子供の頃、よく遊んでくれた近所のお姉さんが、「これを舐めてん」と秘密めかして教えてくれたのがツバナでした。「甘かよ」。
そういって差し出された、まだ苞の中に包まれたツバナの穂は、どうみてもススキなんかの穂と同類で「甘い」味とはまったく縁遠いシロモノに見えました。
おそるおそる口にくわえてみると、まだ外に出ていなかった若い穂は、湿り気があって青臭く、くちゃくちゃ噛むとほんのり甘みがしました。
「ほんのこてじゃ!」
ちょっとびっくりしましたよ。
大人になってツバナが万葉の時代から「甘味」(とくに根っこですが)と滋養と利尿の薬として使われてきたこと、サトウキビ属と近いイネ科ウシクサ属という種であることを知り、そういうことが気負うことなく身近に伝えられ続けてきてたんだなあ、と一種の感動を覚えました。今はどうなんすかね。