椿屋敷のお客様

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2007年5月25日 (金)

ごくせん・15巻

Nec_0043 鹿児島に住む以上うっかり西郷隆盛のことは語れません。

食い意地が張っていてデブで、妥協を知らず主君の弟にもお愛想が言えず島流しに合い、そこでも女を作るスケベェ。・・・・・とか言うとマジで切れて殴りかかってくるオヤジがいるのが鹿児島です。「それのどこ悪いんだ?愛すべき人柄じゃないか?」といっても通じない。「西郷隆盛は味噌作りがうまかった」とか言う話も嫌い。「男子厨房に入らず」という明治以降のモラルに毒されて受け付けない。そういうのって損だと思いますが。欠点の無い人間のどこに魅力があるのでしょう?光と影のコントラストとバランス、それこそがキャラクターに命を与えお話にメリハリをつけるのです。

「ごくせん」(全15巻・森本梢子・集英社)がついに完結しました。「コントラストとバランス」という点では森本氏は出色の漫画家です。だいたい女性誌の主人公でヤンクミほど事あるごとにブサイク顔をさらすやつはおらんでしょう。最終巻で慎とあれほど「いい雰囲気」になりながらも、「仁義は通すが色恋沙汰は超苦手」という設定のままに、次から次へとブサイク顔のお披露目。いいのかよ~~?(笑)

あと前にも描いたけれど女性誌でここまでブサイクなオヤジをずらずら出していいのかよ~~?(笑)黒田一家の面々といい(犬までブサイク)、他の組のヤクザといい、白金の生徒たちまでまあ身も蓋もないブサイクな設定。これだけブサイクな面々をそろえているからこそ慎や篠原先生の美形ぶりが映えるんだけれど、まあ徹底してるよな。この徹底が新鮮だったし、魅力だったこのシリーズももう終わり。

淋しいの――――。

「うちの者はどいつもこいつも・・・熊殺しみてーな面してるくせに・・・どーしてこう涙もろいんだか・・・」と黒田の組長がつぶやいている。そう、熊殺しの顔で涙もろい。この意外性、このバランス。これこそがおもしろいの。ギャグキャラのうっちーにエリーゼ女学院のかわいいホラーマニアの彼女ができたり、ボーっと天然キャラのクマが「調理師免許をとってかあちゃんとお店をやる」と親孝行だったり、各所に散りばめられた意外性とバランス感覚。ああ、もうこのシリーズでそれを楽しむことはできないのね。

残念だけれど次回作に期待。

慎とヤンクミのハッピーエンド(?)はよかった。ちょっとほんわか幸せ気分。

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