椿屋敷のお客様

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2005年10月

2005年10月21日 (金)

山茶花「立寒」

Nec_0021_1 山茶花「立寒(たちかん)」の花が咲きました。最も一般的な山茶花で、それこそ公園や学校なんかの垣根によく使われているので、「山茶花」といえばこれを思い出される方は多いのではないでしょうか?

幣ブログではチャドクガをよく取り上げましたが、チャドクガが公共施設に植えられたこの木で大発生していて大変なことになってしまった今年でした。もちろん「立寒」に何の罪もありません。「農薬の全体散布でチャドクガの天敵まで抹殺してるからだ」ということは以前書きました。もう今年のチャドクガは羽化して成虫になってしまっているので被害は下火になりましたが、木に残されたサナギの殻にも毒針毛がついているので、まだまだツバキ類のそばを通るときは十分注意してください。かく言う私も今日ふっと気が付いたら肩の上にチャドクガのサナギが落ちてきていて、気が狂ったように粘着テープで肩と首筋を叩きまくったところです。

以前「芋虫」のエントリーで「カライモ畑から這い出た巨大芋虫の思い出」を書きましたが、その後日談を今日聞きました。あの悪夢のような巨大芋虫の大発生の原因はやはり農薬だったのです。あの年の前年にN協がカライモ農家さんに農薬の全体散布を奨めました。結果芋虫の天敵が翌年いなくなってしまい、前記のごとき大発生を招きました。それはそれは凄まじい大発生でカライモはもちろん地上部を全部喰われ尽くし、収穫はパー、這い出た芋虫が車にひき殺されて油でタイヤが滑って通行できなくなるほどだったということです。県下中のカライモ農家がその被害にあい、結局薬害だということで翌年から農薬の全体散布を止めたらぴたりと大発生が治まったとか。最近あの芋虫を見ないのは農薬をあまり撒かなくなったからなのです。なんともはや。日本の農林政策が失敗の連続だということはもはや周知の事実ですが(杉ヒノキ植林とかね。単一林で山の保水力は無くなる、土地が痩せる、杉ヒノキは売れない、何よりかにより莫大な人数の杉花粉症患者を作り出してしまった。)、こんなところにも失敗が。

ツワブキの花

Nec_0020 ツワブキの花が咲きました。花はキクに似ています。つまりツワブキはキク科なのです。(そうは見えないけど)

ツワは地下茎と花の二段構えで増えていくので、うちの敷地の南側の端、椿が列になっているところの根元に、昔一株だけ植えたところ、毎年どんどん勢力を拡大して今に至ります。シーズンにはツワ食べまくりです。毎日10本20本と生えてくるのでおすそ分けもずいぶんしましたが食べきれないほどです。お庭に植えとくと重宝しますです。葉っぱはフライパンであぶって腫れ物に貼り、根は煎じて健胃、食あたりや下痢止めに使うそうですが、晩春から初夏の新芽を食べるだけでもしあわせです。ありがたや、ありがたや。

2005年10月20日 (木)

チェリーセージ

Nec_0001_1 チェリーセージの花です。

セージ類はバジルやローズマリー、タイム、ミント、ラベンダーなんかと同じシソ科です。ハーブの中でシソ科は大勢力です。じょうぶでよく育ちますしね。

セージはソーセージやベーコンに欠かせません。豚肉に良く合うのです。

わたくしの夢の一つに「かまど小屋を持つ」というのがあります。そこには洋風のかまどと和風のかまどを置きます。そのかまどでベーコンを作り、燻製を作り、田舎パンを焼き、もちろん餅つきのときはモチ米を甑で一気に蒸し上げ、粽を蒸し、茶を手煎りし、・・・・・。夢は果てしなく広がりますが、とりあえず今できることで。生ハムもどきはいかがでしょう?

豚バラ塊肉に塩コショウして保存用ポリ袋に包み牛乳パックの空き箱に(水が漏れないため)一晩そのまま入れておきます。翌日水がでたら拭き取って、セージやローズマリー、タイム、オレガノ、パセリなんでもお好みのハーブをまぶして再びポリ袋と牛乳パックに入れて冷蔵庫で保存。4,5日したら香りが移っているのでこれをベーコン代わりに使うとなかなかおいしいですよ。ソテーしたり、スープやシチューやカレーに入れたり、利用方法はいろいろです。切るときにはベーコンと同じように脂身の層が見える方向に切ってください。ときどき水を拭き取りながら横のポケットに牛乳と一緒に立てておくと便利です。

白いバラ

Nec_0015 白いバラが咲きました。

あきれたことに当農園は椿の品種同定には神経質なくせに、バラは「大きい」「ミニ」「ツル」「赤、白、黄」ぐらいの区別しかしていません(大雑把すぎ)。何にせよ肥料はたらふく食うし、虫はつきやすいし、「9月の1日から8日までの1週間の間に、ランナーの外側の芽を残して剪定しろ」とかなんとか一年中なんやかやとあって、まっこちせからしか(うるさい)花です。バラの品種改良に世界で最も熱心だったのがエゲレス人だったわけですが、「バラ」「馬」「犬」という英国が誇る三大品種改良は、全部こういう「自然を人間がコントロールしちゃる!」という偏執的なまでの意思があって初めて可能だったんじゃないでしょうか?

2005年10月19日 (水)

椿「初嵐」

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椿「初嵐(はつあらし)」の花が咲きました。

「椿屋敷農園」の名は、17年前に亡くなった祖父が椿好きで、敷地内に(多分)150種ぐらいの椿があることからつけました。そろそろ椿、山茶花の季節が始まりますので、咲いた花をご紹介していこうかと思います。

「初嵐」は、すでに1847年の「剪花翁伝」には記載されているという古い品種です。白い色で、咲き始めは移り白、一重で筒咲きもしくはラッパ咲きで蕾は尖ってます。中輪で10月から3月にかけてが開花期です葉は長楕円で中形、網脈は陥没してます。樹形は立性で枝葉横に張ります。「初嵐」という風流な名にふさわしくイの一番に咲いてくれました。清楚で優しい雰囲気の花です。

椿は菊や朝顔や金魚なんかと同じで、江戸時代に大流行して多くの品種が作られました。もともと「椿」という字は日本でこの木のために作られたのだというぐらい昔からある木です。「ヤブツバキ」と「ユキツバキ」は日本原産です。「首が落ちるのを嫌って武士は庭に植えなかった」というのは、幕末に近く世情が物騒になってきてからの話。二代将軍徳川秀忠は椿好きで、諸国大名に献上させて愛でたというほど。もっともうちは商売人の家系だし、士族さあがどう考えようと知らんしな。遠慮なく椿を愛でさせていただいております。

スズメバチの巣大解剖

Nec_0011 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・。

このスズメバチさんたちには何の恨みも無いのですが・・・。マジで「刺されると死ぬこともある、日本列島で一番危険な野外生物」なので、申し訳ないけれど成仏していただきました。

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六角形の穴の中に白い幼虫がみっちり詰まってい るのがご覧になれるでしょうか?白い蓋は繭で中に羽化する前の幼虫が入ってます。50―60匹ぐらいの幼虫が詰まってました。もしこれが全部成虫になっていたら・・・。とぞっとします。あとは鼠算式に増えていくのです。すでに30-40匹ぐらいの成虫が出入りしていたと思います。女王蜂の姿を探しましたが見つかりませんでした。薬をかけて放置していた間にどこかに落ちてしまったのでしょうか。何はともあれごめんね。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・。

そういえばスティーブン・キング氏の大傑作「シャイニング」の中で(キューブリックの映画、あれは全然別物)、スズメバチが「邪悪と恐怖の象徴」としてすごく印象的に使われてましたね。物語にも感動しましたが「おお、アメリカにもスズメバチがおるんか。んで、アメリカ人も困っちょっとじゃね。」とちょっと笑いました。

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2005年10月18日 (火)

ヤギ小屋普請中

Nec_0006 父の指導を仰ぎつつヤギ小屋の普請中です。

納屋の西側の屋根下に、水準器を使いながら、柱の下がヤギ糞尿で腐らないようにブロックを土台石にして柱を立てて、梁を差し渡して張り出し屋根をつけ、ハンマーと鑿で木目込みを刻んででこぼこができないように柱に桟を渡し、出入り口のドアを作ってタッカーで金網と網戸用の網を張りました。

今のところ総額¥5000を切る予算でいけるはず。今後のことを考えると自分で全部できるようになるほうが断然お得なので大工仕事のマスターには必死です。まあ、もちろんプロ並にできるはずありませんが、動物の小屋ぐらいは普請・修理できないとなあ。(あ、でもプロの大工さんとは是非お友達になりたいです。大募集中!)昔からこの手の作業は好きだったので、このぐらいなら楽しいんだけど・・・。電動鋸、片歯鋸、ハンマー、曲尺、ノギス、鑿、水準器、タッカー、電動ドリルetc

・・・。昔ながらの道具もありますが、力の要る道具がすごく便利になっていて、女の力でも楽に作業できます。「ローテク万歳!」まことにありがたいことです。

実録!スズメバチ抗争

Nec_0005_1 実家の家業が植木屋なもので、家族全員「蜂の恐ろしさ」は骨身にしみてます。

スズメバチ、オオスズメバチももちろん怖いですが、一見地味なクロスズメバチも畑の地面の中に巣を作っているので、うっかり踏み抜くと何十匹もの蜂に足を攻撃されます。よく見かける蓮の実状の巣を作るアシナガバチだって実は怖い。いつも気をつけているのですが「ふっ」と気を抜いた瞬間に樹にぶら下がったスズメバチやアシナガバチの巣を手で払ってしまうし、クロスズメバチの巣を踏んたびったりするのです。この巣はバジルの畝のすぐそばでもあり、「どら、そろそろバジルを摘んむしってソースを・・・」としゃがみこんで見つけたので、今回マジにラッキーでした。

蜂の巣の近くではとにかくしゃがむことです。「ヴヴヴヴ」というあの恐ろしい羽音と「カチカチカチ」という警告音がしたら、「わたしは石だ。わたしは石だ」と唱えて動かないようにしましょう。手で払ったり叩こうとしたりしたらダメです。たとえ体に止まってもピクリとも動かずにいれば攻撃せずにいつかは飛んでいきます。冷や汗が流れるような試練ですが刺されるよりましです。いっそ「南無阿弥陀仏」と唱えたほうがいいかもしれません。黒い服もダメです。あと香水や整髪料などの人工的な香料を含む化粧品類もダメです。山や藪に入るときはほんっとスッピンのほうが安全です。「山の神様は女だから、女が入っては嫉妬を呼ぶからいけない。」という伝承がそこかしこにあるのは、ひょっとしてこのことも踏まえているのではないかと思います。

なんにせよ素人が手を出すのは危ないので、植木屋35年の父に巣の出入り口から薬をかけてもらいました。薬は家庭用の殺虫剤で充分です。とにかく一吹きでもハチに当たるとハチは失速して落ちます。巣の出入り口に集中砲撃です。見ていると体長3cmぐらいの成虫がぼとぼと落ちていきます。危険なのは偵察から戻ってきたハチが後ろから襲ってくる事で、後ろからの気配がしても不用意に動いてはいけません。手で払うなどもってのほか。冷静にやり過ごして薬を吹きかけます。充分巣の中に薬剤が行き届いたら、1日以上放置しておきます。ここで、また別な疑問が・・・。チャドクガのときも家庭用殺虫剤で充分なのですが、チャドクガもスズメバチも瞬殺してしまう家庭用のピレスロイド系殺虫剤ていったいどんなんやねん?!実はかなりあぶねー薬なのです。

2005年10月17日 (月)

カルバニア物語

Nec_0003_1 まあ、どう転んでもわたくしは女なわけです。身も心も。

ホモサピエンスの雌としての機能は全部備えているし、性同一障害で苦しんでいるわけでもない。女に生まれてきたことをラッキー!と思いこそすれ嫌だとは思いません。しかもどんどんそう思うようになってきています。子供の頃は三人姉妹の長女で「男やったら良かったてなあ・・・。」という言葉を耳タコな程聞きました。あの頃そういう心無い言葉に言い返すことはできませんでしたが、今は「ケッ」と鼻で笑ってやれます。だからって「男なんか何よ」とか「「男なんか最低」なんていうつもりは全く無し。今の世の中で「男」をやるってホント大変。だからこそ男の人が大好き。

というわけで「カルバニア物語」(既刊9巻・TONO著・徳間書店)です。カルバニアという架空の国の王室やその周辺を舞台に繰り広げられるラブコメディ――という謳い文句と、TONO氏のかわいい絵柄とあっさりした台詞回しに似合わず、かなり内容はシビアです。

カルバニア初の女王となったDカップ美女のタニアと、タンタロット公爵家の絶壁胸の男女エキュー(でも女装すると絶世の美女)が主人公。タニアが女王となるまでカルバニアは男系のみに相続権がある国だったのだけれど、公爵家のエキューパパが、最愛の妻の忘れ形見たるエキューに公爵家を継がせたい一心で、「女にも相続権」の象徴としてタニア女王の誕生に暗躍したといういわくつき。

エキューは惚れ惚れするほど男前な女ですが、そこはやっぱりお年頃の女の子、カルバニアのもう一つの公爵家のライアンと恋仲になります。このライアンとの最初の馴れ初めを描いた3巻が、そりゃもういいんです。3巻ではエキューはまだ子供で、それこそ男の子に混じって大暴れしまっくってましたが、そろそろ体に女の子の兆候が出てきて、仲間の男の子たちともだんだん歯車が合わなくなってきています(そういう経験のある身としてはここでまず「うっ」ときます。せつなくて。今まで犬ころみたいに一緒に遊んでたのにいきなり仲間はずれ。何でなのかわかんなかったなあ当時は。)そこを見初めたのがライアン。なんとその当時ライアンは少年愛好者で、エキューを男の子と間違えて自分の城へ連れ込んで・・・。なんでここから愛が始まるのかまっこと不思議なのですが、そこがTONOマジック。お話作りがすごく上手。エキューの感じてる自分の女としての成長への違和感と、ライアンの持つ女と父親へのトラウマがお互いに絡み合って、どんどん接近していく二人。でもそんな誤解から始まった関係はいつかは崩壊するもので、あることをきっかけにエキューが女の子であることをライアンは知ってしまいます。ショックを受けたライアンは思わず・・・。

女の子が女になっていくときのせつなさと、男の子が男であることを引き受けるときの責任の重さを、笑わせながら泣かせながら描いてくれる「カルバニア物語」は傑作です。そこのところでいろいろな思いを抱いたことのある人には、ぜひお薦めのマンガなのです。

スズメバチの巣

Nec_0002_1 ぎゃああ!こんなところにスズメバチの巣が!!しかもだいぶでかくなってるぞ。直径25cmはある。

ひとんちどころではなかった。これはうちのすぐ庭先もいいところなのだ。そういえばここ2,3日何匹かスズメバチを見かけたので「やばいなあ、どっか巣を作ってるんだろうなあ・・・」と思っていた矢先である。誰か刺される前に発見できてよかった。ヤギ小屋andヤギ運動場予定地の近くなので、危ないところだった。明日はスズメバチ退治だ。