椿屋敷のお客様

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2010年1月11日 (月)

犬の顔をした猛獣

100111 「獣の奏者」がアニメ化されたことは知っていました。でも、見るのがためらわれたの。

だってさ、「10歳の女の子の目の前で母親が爬虫類(?)に喰い殺される(しかも処刑)」話であり、「女主人公も自分が育てている獣に二度も襲われて、指三本喰いちぎられる話」なんだよ。

「ほんとにそれ、アニメでやる覚悟あるのか?」ちょっと疑いました。

「そんな残酷なこと子供に見せるな」と言っているのではありません。わたくし自身は「それを子供に見せなくてどうする?」と思ってます。

それらのエピソードは「獣の奏者」という物語の中では必要不可欠なエピソードであり、重要なテーマを表現する手段です。それを「青少年に与える影響」やら「公序良俗」とやらで自主規制して、「表現できないならアニメ化するな。」ということです。

いやあ、たまげたね。NHK教育の本気と底力おそるべし。

エリンの左手指はごまかされること無くきっちり喰いちぎられました

あのさ、王獣じゃなくても動物は怖いもんなんだよ。ヒューマニズムなんて関係ないし。「無条件でなかよし」になってくれるほど人間に都合のいいもんじゃない。

王獣は「犬の顔をした翼持つ大型獣」だけど、そこらの小型や中型の犬だって怖いんだ。底には野生が流れている。

二ヶ月前、あたしゃ、飼い犬のアンズ(雑種・10ヶ月・雌)が隣の畑の狸罠にかかったのを助けようとして、彼女にしこたま噛まれました。アンズはいつもおとなしい犬で、噛み癖もまったく無く、あたしがいうのもなんだけれどよく懐いてくれてます。

でも、そんな彼女でも罠の痛みと怖さで半狂乱で訳わからんくなってなって、飼い主に噛みつきまくるんです。特にひどかったのが右顎と左手親指と右手薬指で、右顎は化膿して敗血症になりかけ、左親指のつめはまだ割れたまま、右薬指は神経までいっちゃって痺れたまま。

その直後は、実はアンズに近寄るのが怖かった。「まさかアンズが」と思ってたから。彼女が見せた剥き出しの野生は、圧倒的な迫力でとても怖かった。(よくあれを抑えて罠から助け出せたなあ。そこは夢中で覚えてない。)

でも、アンズが好きだから、一緒に暮らしたいから、包帯ぐるぐる巻きの手で散歩のリードを握った。「動物を飼う」ってのはそういうことだと思うから。

子供にそういうこと見せないでどうする?動物はぬいぐるみやロボットじゃない。「かわいいだけのもの、簡単に人間がコントロールできるもの。」とだけしか表現しないものを、わたくしは嫌悪する。憎む。

「獣の奏者エリン」で、場合によっては非難ごうごうになりかねないエピソードを、よくぞ表現してくれたと思います。

まだこの国の表現は死んじゃいない。

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