椿屋敷のお客様

樹木 Feed

2005年11月24日 (木)

椿「吾妻絞」

Nec_0022_1 椿「吾妻絞(あずましぼり)」が咲きました。

我が家近辺では昨日の朝など放射冷却で霜が降りていました。オンボロの軽のエンジンがかかりにくくなり往生しました。季節は確実に冬になっていきます。でも冬来たりなば春遠からじ!大好きな春がくるまでやることはどっちゃりあるのだ!

庭、畑のどこに、どんな椿・山茶花が咲き出すかわからないので、毎日の見回りは油断なりません。花が咲かないうちは椿の木を椿と認識してなかったりします。築山のグランサミアナの奥にも高さ3m以上の椿か山茶花の木が5,6本生えていますが、夏はどれも一緒の木に見えます。それが時期になるとああ――ら不思議。それぞれが色も形もちがう花をつけて個性を主張しだすのです。「吾妻絞」もその中の一本です。「絞」の名にふさわしく、白地または淡桃地に呉服生地の絞にそっくりな絞り模様が入っています。一重、ラッパ咲き、筒しべで中輪。花期は11―4月。葉は長楕円で大型。樹形は立性で強いです。なにせ花の枝に届かないぐらい高くなっています。古い尾張の花で来歴はわからないのですと。この花も好きだなあ。飽きがきません。

2005年11月23日 (水)

マユミの実

Nec_0016_1 マユミの実です。

ピンクの莢にちょこんと真っ赤な実が納まって、すごく好きな実です。

「マユミ」は「真弓」で、その材が固い上にしなやかで和弓の材に適しているのだそうです。弓といえばお客様の麦の花さんが、自宅に弓道場(!!)を持ってらしてご夫婦で修行してらっしゃるのだそうです。すごいなあ。

親戚に「真弓」という姓があり、どちらが苗字か名前かわからないです。樹も綺麗ですが、名前も綺麗です。

2005年11月20日 (日)

金柑の実

Nec_0010_3 新聞の天気予報では晴れだったのに、なんとなく風雲急を告げる感じの今朝の天気です。

朝早くからご近所の畑でも「雨が降らんうちにハヨせんななぁ。」とカライモのツルをまとめて燃やしてらっしゃいます。煙は上に登らず、いい匂いをさせてそこら中に漂っています。あっという間に冬がやってきましたです。

風邪除けに金柑の砂糖煮はよく使いますね。背筋がぞくぞくしたり、喉がいがらっぽくなったとき、金柑の砂糖煮と蜂蜜とちょっとラム酒を入れてアツアツのお湯で割って寝る前に飲むと、ほかほか暖かく眠れて翌朝には回復していたりします。ですから金柑の砂糖煮は必需品なのですが、畑の奥の金柑の木は台風14号にやられて半分しか実をつけていません。でも、半分でも実をつけてくれたところがけなげです。ありがたや、ありがたや。

2005年11月19日 (土)

椿「グランサミアナ」

Nec_0009_4 ついに椿「グランサミアナ」が咲きました。

「グランサミアナ」は20世紀の終わり、返還前の香港で原木が発見されました。「グランサム」とは当時の香港総督の名前だそうです。

重い歴史や世界情勢を背負った宿命の花としての貫禄充分。純白の花弁の裂れとカーブが、なんともいえない華やかさを醸し出しています。庭の築山に植えてある株に花が咲くと、思わず”God save the queen!”と叫びたくなるような品のよさ。

日本で売り出された当時たいへんお高かったそうです。「椿屋敷にある椿・山茶花の中で一番の値段」だったと。お値段も貫禄充分であります。

2005年11月16日 (水)

山茶花「富士の峰」

Nec_0001_4 山茶花「富士の峰」が咲きました。

真っ白で、千重に咲き、中輪、11―1月に咲きます。明治初期に関西から広まってよく見かける品種なんですが、白が上品で、でも形は華やかで大好きです。死んだじいさんが白い花が好きだったので、「富士の峰」は何本もあります。葉は長楕円で中形、黄緑色。樹形は横張り性、強くて枝は斜上します。

通用口のまん前に3mぐらいの木があるので、そこによくめーさんを繋いでいます。めーさんの力でもびくともしない大木になりました。今は咲きはじめですが、もう少しすると雪が積もるように花びらが散ります。富士山の山頂に積もる雪をイメージしてつけられた名前なのでしょう。

2005年11月14日 (月)

ピラカンサスの実

Nec_0035_1 ピラカンサスの実です。

赤くてぷりぷりして一見おいしそうなのですが、これは毒草です。青酸系の毒を含み食べると激しい嘔吐と呼吸困難をおこします。コワ―――!

巷では毒物が話題になっていますが、怖い毒というものは身近になんぼでも存在しとるわけです。夾竹桃、レンゲツツジ、すずらん、シキミ、彼岸花、福寿草、チョウセンアサガオ、ポインセチアetc・・・・・全部普通にそこらに生えてます。だいたいジャガイモの芽からして毒だっちゅうの。こういう「身近な毒物を使った殺人」をよくテーマにしたのがアガサ・クリスティでしたな。ミス・マープルシリーズ大好きです。いかにもイギリス人らしい優雅でユーモアのある生活の中に、忍び寄る人の心の毒と現実の致死毒。ドキリとするような残酷さも流麗なクリスティの筆にかかるとある種の美しさすら感じさせてくれるのです。やっぱ「杉の柩」ですかね。あとどういうわけか「パディントン発4:05分」が大好きなんですよね。オクスフォードの数学科を主席ででたのに家政婦をやってる若くて美人のスーパー家政婦が大活躍します。どちらも毒物が使われてたな。「マッシュルームはたいへん危ないのよ」というセリフもでてました。あちらじゃ生で皮をむいて食べるのでよく中毒するらしいです。ああ、ここにも毒物。いくら毒物の管理を厳重にしたところで、殺意のある人間からこの世の毒物の全てを隠し通すことはできません。あとは身近な人間が「殺意をもっていない」こと、そして自分も「殺意はない」ことを信じ合うしか手はないのです。その信頼関係こそが社会というものでしょう。

2005年11月13日 (日)

椿「越の粧い」

Nec_0030_2 椿「越の粧い(こしのよそおい)」が咲きました。

母方の祖父が残したたくさんの椿ですが、名札が全部だめになっていて同定をやり直さなければなりません。意外なことにマジックインキは日光や雨風に大変弱いのです。1年もたてば白いプラスッチック製のプレートに書いたマジックインキの名前は消えてしまいます。一年草の草花の名前を書いておくには適していますが、何十年、何百年も寿命がある樹木の名前を書いておくにははなはだ不向きです。プラスッチック製のプレートもすぐ劣化して長持ちするものではないので、一番いいのは植物園なんかでやっているように木の札に耐水性のペンキで(できれば彫りをいれて)書いて立てておくことだそうです。花が咲かないとまず同定はできないので、今度のシーズンにでき得る限り確認して木札を立てていこうと思っています。

「越の粧い」は富山の民家で発見された種です。日本の椿の原種には「ヤブツバキ」と「ユキツバキ」があり、北陸地方が原産地の「ユキツバキ」系はこんな感じの千重-列弁咲きをします。代表的なのは「オトメツバキ」でしょうか。ぽってりして優しい感じの花形です。雪の中ではさぞかし映えるだろうなあ。淡桃色で中輪、11月-4月が花期です。葉は楕円、中形、波曲。樹形は立性で強いです。1970年の発表で、別名「霜月」。別名もいい名前だなあ。

椿「秋の山」

Nec_0038 椿「秋の山」が咲きました。

白地に紅の縦絞りが入っていてなんとなくおめでたい感じがします。一重の筒咲きかラッパ咲きのシンプルな花形も、おめでたい柄に控えめなシルエットという、着物柄に通じる江戸時代的な美意識にぴったりではありませんか。

大きさも小輪か中輪で控えめ。10月から4月まで花の時期は長いです。葉は長楕円から楕円、中形で波曲。樹形は立性で、主幹のない箒状の樹形になります。『椿伊呂波名寄色附』という1859年の本にはすでに載っているのですって。お江戸で作られたいかにもお江戸好みの銘花です。

2005年11月12日 (土)

ノイバラの実

Nec_0036 ノイバラの実です。

野生のバラ科の中では代表格でしょう。何十億年という藻類から始まる植物の歴史の中で、一番進化しているといわれる被子植物の中でも、バラ科は隆盛を極めている一族なのです。観賞用のバラはもちろん、桜、梅、桃、リンゴ、ナシ、あんず、アーモンドetc・・・・・。一族の中にはおいしかったり綺麗だったりする植物の名前がずらりならんでいます。そのうちでも、野生種に近いほどやはり強靭で繁殖力があります。ノイバラも大変丈夫な植物です。春、藪の中にいつの間にかたくさん白い花が咲いたな、と思ったらノイバラだったりします。ほのかにいい香りがします。

実を利尿剤や下剤に使います。

2005年11月10日 (木)

ハゼノキの紅葉

Nec_0029_5 ハゼノキが紅葉をはじめました。

人並みにハゼマケをするので畑の中にハゼが生えるのは困るのですが、これがまた鳥さんたちの好みらしく天然自然によく生えてきます。冬から早春の一瞬だけがハゼマケをしない時期ということなのでそこで切り倒さなければなりません。来年はタイミングをはずすまい!

北薩の地場産業で「鹿北製油」という「江戸時代からの伝統的なしめぎを使った手法で胡麻油を作っている」企業があります(またおいしいんですよ、その胡麻油)。そこが「ハゼノキ蝋燭を復元して生産するので、地元でハゼを生産する農家さん募集」をしてらっしゃる記事を最近読み、「なんだかわからないけど、世の中変わってきてるの?」と思いました。