モンキー・パトロール
やっぱりというか、なんというか子ヤギの尻ばかり追いかけるという状態になってしまったわけですが、昨日は一日冷たい雨が降りましたので、家の中におりました。そしてマンガ三昧。ああ、マンガ好きだなあ。
生まれたときからマンガがあったけど、ゲームはまだ未発達、そういう世代なもので、「マンガを読む」ということが一番心を落ち着かせるのです。活字も好きですが「活字だけの本に没入する」というのはそれなりに精神の安定と集中力が必要なもので、マンガより構えますね。ゲームは持ち運びが不便だし、目が疲れるし。「活字離れ、マンガ離れ」って言ったって、紙の媒体は無くならんでしょ。便利だもん。風呂でもトイレでも読めるし(行儀はなはだ悪し)。
「モンキー・パトロール」(既刊6巻・有間しのぶ著・祥伝社)はそういう「精神の安定と集中力」への準備運動にぴったりなんですわ。
基本は4コマギャグで、脱力系のほんわか絵なんですが、内容はシビア。というかなんというかここまでいうか?という、「今」の女達が抱えている夢や希望や現実や問題を、これでもかってぐらいの身も蓋もなさで描いてるとこがすごいです。
主人公は20代後半の3人娘。モロ「オヤジ性格」で元気もののドラッグストア店員ヤイチ。売れっ子ライターなのに貧乏性で男運の悪い香ちゃん。フェロモンを自由に操るモテモテのすず。この3人をめぐる交友関係、彼氏関係と、日常生活をセンスのいいテンポでぶちかましてくれてます。3人も、そのまわりの人間達もキャラのかきわけが強力無敵。
ヤイチはほんとに50代のオヤジみたいな性格で、巨乳好きでスケベ大好き、男友達やたら多い(トモダチってとこが、ミソ)。だってあたしたち共学で男女平等で雇用機会均等法なんだもん、わかっちゃいるけどどうしてもオヤジ入っちゃいます。こういうヤイチですら「高校の同級生で温厚篤実で男前で女の趣味がマニアックな弁護士オジャブー」などという彼氏ができるのが「モンキー・パトロール的世界観」なわけですよ。ありがとう有間しのぶ!おかげさまで夢と希望が持てるよ。
香ちゃんは、売れっ子ライターで2千万ぐらい貯金のあるキャリアで、しかも家事万能のお料理上手。でもこういう女にありがちな「わたしはどうあるべき?」という強迫観念が強すぎて、いつでも不安。年下の愛人(本名)という彼氏に翻弄されてます。貢いでます。その香ちゃんにも、これまた年下の元ヤンキ―だけど不器用で誠実なモリタという新彼ができ、幸せの絶頂。これまたありがとう、有間しのぶ!
フェロモンを自由に操る女神のごときプー女、すず。このひとのモテ方の描写がすごすぎ!とにかく世の中の男の中で、すずのフェロモン光線にやられないのは、ヤイチの彼氏と香ちゃんの彼氏だけじゃないかというほど男という男総なめ。年齢も地位も職業も全く関係なく落としまくり。そうでありながらすず本人は男に全く執着しない。輝くベビースキンと完璧なボディとかわいい顔を持ちながら、性格は戦国大名のよう。あああああ、女と生まれてきたからにはかくありたきものよ。よくぞこんな女を描いてくれた。ありがとう有間しのぶ!
ヤイチのトモダチの古着屋の店長玄夜。「モンパトの良心」といわれるほど男っぽい男だが、スタイル抜群ですずに翻弄され、人妻に騙される。
すずの彼氏のとらお。できるサラリーマンなのだが、すずの浮気に泣かされまくり。超汚いすずの部屋をエプロン持参で片付けてかいがいしく3度3度のご飯を作る。
ヤイチのトモダチ、日向くん。男なのにラブリーでプリティーな小悪魔系。すずと「かわいい界の王者争い」を繰り広げ、式神を飛ばしあう。
そのほかそのほか、多士済々なモンパトの世界。日常に疲れたあなた、とりあえず一度読んでみて。日常に疲れた殿方にもお薦め。
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