ヤエムグラ
「八重むぐら 茂れる宿のさびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり」百人一首の恵慶法師の歌です。
もう春は目の前だというのに何秋の歌なんか引っ張り出しとるんじゃ、とお思いでしょう。実にその点が長年の疑問でした。
今のこの「ヤエムグラ」は秋に茂ったりはしないのです。せいぜい芽が出る程度で、春になってからひょひょ~~~んと伸びるタイプの草なのです。ハコベなんかと一緒でこれからが最盛期、はびこって往生するのですがそれは決して秋ではありません。
「おかしいなあ、ヤエムグラ茂れる宿なんか秋にはないぞ。」
謎が解けました。恵慶法師が歌ったヤエムグラはカナムグラという似ても似つかぬ別種の草でした。はああ~すっきりした。しょうも無いことなんですが、植物の名前には神経質になってしまいます。誰しもがそれなりにこだわりはあるということですね。
この春のヤエムグラは文字通り茎から車輪のように6~8枚の葉がでていて、しかもその裏にひっつきやすい毛が密生しているので、そのままちぎってセーターにひっつけて「勲章」とか「ブローチ」とかいって遊んだものでした。
コメント