残念ながらうちには「何でも鑑定団」に出せるようなお宝はありません。
唯一母方の祖父が持っていた日本刀ぐらいがちょいと価値があるかな?でもそれだって真贋のほどはさっぱりわかりません。それ以前に日本刀なんてちゃんと手入れしてピカピカに研いでないと意味ないし。「口に懐紙くわえてトノ粉でポンポン」なんてしたくないしできない。んで、今、刀は日置の父のところにあります。これでいいのよ。物はあるべきところに行くべきなのだ。
というわけで、日本の骨董マンガの最高峰「雨柳堂夢咄」(既刊11巻・波津彬子著・朝日ソノラマ)なんでございます。1巻初版平成5年。15年も前だよ。寒波に襲われた正月早々から炬燵の中で読み返しました。やっぱりいいなあ~~~!
明治の終わり?の東京?の片隅で営業している雨柳堂という骨董屋さんが舞台なんですけど。でてくる骨董でてくる骨董、どれもかれもが妖怪じみてるんですわ。持ち主を選んで自分の意思でもって動くし。んでも、そういう「魂をもった骨董」が存在してもおかしくないようななんともいえない空気が雨柳堂にはあるんだよなあ。
その空気を何より醸し出してるのが、雨柳堂主人の孫息子、蓮。蓮くんは骨董とか物とかの意思がわかるし、それにまつわる由来とか人の心とかも全部わかっちゃうのです。どうやら十代らしいのですが、作者自ら突っ込んでるようにいつまでたっても成長しないサザエさん状態(笑)。でも、そういう飄々とした傍観者的でちょっと不思議な蓮くんのキャラが、時代を超えた骨董の想いを伝えるのに、とってもマッチしているのであります。
蓮くんのおじいさんをはじめ、出てくるキャラがみ~んなのんびり時代離れしてるのですが、それもまたよし。
基本は一話完結。その一話一話がとてもよくできていて、波津氏はほんと短編マンガの名手だと思います。特にころころした動物がでてくるお話は出色。大好きなのは「背守りの犬」と「お使い猫」。どちらもころころの犬と猫が大活躍。でも生の犬猫じゃなくて人の思いを託された物なの。そこがいいのよ~。
唯一シリーズめいた贋作師の篁と釉月のシリーズもまたよし。この二人の間どうなるんだろ?とはらはらドキドキしましたが、(でもゆっくりのんびりの連載なのでかれこれ10年近く読者ははらはらさせられたんじゃなかろうか?)決着がついたようでよかったよかった。
せわしなく世知辛い世の中を、ひと時でも忘れたいときにはお勧めのマンガ。まったく違う時間がここには流れておりますぞ。