椿屋敷のお客様

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2009年11月 9日 (月)

おれは鉄兵

091109 五人の子供がいるご家庭に、うちのマンガを譲ろうと整理中です。「おれは鉄兵」(ちばてつや著・講談社)もでてきました。「あげる前にも一度読んどこ」などと欲が出てなかなか整理が進みません。

10年ぶりぐらいに読みましたが、これまたびっくりした!!

なんかねえ、鉄兵とオヤジ、作中じゃ「埋蔵金探しのためにどん底生活を送っている」って設定のはずだったんだけど、なんかぜーんぜんどん底じゃないの。山の中で二人が住んでいる小屋は実際住み心地がよさそうよ。竈でおいしそうなご飯炊いて食べてさ。ドラム缶の風呂に入ってさ。ヘビやネズミやそのほかのペットまで飼ってやんの。お布団もちゃんと畳んで、ゴミも無し。こんなんいまどきのホームレスや引きこもりのほうがよっぽどひどい生活をしてると思う。

さらにいうなら鉄兵の学校生活。「野生児で授業に適応できず厄介者」という設定だったはずだけど・・・・・・・・・いまどきの学級崩壊を考えるとねえ、この程度の生徒ならぜんぜんOKの範囲じゃん。30年前にはこれでも「普通の生徒」からはずれてたのか・・・・・・・・愕然。というほど、周りの「普通の生徒」がものすごく行儀がいい。みんな真面目だし。

あと、王臨学園の剣道部も東台寺学園の剣道部も合宿したり、学生寮で寮生活したりしてるんだけど、すごいのよ。たかだか高校生や中学生の合宿なのにみんな脚付き膳で食事してるの。折りたたみ式の長テーブルなんかじゃないのよ。なんなの?この上品さ。

合宿所には大きな竈がいくつもあって、おばちゃんたちが手ぬぐい被って大釜でおいしそうなご飯炊いてるし。「お金かかってない」という設定のはずなんだけど。

30何年か前のマンガだけど、なんなの?この豊かさ。ちばてつやが当時「普通」とか「貧しい」とかのつもりで描いていることは、今となってはとんでもなく贅沢なことになってしまっているんだなあ。

いったい、あれからたった30年の間に何を捨ててきたの?ニッポン。

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