椿屋敷のお客様

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2007年11月20日 (火)

ギャラリーフェイク

1120 というわけで、整理してたら出てきたぞ。「ギャラリーフェイク」全32巻(細野不二彦著・小学館)です。

1巻の奥付を見てみたら、なんと初版1992年。まだバブル崩壊の直後でジャパンマネーがも少しあった頃です。主人公の藤田もいきなりアタッシュケース満杯の札束もって登場してるし。1巻の藤田は悪そうだなあ~~~。

少年誌や青年誌には、いわば「ジャンルを問わないブラック・ジャック的主人公の系列」ってのがあって、

①主人公が金に汚い悪党(と見せかけた実は人情派)

②あるジャンルで世界的に通用する技術を持っている

③その技術を見込まれて世界中を飛び回っている

④基本は一話完結

という条件をみたすピカレスクロマンと見せかけた人情話が周期的に人気を博するのであります。たとえば「ザ・シェフ」とかこの「ギャラリーフェイク」とかです。

主人公が「その道の超プロフェッショナル」という設定なので、そのジャンルのオタク的知識が満載され、読者の知識欲も満足。「ギャラリーフェイク」も「美術界のあんな話、こんな話」が満載で、連載当初から「ほええええ!」と感心しましたが、バブル直後のど派手な話ばかりでなく、2005年まで続いた連載の中では「バブルの後始末の話」とか地道な話もたくさんあって好感が持てました。

主人公の藤田もなんだかんだいってホント人のいいおっさんで、連載当初は「あんたもう結構いい年なんだから、そんな突っ張らんでも」と思っていた性格もかなり丸くなり、ワインが熟成されるがごとく(といってもあたし酒飲めないんだけど)まろやかになってましたなあ。アラブの王族にしてギャラリーの助手、サラちゃんとは結局最後までキスだけだったけど。いつまでもほっとかないでちゃんと抱いてやれよ。

この手の話では、とにかく脇役が魅力的でないとどうしようもないんですが、その点も名手細野不二彦の抜かりはなく、一癖も二癖もある悪党や善人がてんこ盛り。特にお気に入りの脇役は「免許証からパスポート、パチンコの認証まで偽造なら何でもお任せのニンベン師」と、「出っ歯でちびすけ、国家公務員の名を持つ国宝オタク国宝Gメンの知念」「藤田以上にオタクはいってます。変態です。『世界の鼻』調香師のジャン・ポール・香本」です。

読んでて飽きない傑作だと思います。

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