「鹿児島ではヘチマを糸瓜といって、汁の実にしたり、味噌炒めにしたりして食べる」 というと、余所の土地の人たちは「えー――?なんであんなものを?筋があるでしょ?固くない?」などとおっしゃいます。
どうやらヘチマたわしの印象が強くて、「あのスジスジを煮込んで固いのを噛み切る歯の丈夫な鹿児島人」というのを想像するらしいです。
違います。
若い糸瓜の実を煮たり炒めたりすると、ふわふわドロドロに柔らかくなるのです。なんともいえないまとわりつくような柔らかさと青い瓜の香りで、他にこんな食感のものの例えがみつかりません。「歯の弱い年寄りほどこれが好き」と言えば、その柔らかさはわかっていただけますでしょう。
苦瓜は沖縄のゴーヤーとの兼ね合いで全国的に有名になりましたが、糸瓜はまだ郷土食です。ヘチマそのものはほぼ全国的に植えられているはずなので「食べれば良かて」とも思いますが。どうなんだろ?鹿児島の暑い夏と日差しとヘチマ棚、麦入り味噌、これがあって初めておいしいと感じているのかもしれません。
なんでもその土地で食べるのが一番おいしいもんです。