伸たまき改め獣木野生の「パーム」シリーズ(現在パーム9.「蜘蛛の紋様」を連載中・新書館)であります。
「マンガを文章で説明する」というのはある意味愚かなことです。作者が文章で説明できるなら文章で表現しているからです。にもかかわらず、こうやってレビューを書いているのは、蔵書を整理していたらあふれる心が抑えきれず隔靴掻痒もいいところでも何かいわずにはおれなくなってしまったから。
とはいえ、文章ではとてもよさを説明しきれないマンガは数多く、その中でもこの「パーム」シリーズはピカイチかも。
まず主人公が説明できない。ジェームズ・ブライアンという天才児の生涯を大河ドラマでやってるんだけれど(1巻初版が1984年)、このジェームズの名前がマイケル・ネガット(これは本名)だったりジェイク(これはあだ名)だったり。マフィアの御曹司にして世界的天才児。元少年刑務所の主で、元心臓外科医の探偵カーターの助手にスカウトされて・・・・・・って、ここまででもうかなりてんこ盛りでしょ?
登場人物もみんなかなり変で、日系アメリカ人のカーターも腕力はまるでだめでしかも離人神経症なのに、やたらめったら弁が立って人妻と浮名を流すドンファン。アフリカの奥地からカーターに引き取られたアンディはあふれる芸術的才能を持ちながらまったくの野生児。しかもジェイムズを飼っていたライオン代わりに抱き枕にして寝ないと眠れないというわがまま。どうも二人の間には超自然的な絆があるらしい・・・・・・。もうこれでもか、これでもか、って設定。
でも、お話の運び方とか絵や文章はとてもオーソドックス。最初、設定を飲み込むまではたいへんだけれど、このリズムにはまると癖になってしまいます。んで、人生のかなりえぐいところまで切り込んで表現してるので、シリーズシリーズごと、ものすごく感動します。
特に「パーム3.あるはずのない海」と「パーム5.星の歴史ー殺人衝動」はものすごくよかった。読み終わった後、感動で身動きができないぐらいでした。
大河ドラマの「パームシリーズ」も、そろそろクライマックスが近いらしく、ジェイムズの出生の秘密も(衝撃!)暴露され、今はカーターの幼少期の話に入ってます。もう4半世紀近い連載になるわけだけれど、最初からラストは決まっていたらしいです。どうなるんでしょう?これは読まずにはおれません。
ごひいきは、体は小さいくせに超強気で口が悪いボンボン刑事フロイド・アダムズです。