おいしい関係

1205 「おいしい関係」(全16巻・槇村さとる著・集英社)でございます。「白のファルーカ」とどっちにするか迷ったんですがね。結局食い意地でこちらを選びました。

巨匠槇村さとるの王道。明るくて素直で頑張り屋の百恵ちゃん。亡くなったお父さんがたいへんなグルマンでありとあらゆるおいしいものを舌に叩き込まれたお嬢さん。彼女が惚れたのが何の変哲もない町の洋食屋プチ・ラパンのコンソメスープ。実はそこには3つ星シェフの織田がいたのだ!

超一流のフレンチを作る織田だが、コミュニケーションのとり方が下手で洋食屋の雇われコックにまで落ちぶれて(本人そうは思ってないらしいが)しまっていたのだ。その彼も百恵の明るさに触れていくうちに、だんだんと変わってきて・・・・・・・・。というのがメインの筋書き。

まあね、織田のひねくれ方も相当なもんだったけど、「さすが槇村さとる!」と思わせたのが、百恵を成長させる材料として出てきた女達のひねくれぶりの描写。特に加奈子さんと、ミキさん。二人とも最初「百恵に意地悪をするライバル(恋と仕事と)」としてでてくるんだけれど、槇村氏、この二人がひねくれていじけてしまった事情や背景を実に丁寧に描いてくれてます。「あああ、こんなの抱え込んじゃったら、そりゃ世の中をすねたくもなるよな」と納得。その上で二人とも百恵に救われるんだけど、そこらあたりも嫌味なくさわやかに表現してるところがさすが。

あと、織田の育ての親の強烈千代ばあとか、織田のライバル軽そうだけど実力派の高橋だとか、昔ながらの頑固料理人だけど筋は通すよ多峰さんとか、見所は多いよ。

槇村マンガに共通しているんだけれど「何もかも失って、もう何も希望がない」と一見思うような状況でも、「見方を変えればそれほど悪くない」と思わせてくれる。落ち込んだときよくこれを読むもんな。

でてくる料理がとてもおいしそうで、それだけでも一見の価値あり。

でも、これを描いたとき槇村氏本人は味覚障害だったそうな。にもかかわらずこのクオリティ。さすがプロ。

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