあ」と思わせる、文字通りのホームパーティー。ホームパーティー好きには必見の書でございます。