蒼路の旅人
それにしても今までの人生でそれなりに結構な量の本やマンガを読んできたつもりなのですが、まだ読まぬ本、まだ触れぬマンガというのが尽きることがありません。はっと気がつけば今までその名も知らなかった作者やシリーズにいつの間にか夢中になっています。
なんというありがたいことでしょう!母国語日本語でこれほどの量の作品を読めることの幸せ。そして本やマンガを流通させ、読ますことができる日本という国家の平和の幸せ。いいよなあ。
願わくば、下らぬ言論統制などで表現の自由が縛られることのなきよう!ヴァイオレンスだろうがエロスだろうが本やマンガやゲームである以上統制かけてどうする?というのが持論です。「リアリティとバーチャルリアリティの区別がつかない」やつは、木の股を見ても強姦しようとするだろうし、トンカチを持てば人の頭を殴ろうとするでしょう。表現を統制するのはまったく無駄な作業です。
などという能書きはさておいて、「蒼路の旅人」(上橋菜穂子著・偕成社)。「守り人シリーズ」の番外編とも言うべき「旅人シリーズ」は、わたくしひいきのチャグム皇子が主人公のシリーズ。第一作の「精霊の守り人」では、ひ弱なガキンチョだったチャグム皇子、一作ごとにどんどん成長し、どんどんいい男への道を歩いてます。
ンもおおおおン、たまらん!
「蒼路の旅人」はこのシリーズの起承転結の転部分の作品のようで、ここで「守り人シリーズ」の世界観が一気に広がり、かつ繋がって、壮大な国家論まで飛び出してきてます。新ヨゴ国の皇太子として母国の大日照りを救ったチャグムは、この巻で国家間闘争に巻き込まれて、むちゃくちゃ人間臭い政治交渉と対応を迫られております。苦労の耐えんことじゃのう。
一見ひ弱な皇太子でありながら要所要所で見せる対応は見事の一言。それでも弱小国の悲しさ、大国タルシュの虜となって母国へ護送される途中で、チャグムが仕掛けるあっと驚く大逆転の秘策とは?
わくわくするぞ~!どきどきするぞ~!チャグムのあまりのカッコよさと少年らしい危うさにくらくらするぞ~!
そして佐竹美保氏の挿絵がいい。本編シリーズの挿絵よりこっちのほうがわたしは好きだ。
とにかくお勧めの「守り人シリーズ」、ぜひぜひ皆様もお読みくだされ。
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