はっと気が付けば前の畑も隣の畑も、おじさんやおばさんが茶摘籠を抱えて茶を手摘みしています。五月二日は、はや八十八夜です。
うちのご近所は昔から茶を作っているところで、(なんせ山の上で霧がかかる。お茶に適した気候)畑の境には当然のように茶の木が植わっています。うちも隣の畑との境に野放しのままだったのですが、去年の秋、半分だけ剪定しました。
今年はちょっくらできる範囲で茶を手摘みして手もみしようかと思っております。五月二日は決戦の日。ええと、茶摘籠と~バラと~釜~、道具は全部納屋にあるはず。雨が降りませんように・・・・・。って、そんなに気張らんでおきましょう。ぼちぼちぼちぼち、マイペースマイペース。
さて、うちの近所の藪、秘密の場所に生えているサルトリイバラですが、「我が家の畑に移植」せんと虎視眈々と狙っておるわけであります。(道路端なので人のうちの土地ではないです)
目をつけていた株が五株あったのですが、なんとそのうちの一株がこの間の部落(鹿児島ではこの言葉に差別的意味はありません。念のため)の草払いできれいに刈られてしまいました。ガ―――――ン!!
男の人の中には「カカランダンゴ作り」に全く興味の無い人もいるわけで、サルトリイバラも他のカズラも一緒くたに刈ってしまったようです。あいたたた。
気を取り直して残った株の根の回りに、スコップを入れて丸く根を切って作っておきます。移植するのは梅雨時ですが、それまでにこうやって根を作っておくと格段に移植の成功率が違うのです。やはり下準備、段取りは一番大事です。
早春にいただいてきた枝を挿した中で二本だけ「ついたかな?」というのがありますが・・・・・。微妙。なにせサルトリイバラは日照時間にシビアーな植物。照りすぎてもダメ、暗すぎてもダメ。条件が合わないとあっという間に無くなってしまう。さてさて・・・・・
『秋の日差しに揺れる、色とりどりの小菊の垣根。玄関から築山へ優美なる曲線を描く菊籬』
という見果てぬ夢のための一歩です。四月始めに株分けした菊の冬至芽が根付きましたので、ゴゴ――イと(この鹿児島弁だい好きなんですよ。『たくさん』の意味なんですけど、いかにもどーんと豪勢でしょう?)ヤギ糞堆肥を撒きました。ふっふっふっふっふ。そーだて育て!
あとは6月の梅雨時に、挿し芽をしていきます。なぜかというと菊は4ヶ月で成長して下葉が全部上に上がってくるからです。すそのほうが丸裸の頭でっかちの株になってしまいます。菊の花期は10月~11月。逆算して6月に挿し芽をしておくとちょうどいい按配のかっこいい葉の生え方になるというわけ。最初にこれを聞いたとき「素晴らしい!!なんて、合理的なんだ!!」と叫びました。
梅雨期は湿潤で挿し芽がしやすい時期。園芸菊の歴史は長いので、ほんと素晴らしい育て方が確立されてるんだなあ。
さて、キャラウェイは五千年前から使用され、石器時代の遺跡からも発見されているという歴史の古いハーブなわけです。古代エジプトでもおおいに使われたという・・・・・
ここらあたりですでにあやしげですね―――。
その後ヨーロッパの中世で「魔女のハーブ」と呼ばれ、「人や物を集める力をもつ」として用いられてきたのだそうな・・・・・よって、男の心を引き寄せたり、財産を集めたり、その手のまじないに使用されたそうな。
あやしげ――――!!
そういうの大好き!
というわけで、椿屋敷農園にも3本のキャラウェイの株が植わっているのです。そして、キャラウェイの魔力かどうかはわかりませんが、何ゆえかじわじわとものが集まってきています。ありがたいことに最近いただきものが多いのです。
餅用のモロブタとか、レーザープリンター(これまだ接続してないけど)、バラ、君子蘭、アリウム、紅茶ポット、花瓶、そうめん、麻婆豆腐の素、固ヤキソバ・・・・・
・・・・・って、人さまから見れば「なんじゃこりゃ――?」なシロモノも入ってますが。「いただける」そのことがありがたくうれしいこのごろなのです。
セージ類はサルビアの仲間なので、サルビアそっくりの花が咲きます。サルビアの仲間は薬用になる種類が多く、サルビアの名前そのものがラテン語の「サルベール(健康である)」から来たのだそうで。(ここらあたりハーブ辞典の丸写し)。人間も健康にするけれど、セージそのものも頑健な植物です。だいたいハーブはもともとがヨーロッパの野草ですから、頑健で繁殖力旺盛な植物が多いです。
なによりサイモンアンドガーファンクルのスカボロフェア―、「パーセリ・セージ・ローズマリー・タイム♪」ですわ。この四つのハーブは揃えたかったのですが、今全部揃っているのでしあわせ。
セージは名前どおりソーセージに使う植物なのですが、いまだソーセージに使う機会なし。とりあえず豚肉料理には使ってます。
カラスムギなんであります。
飼料用かなにかで輸入されてきたのが野生化したんじゃなかったかな?でも、ここらあたりうろ覚えです。これもまた道端に畑の土手に河原に、ありとあらゆるところで今頃穂をだしています。
この花穂を包む茎ごと引っこ抜いて、根元側の空洞の部分を3cmから5cmぐらいの長さに折り取ります。その片側を軽くつぶして、口にくわえて吹くと「ピ――プ――」と音がします。これが麦笛です。ナノハナのエントリーで山村慕鳥の「風景」の詩の中に「かすかなるむぎぶえ」という連があるのですが、必ずこの音を思い出します。
田舎の子供は春になると、茅花(ツバナ)を咥えて「甘い甘い」と喜んだり、カラスムギで麦笛を作って吹いたり、レンゲやクローバーで花冠、草イチゴを集めて食べまくり、まったく退屈はしなかったなあ。
もっとも雀は
ちいちいぱっぱ
ちいぱっぱ♪
雀の学校の先生は
鞭をふりふり
ちいぱっぱ♪
などと学校の先生ですら鞭をふりふりするぐらいですからな。可愛らしい外見に似合わず、鉄砲ぐらい持ってるのやもしれません。野生の雀の平均寿命は2年を越さないとか。鳥類の世界も過酷な生存競争です。
植物のスズメノテッポウは、こらまたたくましい植物でして。畑にこれが入るとまず根絶は難しいです。今時分になるとひょひょひょひょ~とすごい勢いで「鉄砲」に例えられる穂を伸ばしてきます。油断してるとその穂で地面がかすんで見えなくなるほどです。イネ科なのでヤギさんたちが大好きなのが救いですわ。
一説によるとバラ科は「植物の中で最も進化した一族だ」そうな。こういうのを聞くたびに「それがどうした?」と仏教徒は思ってしまいますね。例えば「人類は動物の中で一番進化した一族だ」とかと同レベル。
へゴのエントリーで書きましたが、生物が発生して以来何億年、何十億年とその基本設計を変えないままに生き延び、繁栄している種というのはごまんとあるわけですよ。「いかなる環境の変化にも適応し棲息・繁殖できるデザイン」というのはかなり優れた設計ですよね。
「進化した」それの何が偉いんでしょうか?うれしいのでしょうか?ひょっとしたらそれは「進化の袋小路にはまっている」だけかもしれないじゃないですか?三葉虫や恐竜やサーベルタイガーやマンモスのように。
そげな小難しい理屈をつけてバラを誉めるより、その美しさをその香りを誉めるべきでしょう。
ノイバラ・・・・・今頃、ちょっとした日向にはそこかしこに生えていて見事な白い花をたくさんつけています。野生種らしい甘くほのかな香りが漂わせながら。
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