西国三十三ヶ所巡りの記憶
10ン年前大阪に住んでいた頃、友人のFと富士登山を思い立ち「日本一のお山に上るからにはやっぱり一合目からよね」と、それまで二人ともまったく登山などしたこともないのに、その日のうちに登山専門店に行って、軽登山靴とデイバッグとヘッドライトと雨よけポンチョを買ってきたのでした。
まったく何考えてたんでしょうね。
そして、その週末から毎週「トレーニング」と称して、関西中の山に登りはじめました。
ほんと何考えてたんだ?自分とF。
(もっとも「山登り」というよりせいぜい「ハイキング」という程度の高度と距離しかチャレンジしませんでしたが。元来高所恐怖症だし。)
京都の東山、西山、北山、鞍馬山、比叡山、愛宕山、金剛山、奈良や滋賀の二上山、石山、大阪生駒山、あと忘れたけどまだまだ行ったぞ。そう、関西の山の上には必ずお寺か神社か古墳があって(それも古いのばっか)、トレーニングしてんだか物見遊山してんだかさっぱりわからん道行きだったけれど、むちゃくちゃ楽しかったな。
知ってる人はしってると思うけれど、関西には「西国三十三ヶ所巡り」という、「三十三ヶ所のお寺を巡る、やたらと歴史のある由緒正しいスタンプラリー」があって、ありがたげな蛇腹式の帳面にお参りした先のお寺の納経場で墨で花押を書いてもらって朱印も押してもらうの。その寺その寺独特のデザインでこれが凄くカッコいい。千年近くも巡礼者にサービスしてきて鍛えられたデザインだからね。隙がない。「どうせ登るんなら」とついでのつもりではじめた三十三ヶ所納経帳だったけれど、おしまいのほうじゃこっちのほうが主になってコースを選ぶときにも「三十三ヶ所の寺があるかどうか」が選択基準になっちゃった。それほどこのスタンプラリーは病み付きになるんです。
まったくもって関西というところは、大昔から商売上手。山の上ですらそうやって「歴史と伝統」を売る拠点があってうっかり乗せられたあたしらみたいな連中で門前市をなしている。
鹿児島に帰ってきて、山の自然はすばらしいと思うけれど「ここに寺か神社があったらおもしろいのになあ」と思うこと多々あり。
どうやら明治以前の鹿児島には関西に負けないぐらいの寺院があったらしいのに、廃仏毀釈でほとんど全部打ち壊してしまったらしい。
アホなことをしたもんじゃ!!
残しておいたらいろいろ楽しい使い道があったのに~~~~!!!
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