椿屋敷のお客様

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2005年9月

2005年9月25日 (日)

リフォーム

Nec_0028住まなくなった家はあっという間に廃屋になる。「その疾(はや)きこと風の如し」である。特に木の民家なんかてきめんで、空気の出入りがないと、障子や襖が閉まらなくなり、畳や壁にカビが生えて腐りだし、そうこうするうちに瓦が落ち天井が落ち床が落ち、どこからともなく蔓草や萱が家の中に生え出し、立派な廃屋の出来上がりである

世は「田舎の家」Nec_0027がブームだが「ホントかよ?」といいたくなるぐらい、鹿児島市の郊外でもやたら廃屋が目立つ。「田舎の家」の管理と維持のたいへんさを知っている子供たちが親の家をそのままにしているのである。 週1でも帰って手入れのできる余裕のある家族は稀だろう。

「自分にマンション住まいは無理だ。」と悟り、鹿児島に帰ってきた。そのときが日置の父方の家と今の母方の家に手を入れるぎりぎりのラインだったと思う。間に合ってよかった。当時日置の家は築150年以上、建物だけで200坪、二階と中二階があり、何年も誰も住まず、本物のお化け屋敷であった。特に北側の棟は根太が腐り、うっかり踏み込むと畳ごと床下まで落ちた。昔の家なので床が高く90cmはある。むちゃくちゃ怖かった。巨大な蟻地獄にはまったような恐ろしさ。

北側の棟は梁もシロアリが喰っていたため、ある日何の前触れもなく大音響を立てて家そのものが梁とともに崩壊した。道路にまで瓦礫がなだれ落ち、半分をふさいだ。田舎の真夜中のことで通行人が誰もいなくて本当に良かった。その頃はもう祖母も大往生し、父も元気になったので、父自らリフォームに取り掛かり始めていた。それでそのまま北側の棟を解体し、更地にしてしまった。床下から出てきた井戸もちゃんと御祓いしてもらって埋め立てた。

まだリフォームは続いている。この写真は今の日置の家である。「黒塗りの柱」に「漆喰壁」「砂壁」と、少しずつ「こじゃれた古民家、でもトイレは水洗ウォッシュ機能付」の体裁が整ってきている。ここまでになるのに5年はかかっている。わたくしの代で維持できるだろうか? Nec_0024

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移動式鶏小屋

Nec_0031 うちの鶏小屋は移動式であります。庭や畑の中で「ここ、草が生えてきたな」と思うところに、鶏小屋ごと地鶏くんとその奥様方を移動させるのであります。草を求めてさすらう、モンゴル人のテントの如しです。100円ショップで台所用のワイヤー金網をたくさん買ってきて、ジョイントでつなぎ、木枠で強化し、天井に亀甲金網を張っただけ。総額¥2500ちょっと。

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これが、便利なのでありますよ。なにせ、地鶏様ご一家は、卵製造機であるとともに、草取り部隊でもあり、生ゴミ処理機でもあり、しかも鶏糞堆肥製造機、かつ目覚し時計なのでもありますからして。鶏小屋が通った後はぺんぺん草も生えておりません。しかし、土はよおお―肥えております。もうほこほこ柔らかくて黒くて見た目から違います。そりゃもう、地鶏様ご一家が実に熱心に土を強力なキック力で掘り返し、自分の糞や生ゴミを細かく粉砕して混ぜ込んでくれるので。

「地鶏」とはようゆうたもんじゃ、と思います。ご一家は本当に地面が好きなのです。掘り返した土を羽の隅々まで浴びて日光浴をするときの幸せそうな顔。うちの土地が労せずして肥え、わたくしも幸せでございます。

もうすこし数が増えたら、完璧な放し飼いにしたいものです。そのためにはワンコを本格的に牧鶏犬としてしこまねば。

2005年9月24日 (土)

ヤツデ

Nec_0022 天狗がこの葉っぱの形のうちわを持ってますねえ。案の定「テングノハウチワ」という異名があるそうです。一振りでよろず全てのものを吹き飛ばすという神通力を持つ天狗のウチワもいいですけどね。おなごの身としましては、孔雀の羽をこの形に束ねた、大きな大きなウチワがあるでしょ?あれを、ターバンをした見目麗しい少年に持たせてゆー―っくりあおがせて、おのれは籐椅子に寝そべってマンゴーやアボカドなんかをアンニューイに口にする生活がしとうございましたね。

ま、3日で飽きるでしょうけど。ナマケモノなのに貧乏性。矛盾しとる。

ヤツデの乾燥した葉を煮出した「ヤツデ風呂」はリュウマチの薬なのですと。リュウマチはたいへんな病気です。痛みのひどさ。思うように体が動かせなくなる辛さ。「アンニューイな羽ウチワ生活」に身分不相応な憧れを燃やすより、今体が思うように動く幸運を最大限に生かさねば。―――と、頭では理解しているのですがね・・・。

2005年9月23日 (金)

ヤマイモ

Nec_0020 庭に勝手に生えてきたヤマイモである。ありがたや。

勝手に生えてきて、勝手に大きくなる。ここまではまったく楽チンなのだが、だがねー・・・・・。掘るのがたいへんなのよ。人間どこかで苦労するようになっているのでしょうか?しかし食べるための苦労は惜しんではならん。

新米のアツアツご飯にとろろをかけて食べようかな。

2005年9月22日 (木)

干し葡萄入り全粒粉パン

Nec_0019パンを焼くのは好きである。

イースト菌を発酵させるのが好きなのである。予備発酵のために、牛乳に砂糖を混ぜて38℃。ご存知の方も多いだろうが、これより高くても低くてもだめ。特に温度が高いとイーストが死滅してしまうため、温度計を突っ込んで「まだかな?まだかな?」と適温になるのを待つ時間がいい。理科の実験みたいだ。

今は便利になって、こねるのはフードプロセッサーがしてくれる。粉にバターを混ぜ込むのがたいへんだったので助かる。仕上げに手でしばらくこねて、濡れぶきんをかぶせて、この時期は室温でのんびり発酵させる。固かった生地が、いつの間にかプーッと膨らんでふわふわに柔らかくなっているのは本当に不思議。よくぞ「発酵」という現象を発見してくれた。よくぞ長い歴史をかけてその現象を(わたくしのような素人でも)使いこなせるようにしてくれた。ありがとうメソポタミア。ありがとうエジプト。ありがとうN清製粉。

全粒粉やライ麦や干し葡萄を混ぜて焼くのが好き。うまし。

フラワー・オブ・ライフ

Nec_0018 お客様のコメントやお客様のブログを拝見していて、つくづく「おおおお、皆さんおいしいものを食べることへの情熱燃えさかっとる!」と思います。すごいですねえ。やっぱり食べることが基本ですよ。短い人生の中で、歯も内臓も大丈夫で、毎日の食事を何の制限もなくハッピーに食べることができる時は無制限じゃないです。食料だって潤沢にある時代はほんのここ数十年のこと。わずか60年前には上流も下流も中流もなく、この国はみんなが飢えていたのです。恐ろしい。「グルメ」とか気取る気はまったくないですが、毎日のご飯と味噌汁と漬物は最低限あたりまえのものをおいしく食べたいです。幣ブログにおいでになる皆様が、そういう意味ではすごく精進してらっしゃる方たちばかりで、身が引き締まる思いです。

ということで、「今、マンガ家のなかで一番食べることに情熱を燃やしている」よしながふみ氏の「フラワー・オブ・ライフ」(既刊2巻・新書館)です。よしながふみ氏は著書の中で「寝るときと仕事中以外は四六時中食べ物のことを考えているのよね。場合によっちゃ仕事中も食べ物のことを考えているのよね。」というほどの食いしん坊さんでもあります。大ヒットした「西洋骨董洋菓子店」で、「これでもかこれでもか」とばかりにこの世のものとも思えないほどおいしそうなおケーキさまさまの数々をご記憶にとどめてらっしゃる方も少なくないでしょう。

「フラワー・オブ・ライフ」の中でもそのスピリッツは健在です。

ストーリーは白血病の治療を生き延びた花園春太郎くんが、一年遅れではじめた高校一年生生活を愉快で個性的な仲間たちと楽しくおいしく過ごしていく・・・という、何てことない設定なのですが・・・。いいですぞー。笑いますぞー。手を変え品を変え次から次からでてくる料理、お菓子、食べ物、おいしそうですぞー。

春太郎の初の親友となる、ポニャポニャ体型でお人よしの翔太、高校1年ですでに完成されたオタクで体と運動神経が無駄にイイ真島、同僚教師との不倫に悩んで手を切りたがっている一見オカマの女教師シゲ、密かに描いていたハーレクインマンガを真島に公開されて人生が変わった武田さん・・・。みんなちょっとずつどこかずれてるんだけど、自分の人生に一生懸命でいじめなんかやってるヒマがない。よしながふみ氏が作りだした、ある意味ありえない高校ライフなんだろうけれど・・・。おもしろいよー!特に武田さんのハ―レクインマンガを文化祭の劇で上演することになり、「『リング』の貞子」から「お貴族令嬢」に変身した武田さんと、「超自己ちゅ―オタク」から「黒髪ハンサム士官」に変身した真島の掛け合いには爆笑。あと、2巻からいきなり火の付いた、どS真島とM女シゲの「禁断の恋愛」の行方も気になる。おすすめでございます。

なお、2巻にレシピがでてくる「かぼちゃのパウンドケーキ」作ってみました。簡単ですごくおいしかったです。

2005年9月21日 (水)

失敗!ヘチマ水

Nec_0017 あいたたた、今年のヘチマ水は失敗しました。量が少なすぎ。

原因は欲をかいてたくさん密植しすぎて(しかも肥料が足りなかったか)、思ったように株が成長しなかったためです。去年かなりうまくできて、1本の株から1升瓶一杯のヘチマ水が採れたので慢心しておりました。「ふふふ、今年は7、8本はあるから1升瓶8本はいける。そしたらあの人にもあの人にもヘチマ水を配って、おのれは全身に浴びるように使うたろ・・・」あな、あさましやおろかしや、獲らぬタヌキの皮算用とはこのことなり。「舌きり雀」の隣の意地悪ばばあのごとし。

来年はリベンジであります。次は少数精鋭主義でいくぞ。ヘチマ水風呂でつやつやお肌。すでに皮算用全開。

なんで偉そうなの?

Nec_0016 だからって、なんであんたがそんなに偉そうなのよ?卵産んでるのは奥さんたちでしょうが。

雄鶏っちゅうのは本当に偉そうである。昔飼っていた薩摩鶏(闘鶏に使われていた)のサッちゃんに、右手の甲を蹴爪で蹴られて穴があき、いまだに傷跡が残っている。そのサッちゃんに体格こそ劣れ、地鶏くんの凶暴さはひけをとらない。

鶏小屋の掃除や卵回収のときに、すごい勢いで蹴りに来るのはやめろ!ご飯をあげるときに餌もわたしの手も味噌クソに一緒くたにして突くじるのはやめろ!トンカチで殴られたようなショックで、つぶろじん(青あざ)ができたじゃないか。皮も破けたぞ。

地鶏くんの一番の被害者はモモ(紀州犬雑種・女の子・4歳)で、ボーっと鶏小屋の金網に鼻先を突っ込んで地鶏一家の団欒をながめていたら、いきなり地鶏くんの「突くじり攻撃」にあい「ひゃいん!ひゃいん!」と悲鳴。犬の命のお鼻に怪我をしていた。モモはあんたたちを侵入者から守っている恩人〈犬)だぞ。ちったあ感謝しろっちゅうの。ってモモ、あんたもそんなお人(犬)よしな顔で、また鼻先を突っ込むなっちゅうの。

――――と、まあ誰に何といわれようが地鶏くんの素行は一生直んないでしょうけどね。ちょっと言ってみたかっただけ。

3個/日の卵

四羽の地鶏の奥様方が、一日3個の卵をお産みになります。

「要領よくサボタージュしてんじゃねえの?」などと、欲にかられてあらぬ疑いをかけたあさましきわが身が、申し訳なくお恥ずかしゅうございます。

あとは、残り一羽のお方の一刻も早いご成長をお祈りするばかりでございますNec_0015

2005年9月20日 (火)

新米届く

広島Nec_0014の米農家に嫁に行ってる妹から新米が届いた。

なんせ嫁ぎ先は中国山地の山の中。広島―島根の県境で、屋敷の100m先に分水嶺があるのである。屋敷は瀬戸内海側、100m先から日本海側。ほんとうに山のチョッペンなのだ。貴重な天然記念物オオサンショウウオの棲息地で、そこらの小川にうようよいるらしい。ひゃあああ。

鹿児島のうちも水はいいが、そこの水はまた格別趣のある味であった(ほとんど雪解け水)。その水で作る米の味もまた格別。屋敷の前に田んぼが広がっているが、その米は一等米。そういう身内ができてほんとうにありがたい。新米楽しみ。さんまと大根おろしで食べよう。