椿屋敷のお客様

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2006年9月

2006年9月 7日 (木)

ゲンノショウコ

Nec_0056_4ゲンノショウコの花でございます。

下痢と冷え性と血の道に薬効あらたかというゲンノショウコ。何せ昔はたいへん怖い夏の病気だった疫痢からくる下痢によく効くのだそうです。

なにせわたくしの曾爺さんにあたる人がスイカの食べすぎで疫痢になって亡くなったそうなので、「疫痢・赤痢」という言葉にはちょっと反応してしまいます。

疫痢や赤痢はあまり聞かなくなりましたが、なんでかしらんO-157型大腸菌などという、実験室以外ではあまり繁殖しないはずの弱い菌が集団食中毒を起こしたりするのでありますからして。人間は消化器官を持っている限り、下痢という現象から決して逃れる事はできんということですな。ストレスから来る過敏性腸炎症候群てやつも増えてきているって話ですし(結構自分もその傾向があります。ストレス溜まると下痢気味になるなあ)、これなんか原因がストレスだけに漢方のゲンノショウコのほうがうまく効くかもしれませんな。

ところで「ゲンノショウコには赤紫の花と白の花がある」と噂に聞いておりますが、赤紫はよく見かけるのについぞ白を見たことがございません。

「何でじゃ~?」と思っておりましたが、なんと「東日本では白、西日本では赤紫」の花が咲くそうな。

なんだそりゃ。

フォッサマグナ、糸魚川~静岡線、箱根の関所で、この花の色は赤紫と白にきっちり分かれるのでありましょうか?その境界線はどこに?

2006年9月 6日 (水)

糠漬け

Nec_0054_1夏の疲れが体に出てくる今の時期、糠漬けがおいしいですよね~!

糠床にしばらく漬けていただけの野菜が、何であんなにおいしくなるのでしょうか?不思議です。糠床の管理はちとめんどくさいですが、うちみたいにテゲテゲでも結構腐ることなく続いているので、止められない止まらない。

なんといっても間引いたチビ野菜ほど漬けておくとおいしくなるのがたまらん。ナスでも胡瓜でもひん曲がったヤツを漬けてしまいます。無駄が無い。ありがたい昔の人の知恵じゃのう~。

秋胡瓜の実がなり始めましたので、漬けちゃうぞ~。

大間違いでした

Nec_0053akiさん、ご指摘ありがとうございました!その通りです。これはショウガの花です!あきこさんにも大嘘こいてすみませんでした。

まッこちゲンネ(恥ずかしい)ことです。

祖父より「ウコンの花」と伝えられ、そのまま20年ぐらい信じてました。「ウコンの花ってショウガみたいだなあ・・・でも、ショウガの仲間だし似てるんだな」とか思って露ほども疑ってなかったのです。

まさしく「バカの壁」!

どこでどんな前提が崩れるかわかりません。改めて身をもって知りました。

akiさん、ほんとうにありがとうございました。お客様のみなさまも今後もよろしくご指導ご指摘お願いいたします。ブログってほんとうにありがたいなあ、と、またまた沁みましたです。

2006年9月 5日 (火)

鬨の声

Nec_0052_4 早いもので、五月に孵化した若鶏が朝になると不器用にも「ゴゲゴッコ、ゴゲゴッコ」と鳴くようになってきました。

先輩雄鶏の九州男児地鶏くんや英国産ジェントルマンが夜が明けないうちから鬨の声を上げるのに続いて、しゃがれて小さい声でヘタクソだけれども、実に一生懸命に縄張りを主張し始めています。

こんなふうに鳴き声がしゃがれているのは、人間の男の子の変声期みたいなもんか。どんな動物も大人になるってたいへんね。

この間まで雛だった雄鶏がこんなふうだったら、雌鳥のほうも卵を生み出す日は近いな。あと2ヶ月ってとこか。さすれば一気に卵の生産量は増えます。うおおお、ありがたいぞ!

死の壁

Nec_0051_2 マンガ・ジャンキーな上に活字中毒者なのです。でも、マンガでも本でも一旦「いいな」と思った作者のものは、作品リストの端から端まで読んでみる、という読み方をします。だから偏ってるぞ~。

そういう「リストの端から端まで読んだ、リスペクトしている作者」の中に橋本治氏と養老孟司氏がいます。

このお二人に共通しているのは、「楽天性」と「体を動かせ」と「人も世の中も変わらないものは無い」でしょうか。1980年代からコアなファンがついていた方たちですが、橋本氏は「古典の現代語訳や辛口評論(ご本人はこれについては不本意らしいけど)」、養老氏は「専門の解剖学をベースにした、これまた辛口の文明論、社会論」という「いかにも売れなさそう~な」でもマニアにはたまらん本ばかり出しておられました。「ふっふっふ、だからこそあたしは読むのよ。」と、新刊が出るたびにチェックして本屋なり図書館なりに走り、舐めるように読み続けて21世紀となりました。なんちゅうの?ブレイク前のアイドルオタクみたいな心境?(いや、お二人ともちゃんと売れてたんだから、ちょっとこれは失礼だって。)

ところが、どういうわけか21世紀になってから、このお二人の著書がいきなりとんでもないバカ売れ大ヒットをして、たまげました。

橋本氏の「上司は思いつきでものを言う」と養老氏の「バカの壁」です。

嬉しかったけど、複雑。独り占めしてたのにって。

(いや、だから独り占めなんかしてないって)

それと同時に「ああ、世の中って変わっていくんだなあ。」としみじみ思いました。「偏屈な変わり者」であったはずの(なんちゅうご無礼をば。ほんとにファンか?)お二人の本が爆発的大ヒットする時代がくるとは。

「この世が永遠不変である。」と信じたがるのは「子供」でしょう。子供の頃は自分の周りの景色も人間関係も世の中も自分自身すらも変わる、ということが実感としてわかりません。大人になるにつれて、例えば身近な人間が亡くなる、景色が変わる、社会情勢も変わる、ことを実際に経験してしまいます。どんなに愛したものも、どんなに憎んだものも、時間がたてば心が変わっている自分に愕然としたり。

でも「この社会も自分も永遠不変である。」という前提以外を許さないのが高度成長期でした。「いつかは自分も死ぬ。いつかは社会も滅びる。」ことを見てみぬふりしてきた。そのツケが今まわってきているのです。(わたくし自身にもね)

バブルは崩壊したし、ベルリンの壁は崩れたし、阪神大震災は起こるし、地下鉄サリン事件、そして9・11事件。

「万物は流転する」のです。それをいたずらに不安がってどうする。怖い怖いという前にとりあえず体を動かせ。動かせば必ず脳も変わる。脳が変われば選択肢が増えて硬直した状況が動き出すぞ。状況が変われば楽天的になれる。終始一貫して養老氏の主張はこうです。

「楽天的じゃなきゃ、還暦を過ぎてから本がバカ売れしたりしないでしょ。」とは、Dr.ヨーローの名言。じゃっど。うわさでは新潮社では「『バカの壁』ヒット御礼ボーナス」がでたそうな。

「死の壁」(新潮新書)は「バカの壁」に続く第二弾。たくましいのう。かくありたきものよ。

2006年9月 4日 (月)

ウコンの花・・・・・じゃなかった!

Nec_0050_2 だいぶ日が翳ってきた庭で、ウコンの花が白く浮いています。

ウコンの花はいい香りがします。蘭のようなジャスミンのような・・・・・南の花の香りです。家の中にまで漂ってきます。夏の終わりの香りです。残念だけど水を吸わないので切花にはできません。

18年前に亡くなった祖父が植えた株が、毎年時期になると時限爆弾のように、芽を出し、茎を伸ばし、葉を茂らせて花を咲かせてくれます。まっこちありがたいことです。

それにしても祖父は何のためにウコンを植えたのでしょう?ご存知のようにウコンはターメリック、その根は二日酔いの薬。肝臓の働きをよくする効能があるといわれておりますが・・・・・。祖父は酒飲みだったのでそのために使う気だったのでしょうか?カレーが好きだったということもないしなあ。掘り返して使ったという話は聞かないけれど。

わたくし自身も酒をまったく飲みませんので、二日酔いの薬にお世話になる事はありません。いつかカレーのために掘り返す日がくるかもしれませんが・・・・・。今はこのいい香りのする純白の花が咲く事を楽しもうと思います。

肝っ玉かあさん再び

Nec_0049_3 おおっと!アロウカナ×烏骨鶏雑種夫人が、再び抱卵を始めました。

たいへん厳しいふくれっつらをして籠の中に座っています。鹿児島弁ではこれを「雌鳥がはらける(怒る)」といいます。「はらけると卵を抱く」ということを経験上わかっているので、なかなか卵を抱かない鶏には唐辛子を食わせるなどの涙ぐましい努力をしていたそうです。その点うちの肝っ玉かあさんは頼りになります。心強いよ――!!予定通りなら今月末にはまたひよこちゃんが産まれます。

卵は12~3個ある様子です(そのうち4個はこっそり忍び込ませた地鶏夫人達の卵)。話によると「親鳥が抱卵して孵した鶏は、やっぱり抱卵する。」ということなのであとは鼠算式です。こんなありがたい事があるでしょうか!「労せずして鶏増える」のです。まっこちありがたか、ありがたか。

2006年9月 3日 (日)

毬栗

Nec_0047_8 モモ(紀州犬雑種・5歳・女の子)との朝の散歩コースの裏山には、立派な丹波栗の木が二本ありまして、その木が今年もなかなかおいしそうな実をいっぱいつけています。

もうこの時期には毬栗ごと落ちてきて、実を道に散らばせているので、何個か拾い集めて、庭に蒔きました。

「桃栗3年、柿8年」と言うではありませんか。

おいしい栗をお腹いっぱい食べる日が来るのなら、3年ぐらいどってことないなあ。というのもですね、一昨年去年と何の気なしに蒔いておいた、枇杷だの茶だのから芽が出ているからなのですよ。これは味をしめるとやめられません。

「種を蒔く」「挿し木をする」ローコスト・ローテクノロジーの極致です。人類が農耕を始めて5千年、ずー――っとこれやってきたのです。もうすでに私の頭の中は、自分ちの栗で作ったホクホクの栗ご飯と、香り豊かなモンブランです。

クズの花

Nec_0046_5さてこれは植物のクズの花です。

野山を一面に覆い尽くす、恐ろしい繁殖力のクズですが(これが覆い尽くすと他の植物は木も草もまったくダメになります)、 花は可憐です。この赤紫色がまさしく今の時期の色です。残暑はまだまだ続くのに、野は秋の気配が着々と忍び寄っています。なんといってもこれは秋の七草。

万葉集にもよくでてくるし、京都には「葛野」という地名があるほどです。奈良の吉野は吉野葛の名産地だし、昔から慣れ親しまれてきた植物ではあります。ちょっと畑が荒れると、すぐこれがほこるので、よほど日本の気候にマッチしているのでしょう。そういや葛布とかもあるらしいですね。どうやってこれを織物にするんだろう?興味津々。

クズの花は乾燥すると二日酔いの薬とか。もっとも、あたしゃ酒をまったく飲めないのでご縁はございませんが。葛湯、葛餅は大好き。

2006年9月 2日 (土)

弁護士のくず

Nec_0049_2 へヴィーなマンガ・ジャンキーなもので、ジャンルを選びません。マンガ禁断症状がでると、少年モノだろうが少女モノだろうが青年モノレディースモノ、とにかく絵があってコマが切ってあってセリフがあれば見境無しです。(こんな体にしてくれた故手塚治虫と故長谷川町子を恨みます。)

大雑把に分けて日本のマンガはこの4ジャンルに分かれますが、もう一つ無視できない大きな市場があります。

オヤジマンガです。

メジャーどころで代表的なのが、雑誌ビッグコミック(小学館)でしょう。代表作が「ゴルゴ13」と「ホテル」と「釣りバカ日誌」あと「あぶさん」と「浮浪雲」ときたもんだ。どうでい?プーー――ンとオヤジ臭が漂ってきたろうが。

オヤジがオヤジのために描いているマンガでございます。それぞれの職業世界のマニュアル的雑学知識を織り交ぜていろんな事件がおこるけれど、そこは「お・と・な・の男」が主人公のマンガ、決して悲観的悲劇的な結末には到らず、大人らしい妥協で社会的正義にのっとった解決ができるよ。SEXシーンもでてくるけどなんせ「お・と・なの男」だから。のめりこんだりなんかしないよ、相手の女は(これがまた決してホモやバイセクシャルは出てこねえのよ)大人の魅力に夢中になったりするけどね。

・・・・・という基本路線を手堅く守っておりますので、まあビッグコミックはそれでもマシな老舗ですが、総じて退屈です。「オヤジって臆病だよなあ――。マンガの中ですら常識や社会の枠組みをはずせないんだ。これじゃ窮屈だろうなあ。」と同情すらしてしまうほど。

同じく小学館の雑誌ビッグコミックオリジナルはたぶんもう少し読者の年齢設定が若いんでしょう。ちょっとはドラマティックな味付けがなされています。なにせ名作「MASTERキートン」(浦沢直樹著。「MONSTER」よりこっちが好き)が載ってたところだし。今は「PLUTO」が載ってるので立ち読みリストに入っております。んで「弁護士のくず」(既刊4巻・井浦秀夫)を読んだわけです。

「このしょぼしょぼした絵どっかで見たよな~?」と思いながら、期待せずに読んでいったんですけどね。「また、オヤジマンガにありがちな特殊職業マニュアルモノかいな。」と見くびってましたけど、びっくり!

ストーリー展開がうまい!!

「おおッ」というような大逆転が必ずラストに用意されてます。この短さでこの起承転結は凄い。それで、結末が明るい。後味がいい。

ううううううむ。

そして主人公のくずのキャラ設定が秀逸。オヤジマンガって意外にこういう人格破綻者の悪党を主人公にもってこないものなんス。そのマンガ世界の中じゃ「困ったチャン」てことになっているけれど、「実は、どってことない普通の主人公」が好きなのがオヤジ。くずの性格の悪さは、結構冒険だったのでは?

でもさ、弁護士が扱うようなトラブルを裁くには、これぐらいの悪党じゃないと間に合わないと思うんだよね。「毒をもって毒を制す」は正しいわけで。オヤジ好みの硬直した「正義」じゃ現実は見えないでしょ。特に女がらみの場合。この世で女ほど「オヤジの正義」をバカにしてる人種はないもの。んでもって世の中の半分は女なんだわ。くずがAV好きのドスケベオヤジでそれをまったく隠す気配もない設定てのは正しい。それこそが難題、難事件を裁く鍵でありましょうよ。

んで、「この作者、やたらとAVとその周辺に詳しいなあ。」と気づいたときに思い出した。「AV烈伝」(既刊5巻・小学館)を描いたヒトだった!!

納得。あれはAV界を巡る人々を熱く語った傑作。なかなかないので探しているところだったのだ。そうか、今これを描いているのか~~。

と、思っていたら「弁護士のくず」は春にTV化されていたらしい。しかも豊川悦司がくず役。んで伊藤英明が相棒役。だったらしい。――――いったいどんなTVドラマだったんじゃ~~?!

これはちょっと見てみたかったかも。