椿屋敷のお客様

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2005年10月13日 (木)

モンキアゲハ

Nec_0091_1モンキアゲハが刀折れ矢尽きた風情で止まっていました。(もっともそうでなければ蝶々を写真に撮ることはできません)。

モンキアゲハの幼虫はミカン科の木の葉っぱを食べるので、彼女もうちのミカン科、レモン、かぼす、柚子、山椒etcに卵を産みつけていることでしょう。おお、来年が怖い。しかしここまで消耗しながらも目的を果たした姿、敵ながらアッパレ。弱っていてもつくづく美しい生き物であります。

山田詠美氏の小説の中で、幼い少女が同じように幼い想い人の少年に、蝶々をプレゼントされるシーンがあります。少年は少女を喜ばせようと、美しく大きな生きた蝶々の羽を毟り取り、鱗粉を撒き散らしながら細かくちぎって、紙ふぶきのように少女にかけるのです(!!!!!)。

これほど美しく残酷で強い表現があるでしょうか?少女は少年の自分への愛を知らされながらも、あまりの美しさに、残酷さに、言葉を失います。そして少年に感謝することも、責めることもできず、その場に突っ伏して嘔吐してしまうのです。―――ああ、こーんなちっこくても男は男で女は女だったんだなあ。少女が少年に求める愛と、少年が捧げる愛はすでにこんなに違う。その現実は残酷だけど、だからこそお互いがいとおしいんだなあ。――

短い簡潔な文章で、こんなにも的確に感動的に描写できる、山田詠美氏という人はすごいなあ。それ以来ずっと好きなのであります。

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