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2005年10月17日 (月)

カルバニア物語

Nec_0003_1 まあ、どう転んでもわたくしは女なわけです。身も心も。

ホモサピエンスの雌としての機能は全部備えているし、性同一障害で苦しんでいるわけでもない。女に生まれてきたことをラッキー!と思いこそすれ嫌だとは思いません。しかもどんどんそう思うようになってきています。子供の頃は三人姉妹の長女で「男やったら良かったてなあ・・・。」という言葉を耳タコな程聞きました。あの頃そういう心無い言葉に言い返すことはできませんでしたが、今は「ケッ」と鼻で笑ってやれます。だからって「男なんか何よ」とか「「男なんか最低」なんていうつもりは全く無し。今の世の中で「男」をやるってホント大変。だからこそ男の人が大好き。

というわけで「カルバニア物語」(既刊9巻・TONO著・徳間書店)です。カルバニアという架空の国の王室やその周辺を舞台に繰り広げられるラブコメディ――という謳い文句と、TONO氏のかわいい絵柄とあっさりした台詞回しに似合わず、かなり内容はシビアです。

カルバニア初の女王となったDカップ美女のタニアと、タンタロット公爵家の絶壁胸の男女エキュー(でも女装すると絶世の美女)が主人公。タニアが女王となるまでカルバニアは男系のみに相続権がある国だったのだけれど、公爵家のエキューパパが、最愛の妻の忘れ形見たるエキューに公爵家を継がせたい一心で、「女にも相続権」の象徴としてタニア女王の誕生に暗躍したといういわくつき。

エキューは惚れ惚れするほど男前な女ですが、そこはやっぱりお年頃の女の子、カルバニアのもう一つの公爵家のライアンと恋仲になります。このライアンとの最初の馴れ初めを描いた3巻が、そりゃもういいんです。3巻ではエキューはまだ子供で、それこそ男の子に混じって大暴れしまっくってましたが、そろそろ体に女の子の兆候が出てきて、仲間の男の子たちともだんだん歯車が合わなくなってきています(そういう経験のある身としてはここでまず「うっ」ときます。せつなくて。今まで犬ころみたいに一緒に遊んでたのにいきなり仲間はずれ。何でなのかわかんなかったなあ当時は。)そこを見初めたのがライアン。なんとその当時ライアンは少年愛好者で、エキューを男の子と間違えて自分の城へ連れ込んで・・・。なんでここから愛が始まるのかまっこと不思議なのですが、そこがTONOマジック。お話作りがすごく上手。エキューの感じてる自分の女としての成長への違和感と、ライアンの持つ女と父親へのトラウマがお互いに絡み合って、どんどん接近していく二人。でもそんな誤解から始まった関係はいつかは崩壊するもので、あることをきっかけにエキューが女の子であることをライアンは知ってしまいます。ショックを受けたライアンは思わず・・・。

女の子が女になっていくときのせつなさと、男の子が男であることを引き受けるときの責任の重さを、笑わせながら泣かせながら描いてくれる「カルバニア物語」は傑作です。そこのところでいろいろな思いを抱いたことのある人には、ぜひお薦めのマンガなのです。

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コメント

これって「Cha○a」に連載してませんでしたか?既刊、ということはまだ続いてるのですね。初めて読んだときは、まだ20代・・・だったかな?きゃー。

まだ続いているのですよ(笑)。まだ「Cha○a」も続いているし(なはは)。そろそろ10巻も出そうな按配です(ぬわははは)。きゃ――。

おおっ、TONOさんだ♪
確かこの人「チキタ」も描いてる人だったっすよね。
作品にはクセのあるキャラが多くて、何とも面白いです。

そうっす。「チキタ・グーグー」を描いてる人です。癖のあるキャラ多いですよねえ。大好きなんでほとんどコミックス持ってます。

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