椿屋敷のお客様

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2005年8月16日 (火)

医龍

Nec_0145 数年前、父が拡張型心筋症で危うく死にかけた。お蔭様で当時開発されたばかりの新薬が利き、現在は普通に日常生活を送っている。同じ頃祖母がいわゆる「寝たきりボケ老人」で、今の家で介護していた。二人も家族に病人がいて、母とわたしはかなりハードな生活だったはずだが、祖母も無事に大往生し、「喉もと過ぎれば」すっかり忘れてしまった。しかし父の件では病院に感謝を、祖母の件では病院に恨みを、これだけは忘れることができない。

ここ数年「医療まんがブーム」なのは、多分病院にご縁のある人が増えてきたせいじゃないかと想像する。いろいろあるが、この分野でピカイチは「医龍・既刊9巻・永井明原案・乃木坂太郎著・小学館」である。このまんがは拡張型心筋症の「バチスタ手術論文」にからめて、大学病院の抱える問題をこれでもかこれでもかとばかりにえぐり出してくる。にもかかわらずキレイ事にもお涙頂戴にもなってないのは、主人公の朝田が「善人」じゃないからだ。

手術の腕は一流だが、政治力ゼロだった彼は、出身大学を石もて追われ、海外の紛争地域NGOの医師として経験を積んでいる。で、さらに「超一流外科医」となる。性格的に問題山積みでも一度彼の手術を見たら、惚れこまずにはいられない。その一人、「医療改革のため」心臓外科教授の地位を狙う加藤(若くしかも女)が、帰国した朝田を論文手術のためにスカウトするところから話は始まる。この加藤も単純な「善人」ではない。のし上がるためにあらゆる手段を使っているし、その罪を自覚している。「外科手術はチームワークだ」と、朝田は大学病院の慣習に従わずにチームメンバーを集めるのだが、この加藤をはじめ、自己チュ―研修医の伊集院、義兄とのトラウマを抱える看護師ミキ、娘の治療のために大学病院に逆らった藤吉、以前新薬開発のために人体実験に手を貸した麻酔医荒瀬、等々医局の中のハンパ物ばかり。しかしこのメンバーのチームワークは本物で、次から次へと難手術をこなしていく。「敵方」たる現教授の野口のキャラ設定も秀逸だし、旧「白い巨塔」に出てきた田宮二郎みたいな切れ者アメリカ帰り教授鬼頭もかっこええし、これだけの曲者を絵を見ただけで、「ああ、こういうやついるいる」と納得できるぐらい絵もうまい。

原案の故・永井明氏は「患者よガンと戦うな」という本を出した人で、この人もかなりの変わりもんだったんだろうけど、乃木坂太郎氏も失礼ながらかなりの「ヘンブツどん」ではないかと想像する。だからこそ作品がおもしろい。特に最新9巻はおもしろかった。9巻で脇役にでてきた中田先生、「あ、こういう人いる。」お気に入りである。

「ビッグコミック・スペりオール」は今「医龍」と「MOONLIGHT MILE」そして大好きな西原理恵子氏が連載しているので青年誌の中じゃ一番のお気に入り。

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コメント

春さんは、ご自分で漫画を描いていないのですか?かなりの腕前なのに!多才ですよね!
ところでブログしだして9時に寝られますか?(笑)・・・
私はもともと夜型なのに最近では1時半から2時ごろになります。

多才ではありません。絵を描くのは好きですが、話を作ろうとするとウンチクたれまくりで収拾がつかなくなります。すでにこのブログもウンチク劇場になりつつあります。最悪ですが「わかっちゃいるけーどやめられない♪」(とほほほ)。ゲロをぶちまけたようなウンチクの嵐に付き合ってくださって本当にありがとうございます。今は昼間畑に出ることができないのでパソコンのぞいてます。よって相変わらず10時就寝、4時半起床です。DNAに早起き因子が刻まれているようです。

絵を描くのが上手いのですか?
無から有を生み出す力って、勿論多少なりとも体力も必要そうですし
日頃の経験や努力から研ぎ澄まされるであろうセンスも重要な要素ですよね?

ウンチクの豊富なマンガでも良いので見てみたいです!(笑)

404さんようこそいらっしゃいました。暖かいお言葉ありがとうございます。刻苦勉励はげみまして、お目通りいただけましたら幸いです。とりあえず、昨晩の遠雷では、ご忠告どおりコンセントを抜くなどして対処いたしました。またぜひおいでくださいませ。

「患者よガンと戦うな」は別の方の著書ではないでしょうか。永井さんの著書は「ぼくが医者をやめた理由」などでは?

うわおー、ほんまやー。まちごうとる。ありがとうございました。「患者よガンと戦うな」は近藤誠氏の著作でした。うええんはずかしー。

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