紫苑の花
去年も申しましたが「紫苑」の名は、一昔前はよく怪しいボーイズラブマンガの根暗な一癖ある美形少年の名前に使われていました。「なんでこの花の名前がゲイの話にこんなに使われるんだろうか?」といつも考えておったのですよ。(まったくくだらんことに頭を悩ませることよ)
漢字の字面が「紫」と「苑」なのも、そこはかとなく高級感やノーブル感を漂わせていますが、なにより「シオン」という言葉の音の感じが「反逆の美少年・ちょっと国籍不明の異教徒っぽいよ。」という意味を誘発しておるのではないかという結論に達しましたです。
なんといっても「シオン」は、「シオニズム」の語源にもなったイスラエルの聖地「神殿の丘」の別名です。旧約聖書に出てくるぞ。一説によれば「祇園神社」の「ギオン」の語源にもなったといわれる世界史的に年季の入った言葉なのです。
ご存知のように、ユダヤ人は国を失ってから2千年世界中を彷徨った民族です。いろいろひどい差別も受けたし、異教徒として虐殺の憂き目にも遭ってます。にもかかわらず昔から知恵とか富とか(要するにノーベル賞とか銀行とかダイヤモンド市場とかね)の動く場所を占めていて、カバラやオカルトの神秘主義の秘密も知っている(と思われているらしい)。
そんなこんなの二千年に渡って積み重ねられてきたイスラエル的な意味が、この「シオン」という言葉には込められておるのではないかと。
その意味の濃さが醸し出す雰囲気が、日本のボーイズラブを愛好する女たちの琴線に触れたのでありましょう。なにせボーイズラブの分野ほど「『お耽美』がすべて」で「宗教やイデオロギーが話の味付け以外の何の意味も持たない。はっきり言って無効」になる世界はないからなあ。重い言葉であるはずの「シオン」が軽くなる、軽くなる。いや、その無責任さこそが「平和である」ということで実に素晴らしいことだと思っているんすけどね。
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