向き不向き
モモ(紀州犬雑種・6歳・♀)は、たいへん役に立ってくれる番犬で、タヌキにもイタチにも野犬にも猫にも一歩も引かず戦い、裏山を走ればでかい蛇を振り回したりで「おお、さすがに猟犬の血筋」なのですが。
鼠はあかんわ。鼠捕りはあんたにむかんわ。
うちの納屋は昔から鼠が出るところですが、納屋の前はモモの縄張りなので、鼠にひかれてメロン(白黒猫・一歳未満・♂)がうろうろするとすごい勢いで追っ払ってしまうのです。
「あんたなんかに用はないわよ!あの”チューチュー”はあたしが獲るのよ」ワンワンワン!!
あのなあ。みんなそれぞれ向き不向きってもんがあるのよ。まかせるところは専門家にまかせなよ。
「あ!こっちでチュー」「ん?こっちでチュー」って、そんなバタバタ走り回って、納屋の地面を掘り返したところで鼠が獲れるとは思えんぞ。ただただ穴が掘れるだけじゃん。あんたが掘り返した土を埋め戻すの誰だと思ってんのよ。
あんたが立派な猟の才能があるのはわかってるからさ、鼠だけはあきらめなよ。
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