ヨルムンガンド・3巻
「でも、どうしてなのかよくわからないけど、それでも僕は世界が好きなんだ。」
ちょうど自分自身もそんな気分だったので、「ヨルムンガンド・3巻」(高橋慶太郎著・小学館)のヨナ君のセリフにドキッとしました。
「世界中から拒否されてる」「あたしは必要のない人間」「いないほうがいい人間」
青臭いけれど心がそういう追い詰められ方をするときがあるでしょう?それでもふっと見ると世界は美しかったり愛しく見えたりするわけですよ。そうするとまた「何とかやっていくか・・・・・」と気力が出てきたりするんです。
「武器商人」などという物騒なものをテーマにしながら(テーマにしているからこそ?)、こういう意味深なセリフをさりげなくさしはさむ、ヨルムンガンドはほんと侮りがたし。
以下ネタばれ注意。
この巻から主人公のココとヨナの部隊はアフリカに上陸するんだけれど、そこで強力なライバルの中国人武器商人がでてきます。その描写も強烈。いやその武器商人の美人女秘書ってのがでてくるんだけれど、これがCTAのダニ、スケアクロウの大男のボディーガードを、あっという間に倒します。一見おとなしめの黒髪おかっぱで女学生みたいなスーツを着た秘書が、いきなりおしっこするみたいにスカートを捲り上げて大男に強烈無比の回し蹴りをかます様は必見のシーン。こんな強烈なシーン、マンガでは久しぶりに見ました。
あと、ココにレズ惚れしている片目のバルメが、この謎の女秘書の師匠と因縁があるらしく、珍しく戦場でぶちきれているバルメのシーンでこの巻が終わっています。
なんというか、いろいろ荒いところもある作品だと思うのですが、「どうなるの?」「どうなるの?」と思わせるパワーがすごい。「こういうのを読める世の中ってのはいいなあ。」と思うのです。おもしろいマンガを読んでは「何とか次が読めるようにがんばってみよう」と、思うことができるのです。
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