椿屋敷のお客様

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2005年12月23日 (金)

クリスマスプディングの冒険

Nec_0015_4  お客さまのtotto*さんも大好きだとおっしゃるアガサ・クリスティー。私も大好きです。

しかし根っから頭が粗雑にできているもので、「ミステリ」の部分は正直ほとんど飛ばして読んでいるようなものです。クリスティーの何が好きって何といっても雰囲気。イギリスの上流階級が繰り広げる紅茶とスコーンとサンドウィッチのアフタヌーンティー。カリカリに炒めたベーコンと卵のイングリッシュブレークファスト。カードゲームつきの晩餐会。そしてお屋敷で催されるハロウィーンパーティーやクリスマスパーティー。特にクリスマスパーティーはクリスティーが自伝で言っているように特別な思い入れがあるらしく、色んな作品の中に出てきます。んで、そのパーティーがなんとも言えず素晴らしい!

この「クリスマスプディングの冒険」は短編なのですが、それはそれは素敵な田舎の上流階級のクリスマスがでてきます。大量のヒイラギやヤドリギ。大きなクリスマスツリー。吊り下げられた靴下。暖炉の中で燃える丸太。牡蠣のスープに丸々と太った七面鳥の丸焼き。そしてクリスマスプディング。切り分けて上等のブランデーで作ったハードソースをかけて食すしろもの。イギリスではこのプディングにあらかじめ縁起物(ボタンとか指輪とか指ぬきとか)仕込んでおいて、誰に何があたるかで占いをするというゲームがあるのです。このお話の中ではその縁起物が重要な意味を持っていて、謎解きのきっかけになるのですが・・・

もう、謎なんかどうでもいい!という気分になるぐらい、クリスマスパーティーの描写がよろしいのですよ。出てくる食べ物、出てくる食べ物すべておいしそう。「古きよきイギリス」の伝統行事は、意味ありげで由緒ありげですごく楽しそうで上品。

正直言ってクリスマスパーティーが楽しかったことはあまりないのですが・・・「こういうのだったらいいなあ」と思わせる、文字通りのホームパーティー。ホームパーティー好きには必見の書でございます。

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コメント

おぉぉ!クリスマスプディングの冒険ぢゃ!!
好き好き大好きです d(>_< )Good!!
おまけに好きな理由まで春さんと一緒です(爆)
クリスティの推理小説を繰り返し何度も読めるのは、
(普通、結末のわかってる推理小説なんて何度も読めんですよね?)
ひとえにその雰囲気を愛しているからです。
確かこの本に出てくるプディングは、教会の牧師さんが
「かきたてたまえ・・・云々」という台詞を口にしたら作り始める合図だとかなんとかでしたよね?
そういう伝統を感じさせるような、英国英国した雰囲気がメチャいいですよねぇ~o(´^`)o
スコーンについては、マープルものの短編で
「かぶりつくとしみ出たバターが腕をつたって流れ落ちる」スコーンなるものが
出てくるものがあり、それがとても印象に残っています。
・・・あれ、なんか食い物にまつわる記憶ばっかだな(汗)

おはようございます、totto*さん。
そうなんすよ、そうなんすよ!!!食べ物!食べ物なんすよ!!(力説)。『教会の牧師さんが「かきたてたまえ云々」とミサでいったら作りはじめる』とかいうのもすごく好きなんす。「クリスマスプディングはイギリスの餅つきみたいなもんか」と思えば親近感も沸くのです。「バターが腕をつたって流れ落ちるスコーン」もむちゃくちゃおいしそう。そうなんす。わたしの記憶も食い物の記憶ばかりです。

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