椿屋敷のお客様

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2006年8月

2006年8月31日 (木)

バッタ

Nec_0042_6 たぶんトノサマバッタの幼齢じゃないかと思うのですが、確かなところはわかりません。藪になった草むらは今やバッタだらけです。一歩進むごとにピョンコピョンコと四方八方に跳ねていきます。

20世紀初頭まで、大陸ではトノサマバッタが大発生して、一面空を覆い尽くす大害虫の群れとなる恐ろしい現象があったわけです。それは恐れをこめて「飛蝗(ひこう)」と呼ばれました。

通常のトノサマバッタは「孤独相」と言って、なんてことないバッタです。が、群れになって「群生相」となると、顔つきは凶悪になるわ、後ろ足は長く強力になるわで、長旅にも耐えうるようになります。その何億匹というオーダーの虫が、ありとあらゆる地上の植物を喰らい尽くしながら大陸を移動して行くのですと。

オソロシーですね。

中国には「易姓革命」という思想があります。「どんなに栄えた王朝もいつかは滅びる事を免れない。次の王朝に譲る天の時が来る。」という「ごもっとも」な思想なのですが、この「天の時」の兆しとして「飛蝗」があったのです。

なにせ一旦飛蝗が発生すると、ありとあらゆる植物を喰らい尽くすまで止みません。当然食べるものが無くなった民が、大量の流民となって少しでも食べ物のある土地になだれ込みます。それがまた中国の話ですから、人間の数も半端じゃない。飛蝗以上に凶悪な何十万、何百万と言う数の流民が大陸中を彷徨う。考えるだけでもこれまたオソロシー。そんな状態に国土が叩き込まれたら、まともな政治ができるはずがない。あっという間に王朝は滅びてしまいます。中国の歴史とはこれの繰り返しなのです。

幸か不幸か、我が国では国土が狭すぎて、トノサマバッタが飛蝗になるほどのべらぼうな単一作物の土地がありません。何でも中国から取り入れた我が国に「易姓革命」の思想が入ってこなかったのは、こういう自然条件の違いがあったわけです。

「万世一系」とやらが継続されてきたのは(これにもさまざま異論はありますが)、たまたまの自然条件からきた単なるラッキーなのです。

勝手なトウガン

Nec_0041_8去年腐ったトウガンの実を、もともと生ゴミ用のコンポストがあったところに捨てたんですよ。

そこから今年の7月、勝手に芽が出てきて、勝手にツルをそこら中に伸ばして、勝手に花が咲いて、勝手に実がなっておるわけです。もう、あたり一面トウガンのツルだらけ。

今年の夏野菜の中で、これが一番順調なのが、情けないやら、ありがたいやら。

2006年8月30日 (水)

夏バテ

Nec_0040_7 ここ数年酷暑の夏が続きます。こういう夏はヒトだけではなく、犬や猫も夏バテをするのです。

我が家のドリアン(アメリカンショートヘアーのハーフ・12歳・じじい)も、血便を出しました。かなりの出血、しかも鮮血で、たまげて動物病院に連れて行ったのが2週間前。

幸いにして血液検査には異常なし。猫エイズも猫白血病も、その他の命取りの病気はなし。ホッ。暑さがストレスになった腸炎らしいです。まあ、猫としては還暦を過ぎてますので、いろいろ出てくるお年頃ではあります。

動物病院に行ったら、犬やら猫やら、夏バテでいろんな症状をだした子たちでいっぱい。ずいぶん待ちましたよ。お医者様に聞いたら、やはり今年は多いそうです。犬も猫も体高が人間よりはるかに低いので、アスファルトの輻射熱の影響をモロに受けてしまうのです。熱中症になりやすいのは当たり前か。

ところで動物を飼ってらっしゃる方はご存知と思いますが、動物病院の受付表というのは、なかなか笑わせてくれるシロモノなのです。なにせ、犬でも猫でも本気で「家族の一員」と思っている人たちが連れてくる場所。飼主の皆さん大まじめに「田中タマ」とか「山本ジョン」とか、記入してらっしゃいます。まあ、わたくしも猫バカの一人として、大まじめにドリアンのフルネームと年齢を記入するわけですけどね。それが表となってずらりと並ぶと、なんとなくおかしい。飼主のネーミングセンスがもろに出ます。

なにせドリアンには「ドリアン様宛」で「混合ワクチン接種のお薦めはがき」とか「年賀はがき」とか大まじめに郵送されてくるわけで。(モモもきます)。もっとも保険が利かないペット医療は、人間よりはるかに医療費が高かったりするのだからして、はがきの一枚や二枚、ご挨拶がきたとしても驚くほどではないわなあ。

池袋ウェストゲートパーク5・反自殺クラブ

Nec_0039_9 故ナンシー関画伯が『ろくに見もしないで「テレビなんかおもしろくない」と言っているのにはムッとする。そういうのは私のように目がかすむまでテレビを見た者が言ってこそのセリフである。』とおっしゃってますが、まさしくその通りでしょう。ほとんどTVを見ないわたくしは、TVについて何もいう権利がございません。

脚本家宮藤官九郎の出世作TV版「池袋ウェストゲートパーク」も、去年ビデオ(DVDではない。泣ける)で観ました。石田衣良氏の原作(文藝春秋社)は、ほぼ発売と同時に読んでいるというのにです。我ながら現代日本に住んでいるとは思えない偏った情報の元に生きています。TV版もおもしろかったけれど、やはり原作とは違いますね。テイストが。

最初に原作の「池袋ウェストゲートパーク」を読んだときにはたいへんなショックでした。あまりのカッコよさに!

翻訳物を読んでいるみたいな垢抜け振り。でも舞台や風俗はまぎれもなく今現在の池袋(らしい。池袋知らないけど。)。あとで「A・ヴァクスの『フラッド』の雰囲気で書いた」というインタビューを読みましたが、まさしく、それ。ストーリーの作り方、文章、キャラクターの造形、すべてが骨太でオーソドックス、クラシックともいえる手法なのに、このおもしろさ。

「この作者は、悪党だわ!」確信いたしました。

いっちゃ何だけど、それまでの和製ハードボイルドはおもしろくなかった。特に男性作家のやつ。だってさ、主人公(だいたい30代~40代の男だ)が女々しいんだもん。「殺された女房の、子供の、恋人の、親の復讐のために単身巨大悪に挑む」こればっか。「だいたい女房子供を守れなかったのは、てめえがドジで身のほど知らずだからだろうが」とか「復讐の途中で人様に迷惑かけんな。あああ、また犠牲者が・・・」とかツッコミどころ満載。そのくせやたらとセンチメンタルでジメジメしてる。「女房が死んでから復讐するより生きているうちに大事にしろよ!甘ったれんな!」と、腹が立って腹が立って。

「池袋ウェストゲートパーク」は、その点目が覚めるほど鮮やかでした。主人公の果物屋のマコトのカッコよさ。ハードボイルドの常套、自嘲的セリフも満載なんだけれど、マコトが言うと卑屈じゃない。いわば「自分ツッコミ」でからっと笑わせてくれる。この「からっと」したところが大事よね。なんつっても「ハードボイルド」は「固茹で卵」よ。からっと乾いた文体が身上でしょ。

池袋のGボーイズを束ねるキング・タカシ(またこいつがカッコいい)。若手有望ヤクザのサル。しけた池袋署の刑事吉岡。鉄火なマコトの母。凄腕ハッカー・ゼロワン。まだまだいるけど、もう出てくる奴出てくる奴、「世の中の大勢に流されず自分の中のモノサシで判断する事ができる」カッコいい奴ばっかり。「池袋ウェストパークシリーズならいくらでも書ける」と石田衣良氏は言ってるけど、いくらでも書いて欲しいよ。「いつまでもこの世界に浸っていたい」と思わせる。どの話も後味が凄くいいのです。これだけ、毎回毎回「普通こんな事知らんだろ」というような悲惨なアンダーグランドの話を書いといてこの後味の良さはただ事ではない。

考えられる事は一つ。石田衣良氏が本物の悪党である。これしかない。どんな泥をかぶろうが汚物をかぶろうが汚れない揺らがない。それは腹をくくった本物の悪党にしかできない事。

TVを見ないのでよく知らないけれど、どうも石田衣良氏はTVにも雑誌にも今引っ張りだこらしい。雑誌で見る限りその意見には揺れがない。TVではどうなんだろう?もしナンシー関画伯がご存命だったら、石田衣良氏をウォッチしていただろうか?なんと言っただろう?読めないのが本当に残念です。

今回のⅤで一番よかったのは「スカウトマン・ブルース」。18人の女の子を風俗に紹介してその上がりで食っている凄腕スカウトマン、タイチ。この、聞くだけならば最低の男の、他に類を見ない魅力をあますところなく文章で見せる。なんという説得力。「やはりこの作者は悪党である。」と確信するのですが。

2006年8月29日 (火)

メガネ

Nec_0038_12 「ローテク万歳グッズ・その22」メガネです。

とんでもなくド近眼なもので、メガネもしくはコンタクトレンズなしで一歩でも外に出ようものなら、あっという間に犬のウンコを踏み、ドブに落ち、肥溜めにはまり、すれ違う人の顔がさっぱりわからず挨拶もせずにご無礼しまくるのみならず、走行中の車に突っ込み命も危うくなりかねない事は、火を見るよりも明らか。もはやメガネは体の一部。

18年使いつづけたメガネを甥っ子に握りつぶされ、ツルに割れが入ってました。ついに一昨日ツルが取れてしまい、お陀仏とあいなりました。まあ、替えどきでしょう。

写真のメガネはすでに2年前に作ってあったのですが、「こりゃあ、不良品だ!」と思ってずっと使ってなかったのです。セルロイドのメガネを常用してらっしゃる方はご経験がおありでしょう。鼻の頭に汗をかくとメガネがずり落ちるのです!文字通り顔からスパ――ッと落ちてしまう。コンタクトよりもタチが悪い。デザインが気に入っていただけにもうがっかり。鼻あてに樹脂のカバーを当ててみましたが効果なし。それどころか暑さと汗でどろどろに溶けてたいへんなことに。「騙された~~!」と泣き泣き鏡台の引出しに仕舞いっぱなしにしていました。

しかし、今回この非常時で、このメガネを使わざるを得ず、やっぱり昨日一日ずるずるずるずる顔から落っこちて、もう~イライライライラ。「このままでは畑作業に差し障る。」と、今日は朝一番に眼鏡屋へ走り、「なんとか止まる方法はないか?」と尋ねてみました。

驚きましたね。

ちゃんとメガネストッパーがあるんじゃん。商品名「メガロック」¥630。写真のメガネのツルのところにちょこんと飛び出ている突起がそれ。「この突起で耳にちゃんと引っ掛けてメガネを安定させる。」という理屈です。

「たったこれだけで?」と思いましたよ。でも効果覿面でした。つけた瞬間から、メガネの滑りはぴたっと止みました。

うおおおおおお!!こんな便利なシロモノがあったんかい!!

知らなんだ!早くに知っていればこのデザインお気に入りのメガネをもっと早く使えたのに。テクノロジーの進歩ってすごいなあ!そんで世の中知らない事ってたくさんあるなあ!ちゅうか、これ知らなかったのひょっとしてあたしだけ?

萩の花

Nec_0037_10 裏山を歩けばもう萩の花が咲いてたりするわけです。

「人こそ見えね 秋は来にけり」じゃ。

そういえば朝晩かなり涼しくなってきたし、昨日なんか昼日中でも過ごしやすかったなあ。

萩の花ってのが、これまたなんともいえず淋しげで涼しげで楚々とした花でございますよ。「野分に揺れる萩の花」は、よく秋草文様に使われますね。んで、またその情景にぴったんこなんですわ。侘び寂び好きの日本人にははまりますね。実際はワンワンと生い茂る強い草だと思いますけどね。大風が吹いてもさわさわと受け流して折れることがないし。

淋しげで涼しげで楚々とした美女が、実は踏んでも叩いても折れない頑丈者ってのは、よくある話でございますよ。ある意味おなごの究極の理想。

2006年8月28日 (月)

キカラスウリの花

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カラスウリとキカラスウリの花が好きなんですよ。真っ白で繊細な作りでしょ?レース編みみたいな。

カラスウリは暗くなってから花開きますが、キカラスウリはまだ明るいうちから咲くので、ライトをつけずとも写真に撮れるというわけです。

これの根からは天瓜粉(てんかふん)が採れまして、昔はベビーパウダーとして使っていたのですと。美白化粧品の商いをやっている友人のしまねこさんが「そういうのぜひ復活して欲しいよ」とおっしゃてました。ごもっともじゃ。

20年ぐらい前にベビーパウダーに使うタルクの中にアスベスト(!!)が混入してた事があったんだよね。今はどこの業者も「うちのタルクにはアスベストは混入してません。」て口を揃えていっているけど。タルクそのものが滑石の粉末なんだよね。鉱物よ鉱物。そこらには詳しくないから突っ込まないけど、あんまり鉱物を肌に塗りたくりたくないなあ。「植物起源、動物起源なら安全」と盲信するつもりはないけれど、ミネラルオイルも要するに鉱物でしょ?なんか、そういうの塗るのやだなあ。赤ちゃんのお肌ならなおさらだよ。

キカラスウリの根から採る天瓜粉。ひょっとしたら近いうち復活するんじゃなかろうか?

藪の朝顔

Nec_0036_12 藪の中に野生化した朝顔が咲いていました。まだ2世代目なのでしょう、10cmぐらいの大きな花が咲いています。

朝顔は自然交配すると、まず花色が青紫に先祖帰りします。次にどんどん花の大きさが小さくなって、数が多くなります。「美しさより種の多さ」ということなんでしょう。

この朝顔の花が、ままごとでジュースを作るのにたいへん具合がいいのです。

アントシアニンを多く含んでいて、花びらが柔らかいので、花を集めて潰すと、鮮やかな赤紫色の汁がとれます。どんなに青い色の花でも潰すと赤紫色の汁がとれるので、あれは不思議でした。ジュースを作ってもちろん飲むわけでもなく、ただただ色鮮やかな汁がとれるのがおもしろかった。オシロイバナの花も同じような色の汁がとれました。まあ、昔から似たような事をやっていたわけです。

朝顔の種は牽牛子(けんごし)といって強力な下剤。うっかり口に入れたらひどい目に遭いますぞ。

2006年8月27日 (日)

カブトムシの雌

Nec_0033_13 「『虫なんか嫌いだ~嫌いだ~』とかいいながら、昆虫の記事が多いじゃないか。いやよいやよも好きのうちか?」などと誤解されるかもしれませんが、鶏小屋の近所にカブトムシの雌が来ていましたので。

いや、嫌いなんですよ。嫌いなんですが、いかんせん今の時期虫が多い!非常に多い!ここは山の中。

たぶんここらへんは落ち葉も多いし腐れた木の枝もあるので、卵を産みつけようとやってきたのでしょうかね。こういう木屑おがくずのある場所を、彼女達は見逃しません。えらいもんです。春にこういうところを掘り返すと、必ずデブデブぴちぴちの幼虫が入ってるもの。はっきりいってバカでかい蛆虫。たくさんいると思わずぎゃーッて言うぞ。

でも、昨今のクワガタ、カブトムシブームで、その気のある人にはこれはいい利殖物件なのでしょうね。よくマンションの一室でクワガタムシの養殖をやっていい収入を得ている人の話なんか聞きます。マンションの一室でねえ。人工的に湿度・温度を管理して上手に育てるのはたいへんだろうな。ちょっとした環境の変化で全滅するだろうし。マニアじゃなきゃできねえよ。そう思います。

トウモロコシと枝豆

Nec_0034_15去り行く夏を惜しみながら、トウモロコシと枝豆を食べんとするわたくしでございました。

・・・・・などとかっこつけてる場合じゃない。全然夏を惜しんでなんかいません。今日の予想最高気温も35℃、気温だけ見れば夏真っ盛りもいいところだっちゅうの。早くもう少し気温が下がって欲しいです。

トウモロコシと枝豆を茹でて、ちょっといい塩を振ってむさぼり食べ、気をとりなおします。

酒が飲めないのが本当に残念です。麦茶でも飲みましょうかね。麦酒と麦茶、漢字も原材料も似たようなものです(味は全然違うけれど)。もっともこれでわたくし酒飲みだったら、とんでもない事になっていたでしょう。「小原庄助さん♪」じゃありませんが「そ~れで身上つ~ぶした♪」ところでしょう。下戸なのは天の配剤です。そう思えばありがたい事です。