椿屋敷のお客様

樹木 Feed

2005年12月 7日 (水)

ヤツデの花と実

Nec_0019_2 ヤツデの花と実です。白くてまんまるなのが実で、ぽやぽやとおしべがでているのが花です。

今は白い実が、そのうち黒くなります。ヤツデは昔は猛毒があるように思われていたらしいですが、そんなことはありません。めーさん(ザーネン種ヤギ・女の子・9ヶ月)も、ときどき齧ってます。でもむちゃくちゃおいしいわけではないらしく端に噛みあとがあるぐらいです。なんといっても好きなのは、モミジの葉とかマユミの葉とかあとカズラ類のようで、モミジは背伸びしてまで食べるので(その様子はかわいいです)、1m20cmぐらいまでの葉っぱはすっかりなくなりました。人間にはその味の差はわかりません。どれを食べても青臭いだけだと思うけどなあ・・・。

ヤツデの葉はリュウマチの薬で、干してヤツデ風呂にはいるそうです。あと、屋敷内に植えるとその大きな葉が霊力のあるうちわとなって、疫病や災厄を吹き払ってくれるらしいです。うちにも何本もあるので、頼むから今年はインフルエンザをうちに入れんで欲しいです。ウィルスを吹き払ってくれ。

2005年12月 3日 (土)

椿「曙」

Nec_0036_1 椿「曙」(あけぼの)が咲きました。

またまた相撲取りみたいな名前ですが、「曙」の名前どおり、夜明け前の空の微妙で絶妙な淡いピンクのかわいらしい花です。

椿の品種改良がもっとも盛んで熱心だったのが江戸時代、相撲の様式が確立したのも江戸時代、名づけのセンスに共通するものがあるのもむべなるかな、であります。閉塞された日本列島という空間の中で、狭いけれど深く深く耕すような独自の文化を発展させた、特殊な時代。「その時代にもどりましょう」というのは全くのナンセンスですが、「全部切り捨ててしまいましょう」というのもナンセンスです。

お相撲がなくなるのは嫌ですが、えんえんと「兄弟確執、お家騒動」を見せられるのはごめんです。だから憎憎しいぐらいに強い悪党面をした、草原で裸馬に乗ってた横綱(でも、引退する行司に花束と金一封をそっと渡す男気ある横綱)や、長身でハンサム、ヨーグルトの国の(親孝行)大関みたいな、外国人力士さんが増えていくのはすごくいいことだと思います。でも、相撲を英語化したりしちゃだめ。あくまで独自の路線を貫いて、まわしと髷もあのままで。

と、相撲取りの曙も大きかったですが椿の「曙」も大輪です。一重の椀咲き、筒しべ、蕾はピンクのまんまるです。葉は楕円の中形、肉厚。樹形は立性で強いです。江戸時代の京都は伏見・桃山あたりが出生源?ここらに古木が散在するそうです。

2005年12月 1日 (木)

万両の実

Nec_0042_4 思いもかけないところに万両が生えていて実がなっていたので、なにか気持ち縁起よくうれしくなってきました。

もう師走、お正月が間近です。万両、南天、葉牡丹、若松、青竹、梅、・・・。めでたさを演出するための植物の数々。3年ぐらい前から、「やはり門松を己の手で作らねばならん。福神サアと屋敷神サアを呼び入れるのじゃ!」と思いたち、12月31日の日が暮れるまでになんとかかんとか大掃除をしたあと、なんとかかんとか門松を作っています。9月1日が過ぎても宿題が終わってなかったのになあ。これに関しては年が明けたら値打ちがなくなるので必死です。大人ってこういうこと?違う?

庭と畑があるということはありがたいことで、そういう材料もほとんど自宅調達できるので、あとは己が勤勉かどうかだけ。試される行事です。その日にあわてないように、「竹OK、葉牡丹OK,・・・」と今から確認中です。しかしここに万両があったとはなあ―。(南側、山茶花大錦の根方)ありがたいよな―。

レモン

Nec_0041_5 レモンの実がなってます。まだ少し青いです。

めーさん(ザーネン種ヤギ・女の子・9ヶ月)がおもしろがって、かなりの実をむしってしまいました。あいたたた。ぼとぼと落ちるのがおもしろかったようです。しょうがないので落ちてしまった青い実は自家用廃油石鹸の匂い付けに使いました。今4年目の木ですが、よく実をつけてくれます。柑橘類がよく熟す季節です。

2005年11月30日 (水)

椿「西王母」

Nec_0038_2 椿「西王母」(せいおうぼ)が咲きました。

またこれがいい~花なんですよ。ぼってりしてるんですが、淡桃地のぼってりした花弁の外側になんともいえない微妙な紅のボカシが入ってます。色っぽい。Nec_0040_1

あああ、もうちょっと写真が上手だったらなあ・・・。

「西王母」って中国神話の仙女の親玉なんですよね。「西遊記」にもでてきます。3千年に一度だけ実がなって食べるといつまでも若く長生きできるという桃の木を持ってるんです。蟠桃会というそれのお披露目パーティで大暴れしたのが孫悟空。ちょいと年増だけどいかにもそういう桃の管理人らしい色っぽい姐さんが西王母。この椿にもふさわしい名前です。

一重、筒咲き、中輪、9月~4月が花期。葉はやや長楕円の中形。樹形は立性で強し。もともとは幕末に金沢でできた品種らしいです。いかにも古都金沢にふさわしい。金沢には「加賀侘介」という銘花があるのですがその自然実生との説あり。

2005年11月29日 (火)

山茶花「鎌倉絞」

Nec_0033_3 山茶花「鎌倉絞」(かまくらしぼり)が咲きました。

いや――これがまたいい花なんですよ。紅色の地に白斑が鮮やか。そして花によって白斑の入り方が全部違います。一重のラッパ咲き、小輪、花期は12月~4月です。ああ、もう12月なんだなあ(ばたばたばた)。葉は長楕円の小形ときどき黄斑が入ります。その葉の黄斑がまた美しい。樹形は横張り性で弱いです。

江戸時代の椿図譜にはもう「鎌倉」の名で出ているのですって。古い銘花なのです。いかにも江戸時代に好まれそうな、ちょっとアンバランスで危うい魅力。「鎌倉」の名前もいかにもですよね。古木は中部地方に多いとな。

今日はヤギ運動場完成!と喜んでめーさんに入ってもらったら、あっという間に格子をすり抜けて出てきてしまいましたがな。格子の幅広すぎでした。もっとめーさんデブかと思ってました。あまりのショックに力が抜け、近くの温泉に行ってしまいました。あああ、間抜け―――。やりなおしだぁぁ―。

2005年11月28日 (月)

椿「蔦紅葉」

Nec_0005_4 うわああ~!すみません、間違いました!!お客様の麦の花さんからご指摘がありました。(青い顔)

「お蔦・主税の湯島天神」は泉鏡花の「婦系図」で、下駄を履いて女を蹴飛ばすのは尾崎紅葉の「金色夜叉のお宮・寛一」ですと!主人公のカップルの名前を間違えてましたよ。恥ずかし~~~!みなさんでたらめは速やかに忘れてください。

本当にありがとう麦の花さん。(しかもメールで送ってきてくださるという奥ゆかしさ。感動しました。)これからも、おバカな間違いをしてたら教えてください。他のお客様のみなさまも、どんどこ教えてください。お客様の賢者の一人totto*さんのセリフではありませんが、愚かなる春であっても一歩一歩、日一日と「賢者への道」をみなさまのおかげで歩んでいけますのです。

というところでまたまた「蔦」の名を持つ花、椿「蔦紅葉」(つたもみじ)が咲いています。おもしろい花で桃色の花弁の1枚おきに白い雲状斑が入るのです。確認してみるとほんとにどの花も一枚おきに斑が入っています。「好き、嫌い、好き、嫌い」と花占いをするとおもしろいかも。一重の平開咲、サザンカ芯、中輪、花期は11~3月です。葉は長楕円で中形、樹形は横張り性。立寒と攸県油茶の種間雑種。新潟県原産で1988年発表です。これも、趣があって好きな花ですが、畑の奥に生えていて長い間忘れ去られていました。ごめんね。

2005年11月27日 (日)

ドウダンツツジの紅葉

Nec_0028_4ドウダンツツジが紅葉しました。

ドウダンは「灯台」で、宮中で使われた「結び灯台」(どんなの?)に花が似ているからだそうです。花は3~4月に白くて小さい釣鐘みたいなのがたくさんつきますが・・・。その花が満天の星のようだと、同じ読みで「満天星躑躅」とすごい漢字を書いたりします。ロマンティック過ぎるんじゃ・・・。ちょっと気恥ずかしいぞ。

確かにかわいい花だけれど、紅葉のほうがパッと派手だしなあ。

しかし、「美男葛」はOKで「満天星躑躅」にチェックが入る言語センスってのも我ながらどうかと思いますわ。

2005年11月26日 (土)

茶の実

Nec_0026_3茶の実です。

やっとというかなんというか、畑の奥の茶の樹が何本か生えている一画の手入れに着手いたしました。ほうりっぱなしで伸びっぱなしの茶の樹は4m近くも間延びしています。藪を払うと同時に樹も剪定しています。枝を詰めて小枝を増やさなければ。

朝起きれば一番にお茶、朝昼晩のご飯にお茶、おやつにお茶、と、とことん緑茶党なので、自家製茶は悲願です。おいしいお茶は「霧や露が葉に溜まる高地」でできます。実際うち近辺は昔からどこの家も茶を栽培して自分のうちで製茶していました。祖母が作るお茶は身びいきを差し引いてもおいしかったのです!

そのためには樹を手入れしておかねばなりません。今の時期は花が実を結んで茶の実がなっています。「手摘みで自家製茶を作るのには実生で増やすのがいい 」(実生だと収穫の時期にばらつきがでるから、新茶を長く楽しめるため)と聞き、剪定しながら熟した実を集めています。隣の畑との境に蒔いて、茶の垣根を作ってやりましょう。気の長い話ですが、種を蒔かねばお話にならんもんなあ。まあ、「おいしいものを収穫する」ためには気が長くないと。せっかちではいかんのよ。

椿「白太神楽」

Nec_0025_4 椿「白太神楽(しろだいかぐら)」が咲きました。

椿屋敷農園の椿は17年前に亡くなった母方の祖父が集めました。プロでもないのに集めた椿200種以上(残っている木でも推定150種以上)という、「ちょっとどうよ?」な、何にでもマニアックなのめり込み方をする明治男でした。

それだけなら「さぞかし謹厳実直を絵に描いた雷親父であったろう」なのですが、さにあらず。実にすっとぼけた飄々じいさんで、今鳥取に住む従兄弟いわく「エロじじい」。ホンダのナナハンが発売されるや即免許取り(当時はオール限定解除)。何のためにとったかというと「ヌード写真撮影同好会の撮影旅行」のため。磯のお庭や北九州など、同好の士達やモデルさんと撮影旅行。そのために買った「MAMIYA RB67」は「女の肌が一番美しく撮れるカメラ」だから。(遺品として遺されています)。従兄弟はただ一人の男孫だったため、祖父なりに何か思うところがあったらしく、12歳を過ぎて遊びにきたとき「ばあさんやかあさんにはゆうなよ。」と、秘蔵のヌード写真をげっぷが出るほど見せられ「よかどがー!よかどがー!」と。「まじエロじじいや思たで」と、葬儀の席で従兄弟。

かといって明るい清潔感があったのが、明治男の不思議なところで、柔剣道7段、なぎなた5段、居合道3段。狭い自宅に道場を作って修練をやってました。エロ好きで派手好きなくせに好きなのは白い花。人間って一口では語れない複雑さですね。

「白太神楽」はそういう祖父が好きだった花なんだろうな、と思います。『太神楽』は「獅子舞」の意味もあり、花形は牡丹咲きもしくは獅子咲きの派手な形、中―大輪。でも色は真っ白。11月から4月が花期。樹は立性。葉は長楕円で中形。玄関の並びの3m級の樹の中の1本。