ヘタクソ
木戸口にトカゲの巣穴がたくさんある土手がつながっている。モモ〈紀州犬雑種・女の子・4歳)のお気に入りの場所である。
散歩の帰りにここに寄って、無数にうろちょろしているトカゲを何とかして捕まえようと熱心にチャレンジするのだ。前足を揃えて構えちゃあ、人間が両手のひらで何かを押さえ込むときのように「ずさっ、ずさっ」と、飽きずに土手の草むらを押さえ込む。しかし、いっちゃあなんだがヘタクソ。
ドリアンとジョーの猫たちがよくトカゲを捕まえてきては、尻尾を切ったりして遊んでいる(迷惑なんだってば)。ここはおそらくそのトカゲの供給地である。
猫は単独で待ち伏せ猟をする動物であるから、体もそのために特化している。出し入れのできる爪、瞬発力のある骨格と筋肉、体臭がしないようよく手入れされた毛皮、鋭敏なひげと視力・・・etc。いつもボーッとしている猫たちも狩りのときは人(猫)が変わったような集中力で「ほお――!」というぐらい段取りがうまい。
比べて犬は、群れで持走力を頼りに追い込み猟をする動物であるから、こういうトカゲ獲りのようなチンケな猟のときは本領がまったく発揮できない。だいたい爪が出しっぱなしなので、体長5cmぐらいのトカゲを捕まえるのに、土も草ももうもうとはね飛んで大騒ぎ。こんな大騒ぎでは日光浴をしていた土手中のトカゲが全員巣穴に逃げ込んでしまうであろう。モモの娯楽なのでいつも黙って飽きるまでさせているが、「あんたほんとうにトカゲ獲りに向かないねえ・・・。」と思う。
だからといって「じゃあお手本見せてよ。」といわれると、はなはだ困るのであるが。
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