椿屋敷のお客様

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2008年8月

2008年8月21日 (木)

席巻する葛

Nec_0038 今年の夏も猛暑の夏、お盆を過ぎても34℃。かな~りヒートアップしております。

こうやって気温が上がると植生が変わってくるだろうな。それも猛スピードで。たぶん蔓草が繁茂するんじゃないか、と思うんだよね。

樹木類は成長に時間がかかるでしょ。対して蔓草はあっという間に成長し、絡み付けるところすべてに絡まって覆いつくし、下を影にして木も草も全部枯らしてしまいます。そのパワー恐るべし。

中でも葛はすごいです。荒地で一面葛だらけで、それでも足らず電信柱やフェンスなんかも葛が這い登っているのをよく見かけますでしょ?あの調子でたとえ温暖化が進んでもこの草は生き残るんじゃないかな?

佐藤史生という漫画家が昔「葛の極相林に覆い尽くされた未来の日本」のマンガを描いてました。「葛のために他の森林も植物も潰されて、何百年も葛餅ばっかり食べてた日本人」ってマンガ。とても変な話だったけれど「ありえる~~!」とか思いましたです。

葛餅嫌いじゃないけどさ。そればっかってのもねえ。

まあ、ガソリン代がまだまだ上がるし、人類もっと車に乗らなくなるでしょ。(すでにお盆の交通事故が激減しているという)環境にはすごくいいことじゃん。「見渡す限り葛だけ生えた日本」にはならんと思うけれど。

いつまでもうまい米の飯を食っていたいです。

2008年8月20日 (水)

いばら姫のいばら城

Nec_0036 グリム兄弟の説話集は「さすがゲルマン、肉食民族なり」と心底納得させてくれるグロとスプラッターのオンパレードです。

「灰かぶり」のお姉さまたちは、靴に合わせて踵やつま先を切り落として、馬車の中に滴り落ちる血で偽者がばれ、「スノーホワイト」のママハハ后はラストに焼けた鉄の靴を履かされて踊り狂い死ぬ。「白鳥の王子」の末の妹は墓場のイラクサで血みどろになりながら上着を編み、「ラブンツェル」の王子は塔から魔女に突き落とされていばらのとげで目を潰す。

そう、いばら。これなあ。「いばら姫」はもろに「いばらの城」で百年の眠りの呪いをかけられてるわけだけれど。知ってました?例の「キスして起こしてくれる王子様」の前に、何人もの男達がいばらに阻まれて、それどころかいばらの垣に囚われて、そのまま死んでしまった、っての。

怖いねえ。

初めて「グリム説話集」の完訳版を読んだとき、10代後半の生意気盛り「ケッ。たかだかいばらの刺くらいで大げさな。やっぱおとぎ話」とか思ってたけれど、最近じわじわと怖くなってきたんだな。

人の体は「たかだかいばらの刺」でも簡単に傷つく。目なんか突いたら簡単に潰れる。何年も何十年も人の手が入ってない野イバラやグミのような有刺植物のブッシュにはマジで入れない。うかつに足を踏み入れると四方八方から鋭い刺に容赦なく突き刺され、衣服も髪も揉みくちゃにされ、もがけばもがくほど囚われていく。本当にそうなんだな。

いや、たかだかうちの畑のグミを切り払ってて、思ったんだけれどね。あまりの手に負えなさに、ちょっと恐怖を覚えたんだな。手なんか軍手をしてても刺が立った痕だらけ。これがまた痛いんだ。

中世のドイツには「何百年も人の手が入ってない野イバラのブッシュ」が広大な森のそこかしこにあったのかもしれない。そこにうっかり迷い込んだ人間が出るに出られず衰弱死した死体、なんてのがゴロゴロしてたのかも。あたかも富士の樹海のように。

その伝承が何百年も伝わりグリム兄弟の耳に入って、こんな形で残されたのかも。

広大な「黒い森(シュヴァルツヴァルト)」の中のこれまた先の見えない一面の野イバラのブッシュ。刺に引っかかって風に揺れる古い人間の衣服と白骨。森が終わるときまで誰に省みられることもなく揺れ続ける・・・・・・・・・・

ねーーー?ちょっと怖いでしょ?

こういう細かい設定が「本当にあった」ことかもかもしれないのなら、他のいかにも残虐なグロシーンの数々も「本当にあった」のかも・・・・・・・と思い至り、さらに怖くなってきたのでありました。

2008年8月19日 (火)

小鯵の南蛮漬け

Nec_0037 小鯵の南蛮漬け!これがもう大好物でして。

夏の庭にはピーマンだの茗荷だの青紫蘇だの、いかにも南蛮漬けに入れたらうまい薬味がわんさか生えているし、梅雨時に作った青梅の砂糖煮をタレに混ぜるとコクがでるし、とにかくもう、たまらん。

最近最寄のスーパーの(それでも4km離れてるけど)鮮魚部から、魚のアラを動物達の餌用にもらってきてるんだけれど、その中に小鯵が何匹か入ってたの。ありがとうございます!ラッキー!すぐ唐揚げにして南蛮漬け。辛抱たまらんで揚げながら何匹か食べちゃったよ(行儀悪し)。

今日の晩御飯は、小鯵の南蛮漬けとニガウリと豚の味噌炒めと蕎麦。デザートはラビットスイカ。お腹一杯。とってもしあわせ。

2008年8月18日 (月)

鼠獲り

Nec_0035 一説によると狩の上手なイエネコは一年に1000匹の鼠を獲るそうです。

1000匹だよ!すごいね!・・・・・・・・・ちゅうても敵は「ネズミ算」の語源たる超繁殖上手な一族、そのぐらいのペースで狩ってやっとトントンってとこかな。

うちの納屋も昔から鼠が住み着きやすいところで、油断してると「チューチュー」と我がもの顔に走り回る気配がしてろくでもない。3月に死んだヤスネコのジョーは狩名人(猫)だったし、いまやヨイヨイのジジイとなりつつあるドリアンも昔はそりゃあ賢い狩をしとったもんだが・・・・・・・寄る年波には勝てん。「このままでは、うちに鼠一族がのさばってしまう!」危機感にあおられておったですよ。

「求めよ!さらば与えられん」

良くしたもので、そういうときに知り合いからもらった若い猫、メロン。やたらめったら人懐こくて、猫懐こくて、犬にまで懐きかけてモモに怒られたりしてますが、果たして鼠獲りの腕前やいかに!?

(鼠を獲らん猫は、徹底して獲らんからな。こういうの、母猫の教育や兄弟猫とのコミュニケーションが大事らしい。「三つ子の魂百まで」)

おかげさまでどうやら獲るタイプの猫だったらしいです。

今日も今日とて、納屋から屋根続きの天井で「チューーー」とか声がしまして。「スワッ!」と耳を澄ましたらば、「トトトトトト、ドドドドド!」と鼠より重い足音が鼠を追っかけてます。「ヂュッ!!」と断末魔の声。

うしししし、よくやった。よくやった。

・・・・・・・・いやいや、コホン。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

2008年8月17日 (日)

自家製もち米ダンゴ

Nec_0034 お盆のダンゴをお知り合いの米農家からもらった自家製もち米粉で作ってみたわけです。

うまいのな!

普通に水加えて捏ねて丸めて茹でただけなのに、おいしかった。

まだ冷蔵庫に残りがあるので、オーブントースターで焼いて餡子を乗っけて食べてみた。これまたうまし!

明日は醤油ダレを作ってシンコダンゴにしようかな。黒糖ダレもゴマダレも柚子ダレもいいな。

ちょっとダンゴにはまりそう。炭火で焼くともっとおいしいんだろうけど。火鉢を納屋から出してこようかな。

2008年8月16日 (土)

震えるモモ

Nec_0032 まったく今年の夏はこれで何度目でしょうか?今日の夕方もスコールと呼びたくなるような強烈な雨が降りました。一時間30mmは降ってるな。

それでもって空中がゴロゴロゴロゴロ。割れんばかりの勢いで雷が鳴ってます。

これも何度目でしょうかモモ(紀州犬雑種。7歳・♀)が、「お願いだから部屋の奥に入れて、入れてったら!早く!」とたいへんな脅えよう。はいはい。

入れてやったらそのままパソコンとキーボードが置いてあるテーブルの下に潜り込みました。そこでぶるぶる震えてます。でも尻尾はテーブルからはみ出てるんだけど。まさしく頭かくして尻尾隠さず。そこに雷が落ちるぞよ。

ほぼ頭上で雷が鳴り続け、部屋の蛍光灯がチカッ、チカッと瞬きます。ううううん、ムード満点。日本の夏の夕立でお化けがよく出るはずだわ。これこそ日常の隣に穴を開けた非日常なり。

わたくしはといえば、明かりはチカチカするしパソコンは消しちゃったしで、そのままモモとドリアンとメロンを侍らして昼寝してしまいました。また気圧が下がってるせいかこういうときはよく眠れるんだわ。しあわせ。

世界最後の日が来ても、きっとこうしてるだろうな。

2008年8月15日 (金)

狐笛のかなた

0815 「○ののけ姫」が嫌いです。いや、正確には「理解できない」かな。どうしてもあの森が日本の森とは思えないし、もちろん日本の中世にも見えない。なにより登場人物の心情に感情移入できない。

都会のエアコンが効いたスタジオで人生のほとんどの時間をお絵かきに費やした人が、お仕着せの旅で日本の森や山を巡っといて資料を集めて描いた森に見える。「なめんじゃねえ!」と啖呵をきりたくなるよ。

「日本の中世の森はもっと豊かで、もっと自分の魂にダイレクトに響く記憶を抱えているはず。」

ずっとそういう話が見たいと思っていたら、やってくれました上橋菜穂子氏。「守り人」シリーズがあまりにも見事だったので、著作を全部読んでみたらば、つきあたりました「狐笛のかなた」(理論社)。

やっぱりこれも児童文学の範疇を遠~く超えてしまってます。

種を超えたラヴ・ローマンス!霊狐・野火と呪者の娘・小夜の恋は、くるよくるよダイレクトに。自分の無意識の中に蓄えられた記憶に。「ああ、日本の森は、自然は、こういう恋を成立せしめるほど曖昧で優しく豊かであったのだなあ・・・・・・」と。

野火がね。よくってね。「守り人」のチャグム皇子もそうだったけど、上橋氏ってどうしてこう「自分ではどうしようもない宿命に耐える少年のストイックな色気」を描くのがうまいんでしょう!主に逆らい自分の命をかけて小夜を守る美しく力ある狐。いいよなあ。

こういう狐となら恋にも落ちようし、彼を助けるために狐笛を吹いて人の世を捨て、人の領域ともカミの領域とも知れぬ森の「あわい」に身をやつして後悔は無いでしょう。かわいい子狐ちゃんも産まれて三匹で春の野を楽しそうに駆けていくラストシーンは、たまらん。

泣かせるぞ。

2008年8月14日 (木)

螺鈿迷宮

0814 「螺鈿迷宮」。最近お気に入りの海堂尊の白鳥・田口シリーズの番外編です。

番外編とはいえ、今まででてる中じゃ一番身につまされておもしろかったなあ。危険な書だ。

なんと言ってもね、悪役の桜宮病院のメンバーが魅力的過ぎてさ。「死にたいやつは死なせてやれ」と嘯く戦中派(軍医経験アリ)の巌院長からして「うんうんそうだそうだ」という説得力満載。

そう「死にたいやつは死なせてやれ」。わたくしもそう思います。無理やり生き延びさしてなんとする?「生きてるってすばらしい」と思えることができないやつに何の権利があって生きることを強要する?

寝たきり認知症の祖母の介護を5年しました。その間祖母は「死なせてくれ、殺してくれ」と数限りなく訴えていました。でも殺すことはできなかった。日本の法律がそれを許さないから。

それについての実に魅力的な解決法を「闇の桜宮病院」が提示してるの。法律でなく「黄泉の女王」が支配する世界でのみ有効な手段だとわかっていても、とてもとても心魅かれる手立て。ううううん、ほんとうに危険だ。

向こう側が闇に霞んでしまうほど並べられた解剖臓器入れの青いバケツのイメージといい、永遠に続く螺鈿細工の壁の部屋のイメージといい、ひんやりと冷徹でありながらとても清潔。

白鳥が巌院長を評したセリフ「巌先生は桜宮の闇を支えてきたんだね。それも極めて誠実に」というのが良かった。強い光の影には濃い闇ができる。生きるってのはそういうことだもんなァ。重いテーマをよくここまでわかりやすく書いてくれたよなあ。

あと、白鳥の部下、氷姫・姫宮が大活躍!一見アニメのフィギアかサイボーグみたいな美形なんだけれど、これがまた出来損ないのサイボーグみたいな一般人とはズレまくった挙動の数々、一見の価値アリ。全体的に暗いトーンで貫かれた本作の中で、姫宮の明るくド外れた破壊力はすごい!よくこんなキャラ思いつくよなあ。いつもいつも思う。「こんな連中の棲息・出没を許す大学病院てどんなとこよ?」

シリーズを読んでない方にもお勧め。この本から初めてもよし。おもしろいぞお!

2008年8月13日 (水)

抗生物質

Nec_0030_2間の病院でもらってきた化膿止めの抗生物質と軟膏。

トンカチで割って1/5をモモ(紀州犬雑種・7歳・♀)に飲ませて、傷口に塗ってやってます。

人間には保険が利くけど、モモには保険がかけてないんだもん。

おかげさまでわたくしもモモも、傷口は化膿せず、新しい肉が盛り上がってきました。

2008年8月12日 (火)

櫨負け

Nec_0029 夏の山野(と言ってもうちの庭と畑)は危険がいっぱい!

タヌキがでて犬ともども大立ち回りをせねばならなかったり(うちの庭である)、マムシがでたり(くどいようだがうちの庭である)、スズメバチがでたり(もうあえて言うまい)一歩間違えば命を落としかねない危険物ばかりなんであります。

とりあえず命の危険は無くとも不愉快千万なのが櫨負けやチャドクガ負けなどの皮膚病系。死にゃあしないんだけどね。たまらんぞお。

今年は今のところチャドクガにはやられてないんだけれど、どうやら櫨負けにはやられました。右手内側に「ウキーーーッ」となるような細かい水泡とかゆみが。いたがゆくてたまらんけれど掻けば掻くほど広がるし。まいったのう。

どこで触ったのかなあ。覚えがないんだけれど。でも櫨の木はどこでも簡単に実生で生えてくるのでうちの庭と畑には何本も生えてるし。負けることがない冬の間に切り倒そうと思うのに結局忘れて、毎年春になって芽が出てきてから「しまったァ」と思う。そして夏に負ける。この不毛な連鎖今度の冬こそ断ち切るぞ。