椿屋敷のお客様

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2006年4月11日 (火)

きみはペット

Nec_0022_11 さて、幣ブログ「椿屋敷農園」をごらんになるとおわかりのように、わたくしのまわりは動物だらけです。猫と犬と鶏とヤギがおります。小さい頃からよく動物を飼う家でしたし、大阪で一人で暮らしていたときも、猫を飼ってました。飼っている動物達がはたして幸福なのかどうか、言葉をしゃべらないのでわかりません。いろいろ不満もあるのでしょうが、一緒にいてくれるだけでこちらは幸福です。というより「まわりに人間だけしかいない状況」がどうしても気持ち悪くてなじめないのです。自分では人間に接するのと動物に接するのとあまりテンションが変わらないように思います。動物がいると人間にも優しくできます。許すことができるようになるのです。自分にも他人にも。あれはとても不思議です。動物がいなかった時期もありましたが、そのときはとても心が不安定でした。懲りましたよ。

というわけでそのものずばり「きみはペット」(全14巻・小川彌生著・講談社)です。

昨年完結してまとめて読むことができるようになったので一気に買いました。やっぱりおもしろかったなあ―――。

・・・・・東大卒でハーバード留学で新聞記者のバリキャリのスミレちゃん。その肩書きと美貌でみんな気づいていないけれど、実は超不器用な性格。彼氏にも本音を吐くことはできなくて緊張しっぱだし泣くことすらできないの。そんなスミレちゃんがひょんな拍子に拾ったダンボールに入れられて捨てられていたモモ(仮名・スミレちゃんの子供の頃の飼い犬の名前・でも人間の20歳の男の子)の前でだけは、思う存分笑ったり泣いたり怒ったりできるの。だってモモはスミレちゃんにとってペットだから。他の人間にするように気を使わなくていいの。

これが人気をとってTVドラマにもなり大ヒットしたのがわかりますね。なんと心惹かれる設定でしょうか?女達が男社会の「会社」という組織で働き出したとき、もうダイレクトに感じることは「会社には7人の敵がいる」ってやつですよ。4大卒ってだけでそらもう男からも女からも叩かれるんですよ。この物語の中でもバリキャリのスミレちゃん、痛々しいぐらい緊張しています。もちろん周囲に違和感を感じさせる原因はスミレちゃん本人にもあるんだけど「悪意がある」ってわけじゃないのになあ・・・・・。実は会社って組織は「均質であること・平均であること」を要求するところだからなあ。

そのスミレちゃんの緊張を唯一解きほぐせる相手、ペットのモモは実は有望な若手ダンサー。結構要領のいいいまどきの男の子のはずなのに、彼も留学時代の後遺症のパニック障害を持っている。「自分が守り癒すことのできる相手がいれば症状が出てこない」ため、彼もスミレちゃんから離れられない。スミレちゃんのマンションで「男と女」ではなく「飼主とペット(文字通り)」として過ごす、まったりとして気楽なモラトリアム時間。そんななかスミレちゃんの初めての男の蓮實くんがあらわれ、スミレちゃんとの結婚話が持ち上がり・・・・・

結局それはそれはハッピーエンドで「よかったねスミレちゃん!!」というお話なのです。でも、ほんとうに身につまされるの。小川氏ただもんじゃありません。

あと思ったのが、「都会ってほんとに人間しかいなくなってきてるんだな―――」てことか。だってスミレちゃんのマンションペット禁止。モモが人間の男の子だから飼えたの。さらにさらに「あたしゃ――もう都会のマンションにゃ~住めねえ。」と心に刻みましたね。

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