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2005年10月12日 (水)

ベルセルク・29巻

Nec_0087 80―90歳代の日本人男性のほとんど全員が軍隊経験があるわけである。赤紙はどんな地の果てまでも届いたそうだし。

知人に二人の90代男性がいて、去年亡くなった一人は陸軍上等兵、満州で終戦を迎え、そのままシベリア抑留されて文字通り九死に一生を得て帰国、もう一人はまだご存命だが海軍少尉、マリアナ諸島で同じく九死に一生を得て帰国。お二人とも自分の部隊の9割が戦死した中、運良く残る一割にはいって生還された。そのお話はお二人それぞれに壮絶だ。軍隊にいた以上戦争とはいえ直接的間接的に人を手にかけてらっしゃるはずだが、それは決してお話されない。戦後文字通り泥水をすすって日本を再建された方たちだが「息子たちをあんな目にあわせたくない一心」だったということはお二人とも口を揃えておっしゃった。

というところで、「ベルセルク・29巻」(三浦健太郎著・白泉社)である。90年代から続いているマンガシリーズで最近見られる傾向に「次世代ストーリー」がある。ベルセルクしかり、そして「イヴの眠り」(吉田秋生・小学館)しかり。ベルセルクの場合ガッツとキャスカ(それからグリフィス?)の子供もどうやら大きくなってきているが、注目しているのはガッツの押しかけ弟子イシドロである。イシドロはかわいげのあるキャラで、戦乱の子らしくそれなりの苦労をしているが、まだ29巻現在で人を殺していない。イシドロの夢は「最強剣士」なわけで、その実現のためにはもちろん数え切れないほどの人を殺さなければならない。どうするんだろう?ガッツはイシドロに人殺しをさせるのか?ストーリーの流れから言ってそれは避けられないことなのだろうか・・・?ガッツは今や満身創痍で、風格はあるものの「狂戦士の鎧」のために味覚や色覚まで失いつつある。キャスカが精神退行を起こしたのも「血塗られた旅」の末のことだ。自分たちと同じ道を歩ませるのか?だいたい、一代目は文字通り泥の中を這いずり回って成り上がり、二代目はボンボンだが穏やかに秩序を守りつつ発展させるというのが定石。日本の敗戦の後で祖父たちは息子たちに泥をすすらせることをよしとせず、平和憲法を選んだ。「イヴの眠り」ではシンの息子のリエに結局人殺しをさせることなく話が終わってしまった。どうなるんだろう?どうするんだろう?この後のベルセルクは・・・・。

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