椿屋敷のお客様

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2008年1月 4日 (金)

SWEETデリバリー

14 「ヤング・ユー」という雑誌が女性誌の天下を取っていた時代がありました。綺羅星のごとく槇村さとる先生だの山下和美先生だの逢坂みえこ、岩館真理子、桜沢エリカ、谷地恵美子、・・・・・そうそうたるメンバーが連載していた雑誌でした。「ハチミツとクローバー」も「キューティー」休刊後、「ヤング・ユー」に身を寄せておりましたのです。

その「ヤング・ユー」がまさかの休刊!ほんと世の中何が起こるかわかりません。出版不況とは聞いていましたが、まさか集英社の「ヤング・ユー」がそのあおりを受けるとは・・・・・・。

鴨居まさね氏は、その後期の「ヤング・ユー」が産んだ異才です。

ふにゃふにゃした線でいながらリアルな絵。ぎりぎりのところでセンスのいい画面構成。そして、「え?そんなことが、こんなところの舞台裏で」とか「え?そうやってできてるのこれ?」とか雑学とコネタ満載でいながら、女心を外さないストーリー展開とか。「ヤング・ユー以外じゃ、この人なかなか息できないだろうな・・・・・」と思っていたら、最近「YOU」で田辺聖子原作のマンガを不定期連載始めました。鴨井氏の雰囲気に田辺氏の小説はぴったり!よかったよかった。いい選択だと思います。

鴨井氏の傑作「SWEETデリバリー」(全7巻・集英社)。「雲の上のキスケさん」(全3巻・集英社)とどちらを取り上げるか迷いましたが、こちらにしました。どちらもキャラが立ってておもしろいんだけど・・・・・・。

「SWEETデリバリー」は小さな手作りウェディング会社の名前。社長(兼カメラマン)のマコトと副社長で恋人(兼ドレスメーカー)のミヨコさん、そして飾るものなら何でもござれのデコラちゃんとお花の達人マヤさん、4人だけの会社だけれど、なにせ人生の一大事「結婚」に関わる会社。お客さんたちの間でもそして社員達の間でも次から次へとトラブルあり、涙あり、感動あり。なんでもなさそうなそういう小さな会社の日常を、これほどリアルにおもしろく読ませてくれる話術は天下一品!

特に「かわいいけれど女からは反感買うかわいさなのよね~」などと自らののたまうデコラちゃんの「仕事も男も中途半端なんだよ~」みたいな焦りや嘆きがとってもリアルで(それがいまだに自分にとってリアルだってとこが情けないんだけれど)、読ませてくれますよ~。こういうタイプの女の子、近くにいたらぜってえ友達になってないけど(笑)。

マコトと7年の長い春なのに、いまだに思いがこみ上げて「オエッ」となるぐらい愛してる情の濃いいミヨコさんとか、おうちが金持ちでだんながカメラマンで、留学でも何でもばんばんしちゃうほど恵まれてるけど「技術の出し惜しみはしないの。他のとこで自信あるから。」とデコラちゃんを弟子にしちゃう強力無比なマヤさんもたまらん良し。いずれも鴨居ワールドの住人で、なんともいえん味があります。

だまされたと思って一度お試しあれ。最初は「なんだこのふにゃふにゃの絵は~」とかとっつきにくいかもしれませんが、はまること請合います。ぜひぜひどうぞ。

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