ONE OUTS

Nec_0134 お知りあいに92歳の国会議員の未亡人がいる。この人が知る限りでは最強のギャンブラーである。何せほとんど歩くこともかなわないのに、毎朝ベッド上で日経新聞を読む。そして株を動かす。「昨日はン百万儲けましたよ。」なんてお話がざらである。亡くなった旦那様が徒手空拳の一文無しのときから糟糠の妻として支え、選挙参謀として何十年も過酷な国政選挙を勝ち抜いてきた。「選挙ほどおもしろい博打はありませんでしたよ・・・ほほほほほ。」

ONE OUTS(甲斐谷忍著・集英社・既刊14巻・ビジネスジャンプにて連載中)は既成の野球漫画のアンチテーゼとして描かれている。とにかく主人公の渡久地がなあ、ギャンブラーなのよ。一応ポジションはピッチャーなんだけど、球速120kでしかもストレートしか投げることができない。どうよ。いまどき甲子園球児ですら150kの球を投げるご時世によ。やってけるのか?プロとして?・・・・・。それが、渡久地は決して負けない。勝負師なのだ。悪魔的な洞察力で、相手の心理、弱点を読み、天候など自然現象まで利用して、裏の裏の裏をかく息詰まる心理戦。「エーッ?野球規則にこんなルールが?」舌を巻きますぞ。野球選手としての渡久地そのものがすでにギャンブルで、オーナーと「ONE OUTS契約」なるギャンブルをしてる。「おれがワンナウト取る毎に500万支払ってもらう。逆に失点したらアンタに5000万支払おう。」野球そのものが賭博性の高いスポーツだ。高野連が何と言おうとね。満塁走者一掃ホームランで一気に4点入るんだもんな。それに加えてこの作品じゃ、その野球を囲む世間とも賭博をしている。しかも勝つ。痛快。

作者の甲斐谷忍氏は鹿児島出身で、さりげなく甲南高校がでてきたりしている。薩摩隼人でしかも工学部だったらしい。まあ、そのせいではないだろうが、とにかく女が一人もでてこない。一人もだ。それこそこのご時世に青年誌でお色気ヌードの一つもなくて大丈夫なのか?と心配になるほどすがすがしい。いや、鹿児島男だから女が描けないんでしょ?なんて言ってないよ。ほんと、一言も。

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