帯をギュッとね!
学生時代、体育会の合気道部でした(何を考えていたのやら)。柔道部と時間差で道場を使っていましたので、世にも臭い煮〆たような色の道着の耳が潰れた坊主頭の男達と道場練習のたびにすれ違ってました。柔道ってのは暗い重いダサいの極地のイメージがありましたね。このマンガが出るまでは。
「帯をギュッとね!」(全30巻・河合克敏著・小学館)です。1巻初版は1989年。
「ニュー・ウェイブ・ジュードー・コミック」の名に恥じない明るさと軽さ。でも技とか人間関係とか基本のところはとてもしっかりしていました。浜松の高校で粉河、杉、斉藤、宮崎、三溝の新入生が新しく柔道部を作って強くしていくというお約束の展開。でも、上級生がいないせいかどうか、この連中にまったくの悲壮感がなくて、とてもよかった。しかも女子マネージャーとして最初から保奈美と桜子がいて花も色気もありました。運動神経抜群の桜子なんかのちに新入生麻里ちゃんの練習相手として無理やり部員にさせられちゃってるし。
昔ながらの運動部独特の悲壮感、あれ、ホントうんざり。現実に体育会にいたのでいやというほど味わいました。何の意味もないプレッシャーだと思うけれど、日本社会のあちこちにはびこっていると思います。意味のないいじめ。派閥抗争。そんなものからまったく自由な浜名湖高校柔道部。いいよお~~~!
これで弱けりゃまた話が違うんだけれど、こいつら強いよ。全国制覇するんだもん。思えばスポーツマンガが「ど根性」一辺倒から「合理的トレーニング」に変わりだしたのがこの頃のような気がする。たぶん現実のスポーツ界も大変革があったんじゃないかな。
テクニシャン斉藤が好き。技のデパート斉藤が繰り出す柔道技の数々、思わず男友達使って実験してみたりしたなあ。あと、曉泉学園のオカマ言葉の永田とか大好き。桜子もよかった。県警の機動隊から浜高柔道部のコーチになった西久保さんもなかなか渋い。
コミックスの巻末は毎回読者からの似顔絵コンテストで、これがまたおもしろかった。本編はサンデーで読んでるので、コミックス買ったらここから読んだりしてたな。
作者の河合氏、今ヤングサンデーで「とめはね」という書道(!!)マンガを書いてます。「マイナー分野のマンガを書かせたら日本一」とどこかで読んだな。ほんとそうかも。これもおもしろい。書道なのに。
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