椿屋敷のお客様

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2013年4月12日 (金)

下町ロケット

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「下町ロケット」池井戸 潤著

昔、大阪に住んでいたころ、勤めていた会社の取引先が東大阪にありました。もう、見事なまでの工業団地。絵に描いたような中小企業が延々と軒を並べて、もくもくといろんな工業製品を作ってらっしゃいました。

東大阪といえば中小企業が結集した衛星「まいど1号」。ま、内実はいろいろあったようですが、それが何?「小資本の会社が、いろんな知恵と技術と情熱を駆使して、金に飽かせた大資本の会社のシステムとプランを凌駕する」ってのは日本人のDNAに組み込まれた神話。心からそういう物語が好きでしょう?少なくともわたしは大好きです。

・・・・・・・ってことで、

池井戸 潤の「下町ロケット」

こちらの舞台は東京は大田区のエンジン製造会社。どこにだしても恥ずかしくない中小企業。主人公の社長、佃は、以前宇宙開発機構のロケットエンジン開発主任だったけれど、担当したロケットの失敗で研究所を石もて追われ、実家の佃製作所を継いで小さなエンジン開発をしている。

元請の大企業の横暴や、ライバル会社の汚い特許訴訟で、危機に陥った会社の経営を立て直すために、せっぱ詰まった佃が思いついたこと。

「大資本の帝国重工がプロジェクトしている次期ロケットエンジンの心臓、バルブシステムを製品納入する。」

まじめに地道にエンジン開発にいそしんできた佃製作所は、そのバルブシステムを独占できる特許を取得していたのだ!!

もちろん、そのためにはクリアしなければならない課題が、山ほど。

技術的にも資金的にも人間関係的にも、障害が次から次へとやってくるのだが、佃の持ち前の情熱にほだされた社内、社外のたくさんの人々の協力で、一つ一つをクリアしていく。

その熱さが、すごくおもしろくて、ページを繰る手を止められなかったよ。

好きでしょ?みんな、こういう話。

少なくとも「日銀の今までにない大幅介入で株価が上がりました。」って話よりは、よっぽど。

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