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慣れ親しんだ猫の毛を掻き分け、よく太った蚤を探しては追い詰め、親指の腹でぷちんと潰す。猫は気持ちよくて「ごろごろごろごろ」言いっぱなし。
「蚤とり」は大人でもたいへん楽しい行為だと思っておりましたが、幼児にとっても興味の尽きない娯楽のようです。うちに滞在している広島の3歳の甥っ子は、ちょっと暇ができると「猫の蚤とる。猫の蚤とる。」と言い出します。とらせるのはドリアン(アメリカンショートヘアーのハーフ・16歳・じじい)なのですが、今までの長い付き合いから彼の蚤を取る場所も時間もだいたい決まっており、甥っ子の望みどおり「いつでもどこでも」というわけにはいきません。ドリアンが望まない限り、追いかけても逃げるだけだよ。
動物ってのはそうなんだよ。特に猫は。人間の側が辛抱強く待たなくちゃならない。ごろごろ言ってる最中でも、いきなり手を出すと驚いて逃げちゃうんだよ。少しづつ「動物の都合」を学習している甥っ子なのでした。
一神教というやつが嫌いです。さらにいうなら「自分を正しいと信じて疑わない」やつが大嫌いです。こういうやつの迷いの無さは、自覚のある悪党よりはるかに迷惑です。有史以来、最も多くの殺人が「神の名の下に」なされてきたのです。そして今この瞬間にも「神の名の下に」人が、殺され続けているのです。
上橋菜穂子氏の「守り人」シリーズは、ファンタジーでありながらありとあらゆる人間社会の含む問題に切り込んでいるのですが、「神の守り人」はまさしくこの問題に真っ向切り込んでいます。それも児童文学の枠内を外さず、わかりやすく過不足無く、でありながらおもしろく。なんという離れ業でしょう!!すばらしい!
あいかわらず、ファンタジーの命、世界観の構築も見事。「何十年、何百年に一度、異界から押し寄せる『恐ろしき神』を運ぶ川」のイメージ、こんなのどうやって思いつくの?!異界の見えない川が押し寄せてくるとこの世では川の光だけがゆらゆらと光り、苔が湿り始める。なんと豊かなイメージ。
異界の川の中にいる『恐ろしき神』をこの世でコントロールできるのは、『恐ろしき神』に選ばれた少女だけ。その力を手に入れた少女は自分の心ひとつで人を虐殺できるようになるのです。少女にとっての絶対正義でも、他の人々にとって決して正義ではない。それが心の奥底でわかっていても、強大な力を手に入れた少女は「殺すこと」を止められない。そして「殺すこと」を始めてしまうと、今度はその「殺したこと」に追い詰められてさらなる「殺し」を重ねてしまう。そのジレンマの恐ろしさ。上橋氏は容赦なく少女を追い詰め、「ああ、この解決法しかなかったな・・・・・」というラストにもっていきます。
そうです。「絶対正義」を標榜してしまうと行き着くところはここしかないのです。「自分は正義に則っている」というのはある種の高揚感を伴う気持ちのいい行為だったりするのですが、その気持ちよさの裏にある罠はとても恐ろしい。だから「水戸黄門」も大嫌い。あれも「葵の御紋」のもとに行われるリンチであり大虐殺なのです。
TVは前世紀の後半から人類社会を席捲しましたが、この機械をある種の神として一神教がはびこっていると思います。そういう世の中で本、しかも児童文学という一時代も二時代も前のメディア分野で、こういう作品が生まれだしているということは大変に意味のあることだと思うのです。
ひとつのシリーズにはまったら、徹底的にそれを読みつくすまでは止められない止まらない、という読書癖がありまして。まあ、でもそんな人は多いんじゃないですかね。おもしろいと「続きは、続きは?」夢中になりますね。
今、はまっているのは上橋菜穂子氏の「守り人」シリーズ。たまらん。おもしろすぎ。
さっき番外編とでもいうべき「虚空の旅人」を読み終わったところなのですが、・・・・・・・・良かったわあ・・・・・・・(溜息)。
なにせわたくしチャグム皇子びいきなので、チャグム全編大活躍!のこれはうれしさ倍増!「精霊の守り人」のときより少し大人になったチャグム。「黒い目がどきっとするほどきれいなの」と他国の王女に言わしめるほど魅力的で、なおかつ内に激しいものを秘めた少年に育ってきてます。いいぞ、いいぞ。さらにいうならチャグム皇子の学問係、星読み博士のシュガ。シュガも好きなんですよ。この主従がでてくると「出たーーーーー!!」と叫んでしまいます。
それにしても上橋氏、本業は文化人類学の学者さんだということですが、すごいよね。ファンタジーの命は世界観の構築だと思うんだけれど、その世界観にまったくの揺るぎがない。今回の舞台「サンガル王国」の設定もすごい。「海洋王国にして多島国家、先祖は海賊だった王家。かしこい王家の女たちが島守の男たちと姻戚関係を結んで成立している。」なんて設定、やっぱり現実のフィールドワークをしてる人じゃないと考えつかないよ。
おもしろかったーーーー。!!
あとは「天空の守り人」を図書館で予約しております。早く連絡来ないかな~~。首を長くして待っているところなのです。
うちの猫も犬も鶏もヤギも彼の好奇心を刺激してやまない存在らしく、猫は追っかけまわし、犬は触りたがり、ヤギも鶏も「ヤギさんにごはんあげる、鶏さんにごはんあげる。」と大騒ぎ。夕方の給餌の時間には起きているので、ちょっと夕暮れになってくると「おばちゃん、ヤギのごはん、鶏のごはん。」と自分の食事もそこそこに走ってきます。わが甥ながらかわいいぞ。
ところが、朝の給餌の時間は夜が明けるか明けないかの早い時間。彼はまだおねむ。「おばちゃん、朝もごはんあげる。」「起きることができたら一緒にやろうね。」
さて、今日もそろそろ夜が明けてきました。甥っ子起きることができるかな?
鹿児島地方の今年の夏は鹿児島気象台始まって以来の暑さで、なおかつ10月の中旬まで夏日が続いたという異常事態でした。
この暑さで人間や動物ももちろんまいったのですが、他にもちょっと怖い話を聞きました。
いつまでも地温が高すぎて、本来ならば秋の彼岸前後に植える秋冬野菜の種の芽が出てないらしいです。平野部では特に。こういうの「種が煮える」というらしいのですが。
おかげさまでうち近辺は「鹿児島のチベット」ともいうべき山の中、なにごともなく白菜や大根やほうれん草なんかの芽が出てきました。でも、ほんとうに作物というのは気象条件に左右されます。まさしく「運を天にまかす」です。
このままでは今年の冬は野菜の値段が上がるかもしれません。おりしも原油価格は90㌦を突破。灯油もガソリンも上がることは間違いなし。なにかたいへんな予感がします。
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