野分
源氏物語の「野分」は台風前後の話である。時の権力者となった光源氏の邸の台風見舞いにうかがった柏木は、折からの強風で巻き上げられた御簾の向こうに、美しい女三宮の姿を見てしまう。女三宮は形式上とはいえ光源氏の妻の一人。絶対に懸想してはいけない相手にもかかわらず、そこがつける薬がない恋の道、とうとう思いを遂げた柏木。案の定その一夜で女三宮は子を身篭り、光源氏の知るところとなる。激怒する光源氏だが、実は光源氏とて若かりし頃、義母に懸想してあまつさえ子を産ませ、その子が今上帝となっているのである。人のことを怒れた義理ではないのであるが・・・。怒りのおさえようもなく、柏木にありとあらゆる精神的プレッシャーをかけて死なせてしまう。残された女三宮は柏木の子を産み、光源氏はその子を我が子として抱く。「あのとき父上はどんなお気持ちだったのだろうか?・・・」と思いながら。
源氏物語はそりゃもう果てしなくエロティックな話である。「うおおっ、すごい!」ありとあらゆる性愛と背徳を描きながら、とてつもなく美しい。
高校時代に古文で習った源氏。あれ何?なんで日本が誇る大河ロマンをあんなずたずたに切り刻んで、しかも一番おもしろくないというかイントロというかそういうところだけピックアップしてるの?その上恋愛のセンスも美意識のかけらもない、「文法命」な古文教師だったもんだから、「これはお経か?」と拷問のようにつまらなかった。「高校生にエロスはいらん。」ということ?光源氏は12歳で年上の女と結婚してるんだよ。
大学時代の友達に薦められて読み返し、「だまされた―――!こげなおもしとか本じゃったかあああ!」と叫んだ。
源氏物語、大好きです。娘の名前にも源氏から漢字を探し、長女、薫・次女、紫を使っています。
何が好きって・・顔を知らないのに人の噂や字を見て恋焦がれたり、
権力でいろんなことが可能だったり、結婚も叶わなかったり、そうゆういろんなしきたりも面白いし、
源氏の勝手な恋模様も大好きです(語り始めたら止まらない・・)
自分が当時のお姫様で、夜いきなり源氏が入ってきて「いとしい人よ・・」とか言われても
困るなぁ~と何度思ったことか・・ホント教科書には載ってないんですよね~
長女にはホントは葵という字を使いたかったんですが、葵の上があまりにも
はかない命だったのでやめました。
子供の名前の話をするとあきられますが・・
もし、男の子だったら絶対「光」を使う予定でした。残念!!
投稿: べにこ | 2005年9月 4日 (日) 09時23分
おお、べにこさん、かなりの「源氏フリーク」ですなあ。人の噂や字を見て恋焦がれる、そういうこと今でもありますよねえ。葵はやめて正解でしたでしょ。あと夕顔とかも。六条の御息所はホラーっすよねえ。女として気持ちがわからんでもないところがまた怖い。
投稿: 春 | 2005年9月 4日 (日) 12時44分
嫉妬にくるってしまう気持ちは解らなくもなく・・・
ただ男の人が来てくれるのを待つだけなんて・・・出来るかなぁ~
ホント耐え切れない生活かも。
第一、簡単に外出出来ないなんて・・・昔の女の人は大変だったなぁ~と
感じます。
平安は絶対男に生まれたい!と思ったりしました。
今は女で良かったです。勝手ですねぇ~
投稿: べにこ | 2005年9月 5日 (月) 10時44分
おぉ、、、いつ見ても春さんのブログは深いですね~。ためになります。確かに日本最古のエ○小説とも聞きますね~。
そういえば、コメントありがとうございました。鹿児島なんですねぇ。私は佐賀で、友人が笠沙町にいたので何度か行ったことあります。きれいな港、半島でした! あ、本題とそれちゃいましたが、また寄らせてもらいますね~。(ブログデザインを今日もまた換えてしまいました。秋モード( ^ ^ )v )
投稿: らぷた | 2005年9月 6日 (火) 01時14分
べにこさん>「外に出ない」ことと「外に出ることができない」ことはまったく意味が違いますよねえ。自宅大好き人間ですが、幽閉されたら気ィ狂います。今の時代では、いろいろあっても女のほうがいいですよねえ。
らぷたさん>ようこそいらっしゃいました。いえいえ、全然ためになりません。らぷたさんのブログのほうが世のためになッちょるでしょう。佐賀ですか・・・。モモは佐賀の方から譲っていただいた犬なのです。いいところですよね、今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: 春 | 2005年9月 7日 (水) 08時18分
「野分」から「源氏」につながるとは、いいですねえ、春さん。
お経・・・源氏物語もお経がしょっちゅう出てきますね。
私は仏さまにご縁が出来て以来、当時の仏教に対する意識が物語の随所に描かれているのをみつけては、ほくそえんだり頷いたり。
世界に誇る古典→エロティックな王朝絵巻→様々な煩悩を経て悟りを求めるに至る魂の遍歴、と3度、「源氏」の味わいが変化するのを楽しんでおります。これもなかなか。
江川達也氏が描く「源氏」は、ちょっとそのものずばり過ぎて、エロスが足りない気がしますが、春さんは読んだことありますか?
・・・読まなくてもいいかな。
ちなみに私は「朧月夜尚侍」に憧れました。
投稿: 麦の花 | 2005年9月 7日 (水) 23時25分
おお、麦の花さん。そうですよねえ。江川達也氏のは青年誌掲載てのもありますが、女には今ひとつでスよねえ。なにせあたしら雌鳥っすから。やっぱ、雄鶏には美しい羽をひろげてダンスのひとつもしてもらうか、歌を歌ってもらうか、こぎれいな巣や、きらきらしたプレゼント、、なんでもいいから雰囲気を作ってもらってぼーっとなったところで交尾したいっちゅうのが本能っす。「朧月夜」っすか。イナバっすねえ。
投稿: 春 | 2005年9月 8日 (木) 08時55分
朧月夜ですか、いいですねぇ~
私は性格が似ているので(愛情表現が苦手な所とか)葵の上を応援してたんだけど
やっぱりうまくいかなくて、でもそこが現実っぽっくってやっぱり葵なの。
すっごく愛されたい願望があって紫の上はいいなぁ~と思ったり・・・
でも今夜から夫婦です、って言わるのってかなり、つらい、かな。
根源は藤壺だし・・・
お姫様に憧れて読んでいた源氏なので、私の解釈はいつも女性が中心でした。
別の視点で読み返そうかな、と今回思いました。
投稿: べにこ | 2005年9月 9日 (金) 08時02分
べにこさん充分お姫様ではないですか?失礼ながら文章とかブログとか拝見しているとすごく品がよかですよ。一方的なイメージですが「明石の上」を想像してます。源氏物語の現代語訳はもー色んな作家さん(漫画家含む)が書いてらっしゃいますねえ。みなさんご贔屓はありましょうが、橋本治氏の「窯変源氏物語」が好きです。これは「光源氏の一人称」で書かれているという「それは盲点だったー」視点からかかれています。
投稿: 春 | 2005年9月 9日 (金) 18時29分
きゃぁぁぁ~~明石の上なんて!!うれしぃぃ!!
美人系を指名頂き、ありがたくコメント頂きます(かなりマニアックな会話かしら・・・)
橋本さんの早速調べてみます。
こないだ現代京都弁源氏物語が出たらしく、購入悩んでるところなので・・・
今夜から悩みます♪楽しい悩みだなぁ♪
投稿: べにこ | 2005年9月 9日 (金) 19時10分
現代京都弁というのも、心惹かれるものがありますなあ。京都に4年暮らしてましたが、京都弁田舎者には手におえん意地悪さでした。
投稿: 春 | 2005年9月10日 (土) 08時53分
「野分」夕霧が紫の上を垣間見する話で、柏木が女三の宮を垣間見するのは「若菜上」です。
投稿: casta | 2006年6月29日 (木) 21時43分
おおおおお、castaさん、その通りです!!ご指摘ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: 春 | 2006年6月29日 (木) 22時26分