ピンポン
正直、これを読むまで松本大洋氏は「ものすごく絵がうまくて才能があるんだろうけれどついていけない」漫画家さんでした。心のありようが天才の場所にあって、凡人にはついていけん、と。
「ピンポン」を読んで初めて、「ああ松本大洋のような天才にも、『天才』と仰ぐ相手があり、その相手に惚れたり失望したり人間らしいことをしてるんだな」と思ったのです。月並みな言葉ですがやっと感情移入できた、っちゅうこってすね。
それほど「卓球の天才(今はサボってくすぶってるけれど)ペコ」を巡る人間関係にはリアリティがありました。いうまでもないけれど特にスマイル。ペコがチャイナにもアクマにすらも負けて、ドラゴンには相手にもされず挫折して卓球から離れても「必ず帰ってくる」と信じ続けて、好きでもない卓球を続けるスマイル。ペコが速攻型でスマイルがカット型であるのはなんと象徴的なことでしょう!松本氏のすごいところは彼らすべての才能のみならず性格、心理、生き様すべてを、卓球シーンの絵のみで表現しているところです。凄い迫力。独特のクセのある絵なのだけれど誰にも真似できない。これこそ天才、と思いましたですよ。
何年か前、宮藤官九郎脚本で映画化されたので行きました。マンションから落ちる前の窪塚洋介がペコ役で、ARATAがスマイル役、そしてドラゴン役が中村師童。彼の出世作となりましたですが、その後のどんなドラマよりドラゴン役がぴったりだったんじゃないの?というぐらいはまってました。
うーん。連投ですがピンポンを逃すわけにはいかない。
かといってこの作品を短い言葉で語りつくせるようにも思えないので、今から読んできます。
では。
投稿: 708 | 2007年11月24日 (土) 10時10分
確かにこれだけの言葉じゃ足りないですね(笑)。それにしても708さんもこれのファンとは。この人はとんでもないところにファンがいたりします。
投稿: 春 | 2007年11月25日 (日) 06時33分