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2007年9月11日 (火)

アキハバラ@DEEP

Nec_0012 「椿屋敷農園」ブログをはじめた動機のひとつが、「アキハバラ@DEEP」(石田衣良著・文藝春秋)でした。もう3年半も前でしたか。衝撃でした。

石田氏の「池袋ウェストゲートパークシリーズ」も「波の上の魔術師」も「うつくしいこども」も「娼年」も好きだけれど、一番は「アキハバラ@DEEP」。文庫本になったので読み返してみましたが、やはり血沸き肉踊ります。そういやTV化、映画化されたんだったな。未見ですが。

アキハバラに集うそれぞれに欠陥を抱えた若い衆が、自分の能力とセンスと勇気を武器に、IT帝国主義の会社に戦いを挑むお話なのですが、もうね、キャラクターの設定と道具立てとアキハバラの舞台設定がいちいち秀逸で、シビれるんですよ。石田氏、これだけの派手な世界観設定をしておきながら使いこなしっぷりが凄い。一昔前なら「近未来SF」とやらにジャンル分けされてたであろう設定なのに、いまや普通の「長編青春電脳小説」。いい時代になったもんだ。

吃音症だけれど言語センスに飛びぬけたページ、不潔恐怖症だけれどデザインセンス抜群のボックス、謎の癲癇発作を持つけれどリズム感と絶対音感抜群のタイコ、絶世の美少女だけれど格闘技の天才アキラ、アルビノだけれど天才プログラマーのイズム、元引きこもり今出っ放しの法律家ダルマ・・・・・・。「今の社会に適応できないけれど、それぞれに取り柄を持つ若者たちが、力をあわせて何かを成し遂げる」お話。いいぞお!!

「人間の意思の働きを組み込んだAI型サーチエンジン」のアイデアも秀逸だし(そんなサーチエンジンがあったら欲しいわ、ほんと)、なにより彼らが作る会社「アキハバラ@DEEP」の基本方針がね、いいんですよ。

『必要以上に大きくしない。有名にならなくてもいい。小さなまま自分たちが満足いく暮らしができて同類を手助けしてあげられるくらいのぎりぎりの利益で満足する。パンくずひとつあればひと冬暮らせる羽虫のように、一生懸命でもなく、死ぬほどがんばることもなく、ゆるゆると生き延びる。』

これだ!と思いました。

細く長く無理のないやり方で淡々と商売する。もちろん利益はいるけれども大儲けを考えない。

「うちの農園の方針もこれだな。」と。

あれから3年、ゆるゆるぼちぼちの精神はあいかわらず、でもおかげさまで続けています。ありがとう「アキハバラ@DEEP」!「何かを変えたい、はじめたい」みなさまにもお勧めの本です。無理なくはじめるすべが、この本には載ってます。

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コメント

石田さんの本で、これと「娼年」は未読なのですが、春さんのお薦めとあらば読まずにはおれませぬなあ。
個人的には「うつくしいこども」の映像化を希望しているのですが・・・ハードかしらん・・・。

お薦めです!!
「うつくしいこども」の映像化、いいなあ。でも難しいかなあ・・・・・・。

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