椿屋敷のお客様

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2007年12月 5日 (水)

おいしい関係

1205 「おいしい関係」(全16巻・槇村さとる著・集英社)でございます。「白のファルーカ」とどっちにするか迷ったんですがね。結局食い意地でこちらを選びました。

巨匠槇村さとるの王道。明るくて素直で頑張り屋の百恵ちゃん。亡くなったお父さんがたいへんなグルマンでありとあらゆるおいしいものを舌に叩き込まれたお嬢さん。彼女が惚れたのが何の変哲もない町の洋食屋プチ・ラパンのコンソメスープ。実はそこには3つ星シェフの織田がいたのだ!

超一流のフレンチを作る織田だが、コミュニケーションのとり方が下手で洋食屋の雇われコックにまで落ちぶれて(本人そうは思ってないらしいが)しまっていたのだ。その彼も百恵の明るさに触れていくうちに、だんだんと変わってきて・・・・・・・・。というのがメインの筋書き。

まあね、織田のひねくれ方も相当なもんだったけど、「さすが槇村さとる!」と思わせたのが、百恵を成長させる材料として出てきた女達のひねくれぶりの描写。特に加奈子さんと、ミキさん。二人とも最初「百恵に意地悪をするライバル(恋と仕事と)」としてでてくるんだけれど、槇村氏、この二人がひねくれていじけてしまった事情や背景を実に丁寧に描いてくれてます。「あああ、こんなの抱え込んじゃったら、そりゃ世の中をすねたくもなるよな」と納得。その上で二人とも百恵に救われるんだけど、そこらあたりも嫌味なくさわやかに表現してるところがさすが。

あと、織田の育ての親の強烈千代ばあとか、織田のライバル軽そうだけど実力派の高橋だとか、昔ながらの頑固料理人だけど筋は通すよ多峰さんとか、見所は多いよ。

槇村マンガに共通しているんだけれど「何もかも失って、もう何も希望がない」と一見思うような状況でも、「見方を変えればそれほど悪くない」と思わせてくれる。落ち込んだときよくこれを読むもんな。

でてくる料理がとてもおいしそうで、それだけでも一見の価値あり。

でも、これを描いたとき槇村氏本人は味覚障害だったそうな。にもかかわらずこのクオリティ。さすがプロ。

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コメント

こんばんは。
春さんって範囲広いわ…(^_^;)

槇村さとるは一時期ハマって、色々読みました。
(ダンシング・ゼレネーションとか、白のファルーカとか…)

「おいしい関係」も大好きで、ドラマ化した時はワクワクしながらみたのですが、がっかりな内容でした(´・ω・`)ショボーン

ちなみに千代ばあが米砥ぎをして、流れ落ちた米を拾い上げるシーンが好きです(マニアックww

僕の尊敬する料理人の一人が織田さんです。
他の面々ももちろん尊敬に値するんですが、「この人にはなれないな」と思うのです。
この本の中の人たちがきて楽しめるようなお店にしたいなーと思っています。

にょろさん、
いやあ、槇村さとるははまりますよね~~。結局ダンボール二箱槇村さとるですよ。
千代ばあが米を拾い上げるシーン、私も大好きです。

708さん、
うわああ、プロの708さんがそんなにおっしゃるのですか!すごいなあ。
お店、とても楽しみです。お体を壊さないように。

「ファルーカ」のレビューも読みたいなあ♪
槇村さとるさん、作品はもちろん素晴らしいけど、あのキム・ミョンガン氏を落としたってとこがなにより凄いと思います(^_^;)

「白のファルーカ」このダンボールの山のどこかに埋まっているはずなので、しばらくお待ちくださいませ。
キム・ミョンガンさんとの電撃結婚、ホントびっくりしましたよ。

>キム・ミョンガンさんとの電撃結婚、ホントびっくりしましたよ。
同じくです。何でだという感じでした。
で、昔の方が好きだったので、微妙に作風が変わってしまったような気がしてなりませんです。

今のバレエもの「ドゥ・ダ・ダンシン」は結構好きなのですが・・・・。この手のダンスものが槇村さとるはやっぱりいいなあ。

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