「全天俄かに掻き曇り、現れたるは玉~梓ヶ怨霊~」(By南総里見八犬伝)
妖のものは暗いところが好き(ゴキブリか?)なので、昼日中に現れることはありませんが、夏の夕立前は別。黒いモクモクの入道雲の底がかかると、地表はあっという間に暗くなります。
蕩けるように熱せられた空気が生臭い風となって吹き、喧しかった虫の音がピタリと止む。そのときこそ昼の光に妨げられていた妖が、息を吹き返し蠢く瞬間なのです。
いろんな怪談で、この夕立前の何ともいえない緊張をはらんだシチューエーションを効果的に使ってますが、最近この「夕立の怪異」ってのは日本の気候があって初めて説得力があるんじゃないかと思い至りました。
だってさ、砂漠じゃ無理でしょ?ヨーロッパの夏とかも乾いてそうだしな。寒いとこももちろん無理だし、熱帯のスコールだと凄すぎてかえって怪異が出る幕ないんじゃないか?
温帯モンスーン気候の、ジメジメと湿り気のある夏に、ジメジメジトジトとした日本的な恨みをもった妖にこそぴったりの舞台設定だよなあ。
もっとも最近の鹿児島、亜熱帯といったほうがいいような夏で、今日もとんでもない暑さでした。夜11まで30℃から下がらないそうです。ちょっと空が暗くなったのですが降るまでには至らず。せめて雨降ってくれ。