椿屋敷のお客様

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2005年11月

2005年11月30日 (水)

椿「西王母」

Nec_0038_2 椿「西王母」(せいおうぼ)が咲きました。

またこれがいい~花なんですよ。ぼってりしてるんですが、淡桃地のぼってりした花弁の外側になんともいえない微妙な紅のボカシが入ってます。色っぽい。Nec_0040_1

あああ、もうちょっと写真が上手だったらなあ・・・。

「西王母」って中国神話の仙女の親玉なんですよね。「西遊記」にもでてきます。3千年に一度だけ実がなって食べるといつまでも若く長生きできるという桃の木を持ってるんです。蟠桃会というそれのお披露目パーティで大暴れしたのが孫悟空。ちょいと年増だけどいかにもそういう桃の管理人らしい色っぽい姐さんが西王母。この椿にもふさわしい名前です。

一重、筒咲き、中輪、9月~4月が花期。葉はやや長楕円の中形。樹形は立性で強し。もともとは幕末に金沢でできた品種らしいです。いかにも古都金沢にふさわしい。金沢には「加賀侘介」という銘花があるのですがその自然実生との説あり。

本能

Nec_0035_4 まっこちモモ(紀州犬雑種・女の子・4歳)にはご無礼サアなことでしたが、こんなに役に立ってくれるとは思ってもいませんでした。「モモ、めーさんを畑で追いかけて誘導するの図」です。

Nec_0034_4 以前「猫に比べてトカゲを捕まえるのがヘタクソ。むいてない。」などと書き、悪かったよ。誰にでもそれぞれむきむきってもんがあるもんね。朝畑の奥までめーさんと運動するのが日課となっているわけです。めーさんがあの体重に似合わず(失礼)かろやかに駆けるのにもびっくりですが(ひづめの音はドカドカいうけど)、そのめーさんを「追いかけて、うまいこと誘導する」などという技をモモがいたすことを見せられ、びっくり!!「シロウトのモモ」がこれだったら、「本職のボーダーコリー」さんたちってどんなすごいんでしょうか?

ものの本にも書いてあるように、犬というのはほんとうに走って追い込み猟をする動物なのですね。とにかくめーさんが走り出したら「追いかけずにはおれん!」という気持ちになるらしいのです。すごいなあ。こっちはすでにその「走る」というのについていけんというのに。それだけではなく、昨日うっかり地鶏くんの奥様方2羽を逃がしてしまい、一瞬あわてましたが、すぐモモが追い詰めて雪隠詰めにしてくれ、なんなく取り押さえることができました(もちろん噛んだり爪をかけたりまったくせず)。すごいなあ!!

特別な訓練など何もしていないのです。それどころか「おすわり」も「待て」も「伏せ」もできないんですけど。今こそ「犬は一番古い人類の友である。」というあの言葉が身にしみてわかりましたよ。

2005年11月29日 (火)

山茶花「鎌倉絞」

Nec_0033_3 山茶花「鎌倉絞」(かまくらしぼり)が咲きました。

いや――これがまたいい花なんですよ。紅色の地に白斑が鮮やか。そして花によって白斑の入り方が全部違います。一重のラッパ咲き、小輪、花期は12月~4月です。ああ、もう12月なんだなあ(ばたばたばた)。葉は長楕円の小形ときどき黄斑が入ります。その葉の黄斑がまた美しい。樹形は横張り性で弱いです。

江戸時代の椿図譜にはもう「鎌倉」の名で出ているのですって。古い銘花なのです。いかにも江戸時代に好まれそうな、ちょっとアンバランスで危うい魅力。「鎌倉」の名前もいかにもですよね。古木は中部地方に多いとな。

今日はヤギ運動場完成!と喜んでめーさんに入ってもらったら、あっという間に格子をすり抜けて出てきてしまいましたがな。格子の幅広すぎでした。もっとめーさんデブかと思ってました。あまりのショックに力が抜け、近くの温泉に行ってしまいました。あああ、間抜け―――。やりなおしだぁぁ―。

ヤギ運動場工事

Nec_0030_3 「ここは、ジャングルか?!!」

Nec_0031_4 いまだ密林状態の畑の奥。もう後はめーさんたちの食欲だけが頼りであります。開いた時間でぼちぼちホソボソと工事していた「ヤギ運動場用柵」もできてきたので、そろそろ囲いを作ろうかと。だいぶ慣れてきためーさん、やみくもに「メーメー」鳴くことはもう無いのですが、やはり紐つきよりある程度自由のきく運動場がよろしいのです。ヤギは高い所が好きなので(ほんとに好き。え?こんな所に?というところまで登る。)運動場に登って遊べる場所も作ってやらねばなのです。んで、「運動場の柵を徐々に畑の奥に移していって、すっきりさわやか、しかもヤギウンコとオシッコでよく肥えた耕地を作る。」という作戦です。だから柵は「丈夫だけど簡単に移動できる」という条件も満たさねばなりません。さてさて、うまくいくでしょうか?やってみなけりゃわからんです。

2005年11月28日 (月)

椿「蔦紅葉」

Nec_0005_4 うわああ~!すみません、間違いました!!お客様の麦の花さんからご指摘がありました。(青い顔)

「お蔦・主税の湯島天神」は泉鏡花の「婦系図」で、下駄を履いて女を蹴飛ばすのは尾崎紅葉の「金色夜叉のお宮・寛一」ですと!主人公のカップルの名前を間違えてましたよ。恥ずかし~~~!みなさんでたらめは速やかに忘れてください。

本当にありがとう麦の花さん。(しかもメールで送ってきてくださるという奥ゆかしさ。感動しました。)これからも、おバカな間違いをしてたら教えてください。他のお客様のみなさまも、どんどこ教えてください。お客様の賢者の一人totto*さんのセリフではありませんが、愚かなる春であっても一歩一歩、日一日と「賢者への道」をみなさまのおかげで歩んでいけますのです。

というところでまたまた「蔦」の名を持つ花、椿「蔦紅葉」(つたもみじ)が咲いています。おもしろい花で桃色の花弁の1枚おきに白い雲状斑が入るのです。確認してみるとほんとにどの花も一枚おきに斑が入っています。「好き、嫌い、好き、嫌い」と花占いをするとおもしろいかも。一重の平開咲、サザンカ芯、中輪、花期は11~3月です。葉は長楕円で中形、樹形は横張り性。立寒と攸県油茶の種間雑種。新潟県原産で1988年発表です。これも、趣があって好きな花ですが、畑の奥に生えていて長い間忘れ去られていました。ごめんね。

ツタの紅葉

Nec_0029_6 ツタが紅葉をはじめました。

「別れろ切れろは芸者のときに言う言葉、今のわたしにはいっそ死ねと・・・」

「お蔦・主税の湯島天神」、「金色夜叉」の中の一節らしいですが、原典を読んだことはありません。学生服・学帽・マント・高下駄の兄ちゃん主税が、着物のねえさんお蔦を砂浜で蹴飛ばしているシーンだけ知っています。いつも「それドメバじゃないの?」とか、「なんでそんな優男蹴り返さねえんだ?お蔦。着物だからキックできんのか?」とか「いっそ下駄を取り上げてはったおせ!」とか思ってしまう現代っ子なもので、食指が動かないんです。しかしこうまで片鱗が残っているということは、何か感動させるようなところのあるストーリーなのでしょうか?ご存知の方、最後まで読んだことのある方、よろしければお教えください。

なんにせよツタを建物に絡ませるのはよくありません。確実に建物が傷みます。「ツタの絡ま~るチャペールで祈り―をささーげた日~♪」という歌もありますが、たとえ煉瓦造りのチャペルでも絡ませすぎると煉瓦の接合部や煉瓦そのものにツタの根が入り込んで最終的には崩壊してしまいます。なよなよしているようでたいへんしぶとく生命力の強い植物なのです。

「金色夜叉のお蔦」も実はそんな女性なの?騙されたり泣かされたりした被害者は主税のほう?そういうお話明治にはいかにもありさげですけれど。

2005年11月27日 (日)

ドウダンツツジの紅葉

Nec_0028_4ドウダンツツジが紅葉しました。

ドウダンは「灯台」で、宮中で使われた「結び灯台」(どんなの?)に花が似ているからだそうです。花は3~4月に白くて小さい釣鐘みたいなのがたくさんつきますが・・・。その花が満天の星のようだと、同じ読みで「満天星躑躅」とすごい漢字を書いたりします。ロマンティック過ぎるんじゃ・・・。ちょっと気恥ずかしいぞ。

確かにかわいい花だけれど、紅葉のほうがパッと派手だしなあ。

しかし、「美男葛」はOKで「満天星躑躅」にチェックが入る言語センスってのも我ながらどうかと思いますわ。

ビナンカズラの実

Nec_0027_3茶の木の周りの整理をしていたら、ビナンカズラの実を見つけました。

「ビナンカズラ」は「美男葛」で、心魅かれる名前です。(恥ずかしながらそういう名前には弱いんです。「美人豆」とかね。)ツルも葉も実もねばねばの液を出すので、この液を水で薄めてヘアジェル替わりに髪をまとめていたのです。だから「美男葛」。「サネカズラ」ともいい、「百人一首」の「名にしおはば 逢坂山のさねかずら~~~ 」のさねかずらとはこれですわ。それだけ古くからあるんですな。

この実は和菓子の「かのこ」に似てませんか?赤くてつぶつぶがボール状に集まった派手な実です。よく目立ちます。しかし齧るとそれはそれは渋いんです。干してどろどろになるまで煮て、砂糖を加えて鎮咳と強壮に使うのですと。確かに砂糖を加えないと渋くて飲めないでしょうなあ。

2005年11月26日 (土)

茶の実

Nec_0026_3茶の実です。

やっとというかなんというか、畑の奥の茶の樹が何本か生えている一画の手入れに着手いたしました。ほうりっぱなしで伸びっぱなしの茶の樹は4m近くも間延びしています。藪を払うと同時に樹も剪定しています。枝を詰めて小枝を増やさなければ。

朝起きれば一番にお茶、朝昼晩のご飯にお茶、おやつにお茶、と、とことん緑茶党なので、自家製茶は悲願です。おいしいお茶は「霧や露が葉に溜まる高地」でできます。実際うち近辺は昔からどこの家も茶を栽培して自分のうちで製茶していました。祖母が作るお茶は身びいきを差し引いてもおいしかったのです!

そのためには樹を手入れしておかねばなりません。今の時期は花が実を結んで茶の実がなっています。「手摘みで自家製茶を作るのには実生で増やすのがいい 」(実生だと収穫の時期にばらつきがでるから、新茶を長く楽しめるため)と聞き、剪定しながら熟した実を集めています。隣の畑との境に蒔いて、茶の垣根を作ってやりましょう。気の長い話ですが、種を蒔かねばお話にならんもんなあ。まあ、「おいしいものを収穫する」ためには気が長くないと。せっかちではいかんのよ。

椿「白太神楽」

Nec_0025_4 椿「白太神楽(しろだいかぐら)」が咲きました。

椿屋敷農園の椿は17年前に亡くなった母方の祖父が集めました。プロでもないのに集めた椿200種以上(残っている木でも推定150種以上)という、「ちょっとどうよ?」な、何にでもマニアックなのめり込み方をする明治男でした。

それだけなら「さぞかし謹厳実直を絵に描いた雷親父であったろう」なのですが、さにあらず。実にすっとぼけた飄々じいさんで、今鳥取に住む従兄弟いわく「エロじじい」。ホンダのナナハンが発売されるや即免許取り(当時はオール限定解除)。何のためにとったかというと「ヌード写真撮影同好会の撮影旅行」のため。磯のお庭や北九州など、同好の士達やモデルさんと撮影旅行。そのために買った「MAMIYA RB67」は「女の肌が一番美しく撮れるカメラ」だから。(遺品として遺されています)。従兄弟はただ一人の男孫だったため、祖父なりに何か思うところがあったらしく、12歳を過ぎて遊びにきたとき「ばあさんやかあさんにはゆうなよ。」と、秘蔵のヌード写真をげっぷが出るほど見せられ「よかどがー!よかどがー!」と。「まじエロじじいや思たで」と、葬儀の席で従兄弟。

かといって明るい清潔感があったのが、明治男の不思議なところで、柔剣道7段、なぎなた5段、居合道3段。狭い自宅に道場を作って修練をやってました。エロ好きで派手好きなくせに好きなのは白い花。人間って一口では語れない複雑さですね。

「白太神楽」はそういう祖父が好きだった花なんだろうな、と思います。『太神楽』は「獅子舞」の意味もあり、花形は牡丹咲きもしくは獅子咲きの派手な形、中―大輪。でも色は真っ白。11月から4月が花期。樹は立性。葉は長楕円で中形。玄関の並びの3m級の樹の中の1本。