椿屋敷のお客様

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2007年3月

2007年3月31日 (土)

ナタネ

Nec_0012_24 うちの前の畑が毎年ナタネを植えていて、今時分は「いちめんのなのはな」になっております。

ナバナとして採り入れている気配はないので、たぶん菜種油用じゃないかな。どうだろう?今度おじさんに聞いてみよう。

菜の花、サトウキビ、トウモロコシ、ケナフ・・・・・etc.これらは今世界的にバイオエタノールの原料として買い占められ、刻一刻と値段がつりあがっているんであります。今年の二月に「ヤギサミット準備委員会」で萬田正治先生と飼料会社のバイヤーさんが参加されてました。その方達が異口同音に「今後、配合飼料の値段が上がり続け、配合飼料頼りの日本の畜産は遠からず立ちいかなる。」と警告されました。

現実に今年に入ってから農協の配合飼料の値段は上がり続け、それを反映して国産牛の値段は跳ね上がってます。牛も豚も鶏も日本の畜産は「輸入飼料が安い」という大前提の下に成り立っているたいへん足元の危うい産業なのです。このままだと何の肉であれたいへんな贅沢品になっていくことでしょう。(毎日肉食よりかえって体にいいかもしれませんが)

ラムズフェルドの圧力で、危険だとわかっていたタミフルを世界の八割買い占めてきたような日本政府。ましてや飼料用のトウモロコシと大豆なんかなら言われるままにごっそり輸入し続けてきたんだけれど、あちらさんはいざ不足となってきたら平気で輸出を打ち切ってくる国だと思いますぞ。

2007年3月30日 (金)

ノビル

Nec_0011_24 まことにもって春たけなわ、山菜シーズンなのであります。

タラの芽てんぷらに引き続いてノビルの酢味噌和えでも食べようか、と畑の土手のノビルを掘り返しました。

いい具合に鱗茎が発達しています。

そこらじゅうの土手がノビルだらけです。

秋田でもこれが生えていて、残雪の中に生えてくる新葉を珍重し、サシビルと呼んでしょっつるの中に入れるそうな。

鹿児島でも秋田でもちゃんと生育できている。すごいな。

2007年3月29日 (木)

鋼の錬金術師・16巻

Nec_0016_26 さて、わたくし常々「もう鹿児島以北には決して住まん!」などとほざいております、筋金入りのサンカゴロ、でございます。寒いのホント嫌いなんです。スキーもしたことありません。「滑り出すと面白いし、暖かいのよ~。」などと言われますが、とんでもない!あんないちめん雪だらけのところに、好き好んでいくのがわかりません。

とはいうものの、北陸にも東北にも北海道にも、ちゃんと人が住んでいて生活してるんだよなあ(ご無礼)。零下20℃とか流氷とかが日常茶飯事の世界。想像の範疇を超えます。でも、そこでもちゃんと日常が営まれているんだよなあ(しつこい)。

というところで北海道産まれの荒川弘氏描くところの「鋼の錬金術師・16巻」(スクエア・エニックス)です。

15巻の暗く重苦しいイシュヴァール戦の話は一段落ついて、物語は北へ、とな。

もー―――!北海道出身の荒川氏の面目躍如!!16巻の後半から舞台は北の国境ブリッグス要塞になるんだけれど、そらもう、南国生まれ南国育ちには信じられないような話のオンパレード。

いや、今回初登場のアームストロング少佐のお姉さん「ブリッグズの北壁」オリビエ・ミラ・アームストロング少将も強烈ですよ。ラスト姐さん亡き後、荒川氏得意とする「ちょいと年増で訳ありの強烈ないい女」がまたでてきてうれしいよ。これから大活躍しそうだし。

しかし、それ以前にブリッグス山の凄まじい気候の描写が印象的でした。これは北海道出身の人にしか描けんでしょう。すごいねえ!

そういう過酷な北の気候+大国との国境線であるという極限状況であるからこそ、「ブリッグズの北壁」の性格の強烈さも際立つというものです。

16巻はとにかくブリッグズ山の気候とアームストロング少将。またまた今後の展開が楽しみになってきたぞー。

2007年3月28日 (水)

クローバー増殖計画

Nec_0015_27 元来うちの庭と畑にはクローバーはなかったのですが、土を肥やしヤギを肥やすために、ご近所の自生のやつをモモ散歩の途中移植ゴテで掘り返しては畑に移植しています。

我ながら気の長い話です。

マメ科のクローバーは土地を肥やします。その上ヤギや牛に食べさせると乳の出がよくなるのです。まことに有益な植物であります。

ヨーロッパの伝統的農法に三圃制農業というのがあります。手持ちの土地を3つに分けて囲い、1.野菜や小麦などの作物、2.クローバーなどの牧草地、3・牛、馬、羊などの放牧地に使用し、それを順番に廻していくという手法の農業です。ヨーロッパ中世末期に開発されたこの農法こそが、生産性を飛躍的に拡大させ、その後のヨーロッパの発展を支えたのです。

というのもほとんどの作物には「連作障害」があり、同じ土地で同じ作物を作り続けると必ずその土地が痩せたり病気が入ったりしてしまうのです。三圃制農業はほとんど労せずしてしかもコストをかけずにこの問題を解決した画期的な農法でした。

その後化学肥料や農薬の発達で、この農法は時代遅れとされてしまったのです。しかし農業国フランスなどではこの農法のコスト安やリスクの少なさ(薬を使わない)のすばらしさが見直され復活しているそうです。日本の有機農法の基本の考え方もこれですよね。

まあ、うちの農園もささやかながら長く細く豊かに使いたい土地なので「散歩の途中にひっこやしてきた1株か2株のクローバーを三畝の畑に1、2箇所づつ植えていく」という、地道すぎる方法でも「何年か続けて必ずクローバーの牧草地に」したいと思うております。

2007年3月27日 (火)

タラノキ

Nec_0007_26今年もタラの芽が出てきました。春たけなわであります。

タラノキはひょーんと一本幹が棒のように延びて上のほうで傘のように葉が広がるのですが、うちのタラノキの元木は大きくなりすぎて2m以上上で傘を広げますので手が届きません。

いつも頭のはるか上でおいしそうな若芽が伸びていくのを、文字通り指をくわえて見ています。

しかし、よくしたもので毎年元木の周辺の地面から小さなタラノキが続々芽を出してくるのです。ありがたいことです。いつもここからタラの芽をちぎっています。翌年のために全部をちぎりとらないよう注意深く残します。

庭から採りたてのタラの芽のてんぷらはおいしいもんな。贅沢贅沢。

しかしヤギにもこれはおいしいらしい。人間がこれほど注意深くタラノキ様を大事にしているのに、タラノキのところに頭を突っ込んできれいに丸坊主にしたりしております。油断も隙もない。贅沢品にはライバルが多い。真理。

2007年3月26日 (月)

マメ科

Nec_0004_27 野ではカラスノエンドウやスズメノエンドウが花をつけ、畑ではソラマメやエンドウマメがはや花をつけています。いろんなマメ科の植物が花盛りです。

野生も園芸種もマメ科植物は一目見ただけで「あ、豆の仲間だ」とわかる独特の感じがありますね。だいたいがツルを持ち、奇数羽状複葉か3出の丸っこい葉を持ち、花の形もみんなエンドウに似ています。莢ができて中に豆ができるのも共通。たいへんかわいらしい。「ジャックと豆の木」のジャックが思わず登りたくなるのもわかるというものです。あれが他の植物、バラ科とかだったら絵にならない。

かわいらしい上に実が人間の食用になるものが多く、茎は家畜の飼料に、さらに根に地中の窒素を固定する根粒を持っているので、植えるだけで土地を肥やす、という人間にとってたいへんありがたいマメ科。

古来からそこのところいろいろ感じるところがあったのでしょう。節分に大豆をまいたり、お祝い事に赤飯を炊いたり、大豆や小豆に魔除けの意味があるのも無理からぬところです。

なにより食べるとおいしい。

そろそろうちもインゲンとエダマメと落花生を植えなくちゃ。

2007年3月25日 (日)

危険な春の寒冷前線

Nec_0003_30 「春の寒冷前線は危険だ」と言われております。

「人間の精神状態にマイナスの影響を及ぼす」という統計が出ているのです。

春、寒冷前線が通過する直前に、事故や自殺、殺人などが起こる確率が跳ね上がってしまうのだと。

怖いですね~~~!

遠くに雨雲が近づいてきて、雷の気配なんかして、春先なのに気温が急上昇して妙に生暖かい、そういうときは確かにイライラするしちょっとしたことにも神経がとがります。ヤギはめーめー啼くし、犬はワンワン吼えるし、鶏はケンカするし、動物達も不安定になりますが、人間ももろに動物として大気の影響を受けるわけですね。

「人間の精神」なんて、そういうちょっとした外からの影響で左右される不安定でもろいシロモノなのです。

今、インフルエンザの薬タミフルの副作用が問題になってますが「何をいまさら」です。医療先進国アメリカでタミフルの副作用による飛び降りが続出していることは、3年ぐらい前の週刊ポストみたいな週刊誌でも載ってたぐらい周知のことだと認識しておりましたが?そのときの記事はその種の危険な副作用の例を何例も挙げ「日本の厚生労働省は副作用について熟知していながら鳥インフルエンザを理由に世界中のタミフルを買い占めて(たしか2/3だったか)いる。そこにある種の裏金が発生しているのではないか?」という内容でした。

ドンピシャじゃん。

鳥インフルエンザについても以前のエントリーにも書きましたが、「野鳥より薬漬けの近代的大規模養鶏所こそが危険」なのです。そこんとこどういう利権が絡んでいるのやらマスコミは巧妙な情報操作をしてやたらと危機感を煽っています。

ふふん。

「寒冷前線にすら揺れる人の心」を商売にしやがって、お前らきっとバチが当たるぞ。

2007年3月24日 (土)

イチジクの芽

Nec_0002_34イチジクの芽がでています。

去年の秋の木市で買ってきたのですが、売り子のお姉さんの話では今年もう実がなるそうなので楽しみなことこの上なし。

鹿児島ではイチジクをあまり見ないし、食べる習慣もあまりないけれど、イチジクのジャムとかタルトとかおいしいですよね~~。もう、今年なってくれるのが楽しみで楽しみで。

そういえば、エデンの園でアダムとイブが禁断の木の実を食べて「エロスと恥じらい〈ウワオ!)」を人類史上初めて覚えたときに、局所を隠すのにイチジクの葉を使ったと言う説がありますね。

これがイチジクってのが地域性だなあ、と。

「大きくて局所を隠すのにちょうどいい葉」ならば、別にカシワでもヤツデでもいいわけですよ。サトイモの葉とか大きくていいぞお。なのに敢えてイチジク。つくづくエデンの園ってのは日本にあると想定されてないんだなあ。イチジクがそこらにふんだんに生えていてよく使う地域の発想だと思います。

もっとも、わが古事記には「エロスが罪」という発想はないので(ブラボー!!)八百万の神々にそんな局所隠しなど必要ありますまい。アメノウズメノミコト様は天岩戸の前でモロダシのストリップ。イチジクの葉など必要としておりません。すばらしい。

2007年3月23日 (金)

ツクシ

Nec_0001_30 いやはや土手の上にツクシがでておりました。春でございます。

「土の筆」とはよういうたもので、ツクシは筆に似ております。形はなかなかにラブリー。だいたいスギナと同じ植物なのが信じられん。ツクシがにょきにょき生えてきて「かわいいな」などと油断してはなりません。こやつらはとんでもなく強い。

あれよあれよというまにわんわんスギナが生えてきて、またこれが根が強いので引き抜くことができず往生する羽目に。

スギナが栄養確保担当、ツクシが繁殖担当なのだそうです。つまりツクシが生えてきたらそこから確実にスギナが増えるというわけですな。やれおそろしやおそろしや。

まあ、ツクシは春の味覚と言えんこともないですが。「うまくてうまくてたまらん!」というほどではないような気も。スギナのほうは全草を乾燥して利尿薬になるそうです。

2007年3月22日 (木)

春分

Nec_0048_4 昨日は春分の日だったのでありました。うららかな春の日で気持ちが良かったなあ。

昔、妹と奈良の二上山に登ったことがありました。二上山は「春分と秋分にふたこぶラクダのこぶのようになった山のくぼみのど真ん中に日が落ちる」山です。低い山なのですがよく「古代人が天文に利用していた」と言われて伝奇ミステリーの舞台になってます。五木寛之の「風の王国」とかですね、話題になったときがありました

そういう伝説があってもおかしくないぐらい、なかなかに雰囲気たっぷりな山でした。奈良時代の政争で処刑された志貴皇子の碑があったり。登ったのはよく晴れた冬の日だったんだけどなんとなく山そのものが薄暗かった。鹿児島の山のように照葉樹林がわんさか生えているわけじゃないのに、空気が暗い。

有名な山のはずなのにその日は他に誰も登る人がいず、頂上まで二人で黙々と登りました。頂上にでてかなり開けた場所になって小春日和の日ざしが射していても、やっぱりなんとなく暗い。細い分かれ道があったので「そっちに行って見ようか・・・」と何の気なしに行ってみたら、そこは古い石切場の後。これまた荒涼として雰囲気たっぷり。あいかわらず人けがない。

なんとなく怖くなってきて「降りるか」といそいそ降り始めたら、迷ってしまった。ますます背筋が寒くなってきて二人してだんまり黙ったままもくもくと歩き続けたわけです。

道の先のほうからがさがさと何かの気配がしてきたので、妹と顔を見合わせる。気の強い妹の顔にも「怖い」と描いてありましたね。たぶんわたくしの顔はもっと引き攣っていたことでしょう。

がさがさがさ・・・・・・

ススキの藪を掻き分けて出てきたのは一眼レフのカメラとカメラマンのベストをつけた禿げたおっさんでした。

「待った、待った。わたしはこういう者です!」

わたくし達の顔がよっぽど引き攣ったのでしょう、おっさんが名刺を出してきました。毎日新聞の名古屋支社の人でした。休暇を利用して登りに来たのだそう。やっぱり「風の王国」を読んだのだとか。

古代人のミステリーや奈良の政争の恨みは吹っ飛んで、いきなり現実の社会に戻りましたです。

おっさんも道に迷って途方に暮れてたようですが、「三人寄れば文殊の知恵」と言いましょうや、人間冷静になると道が開けるものです。なんとかわかりにくくなっていた分かれ道を探し出して無事に下山いたしましたです。

教訓:二上山みたいな低い山でも、パニくると素人には怖い。おっさんの禿は人の心を現実に戻す効果がある。

あのときの毎日新聞の方、ありがたく心強かったです。いまだに感謝いたしますです。