「椿屋敷」と名乗るぐらいですから、もう庭中畑中椿の木だらけです。今の時期だとその椿の木にどんどん実がなっています。
ご存知のように椿の実からは椿油が採れます。髪油によし、それと刃物の錆止め油にとてもいいのです。オリーブ油と成分が似ているといいます。薄くよく伸びて水をはじく膜を作ってくれる油なのです。
「この実を砕いて少量の水を加えて小鍋で煮詰めた液で、着物を洗い張りすると、生地を痛めずに綺麗にすることができる。特に大島紬によい」と聞き、うなりました。
去年亡くなってしまったお知りあいが、着物の仕立てと洗い張りが上手な方でした。その方はずっとこの「自家製椿の実洗剤」で高級着物の手入れをしてきたのでした。確かに50年も60年も昔の着物が、美しくしかし落ち着いた生地のままでした。
惜しむらくは、せっかくその方が「洗い張りを教えてあげましょうか?」といってくださっていたのに、当時のわたくしには余裕が無くて話を聞くだけで、習う事ができなかった事です。
今にして思います。あたしのばかばかばか。