よく玄関に植えられている(『難を転ずる』という縁起物だし)南天の木は、もともと野生の状態では山の中の大きな木の根元にへばりつくように生えています。それでもってある程度日陰である程度日が差さないとダメなの。
そういう日照条件とか、湿度とか、野生の植物はたいへん気難しいものです。動物だってある程度飼いならされた歴史のある動物より、野生動物を飼うほうが格段に難しいでしょ?
植物もそれと同じなの。野生で生えているものを移植して野生状態と同じように繁茂させるのはとてもとても難しいのです。だから「採ってはいけない」とされている植物を、山や野から採って帰るのはほんとにナンセンス。そのままにしてるより何百倍も何千倍も手間がかかるというものです。
さて、南天ですが、今必死に藪払いをしている椿の林に自生してました。南天や万両、千両といった植物も、実をよく鳥が食べて糞にして撒き散らしてくれます。よって思いもよらないところに生えてくるものなのです。
まあ、ここに生えてきてもなあ、役にはちっとも立たないんだけれどなあ。でもこの世のほとんどの植物ってのはそんなもんでしょ。少なくとも光合成をして二酸化炭素を減らしてくれてるという大働きはしてるわけだし。「難も転じて」くれるわけだから・・・・・。などといいつつほっといてあります。椿の林の南天。
ムベでございます。鹿児島弁で「ウンベ」と申します。秋の山遊びの際に、よく食べました。山の果実にしてはとても甘いんです。種はむちゃくちゃ渋いけど。
うち、今、「もおおお!いい加減にしてくれ!!」と喚きたくなるぐらい畑中がアケビまみれでして、毎日毎日毎日毎日アケビのツルを払ってます。それでもとり損ねたアケビが秋には鈴生りの実をつけることでしょう。そしてその実が落ちてそこから芽がでてくることでしょう。鳥さんたちが食べてウンチにしてばら撒く種もただ事ではありません。というか、ほとんど自生してくる野生の植物は、どこの何様とも知れぬ鳥さんたちの粗相の結果でありましょう。
畑のこの状態ならば、同じアケビ科のウンベがどこかに自生していないはずが無い、と読んでいたのですが、どんぴしゃ!
ありましたよ。ウンベ。大繁殖したアケビのツルに混じってひっそりと。周りのアケビは全部剥ぎ取ってヤギに食わせましたが、ウンベはとっておきました。もっともどこがなにやらわからないほどアケビと絡まりあっていたので多少アケビと一緒にヤギの胃に入ってしまいました。
大事にしとこう。ウンベの株なんて木市やサカタのタネでかなりお高い値段で売ってるぐらいだもんな。秋が楽しみじゃ。
庭の南側の隅に大麦が固まって生えてきてます。まったく植えた覚えがありません。たまげたど。
「ロビンソン・クルーソー」の中のエピソードを思い出したぞ。
無人島に流されてパンを何年も食べることができず、「麦、麦、麦」とそればかりを考えていたクルーソーの前に、いきなり大麦の株が。「神の恩寵だ!」と感動に打ち震えるクルーソー。
種を明かせば、鶏の餌の袋をひっくり返してはたはた叩いた場所だった、ということで。袋の中の鶏の餌の麦から芽がでてきたんだな、これが。文字通りの種明かし。なんでもかんでも「神、神、聖書、聖書」のプロテスタント的発想にはついていけないkれど、揺れる麦の穂を見つけたときのクルーソーはどんなにかうれしかったろうなあ。
「麦、麦、麦」とは今のわたくしも同じ気持ちです。「ヤギ餌用に麦類を植えたろう」とエンバクやヒットソルゴーの種を取り寄せたところだったのです。こういうときに植えた覚えもない大麦が生えていると、とてもうれしいぞ。
でもうちの大麦はなんで生えてきたのかわかりません。
ご存知のようにツツジはきれいに剪定すると、「花のぼんぼりかじゅうたんか」という状態になります。一年のうちでこの季節だけですが。
昔はそういうツツジのじゅうたんをなんとなく「だっせー!」と思っていたのですが、どうしてそんなふうに感じてたんでしょうか。とても美しいものなのに。ツツジそのものがあまりにもありふれていて、木の単価もとてもお安いものだからかな。
よく手入れされ世話されて、時間をかけて人の手が入っていることの美しさ。それこそが貴重で贅沢なことなのになあ。
――――などと、えらそうに言ってますがうちのツツジは全部野放し。ぜんぜん手が入ってねえ。ふと、今を盛りとけなげに咲いている平戸つつじを見て「やっぱちょっとは手を入れてやって剪定しよう」と心に思ったことでしたよ。
やっと隣の畑まで道が開けました。2日かかったよ。木を切るのは簡単なんだけれど、蔓がねえ・・・・・。十重二十重ととんでもない方向から絡み付いているので、一箇所を切り離してもぜんぜんなの。腰のベルトに指した手鋸と剪定ばさみをフル活用、手鋸で木を切っちゃあ蔓をはさみで切る、それの繰り返し。藪のど真ん中では、もう自分がどっちを向いてるのかどんなポーズをとってるのかさっぱりわからなくなるほど、とんでもない状況です。何度も途中で挫折しかけましただよ。
でも、これで隣の畑との境を切って、ヤギ運動場に放り込む道ができました。はああ、よかった、よかった。
蔓の藪にはしたくないです。近年暑い夏が続いてます。藪にしてしまうと山蛭だのがわきそうで。自分ちの庭畑にそんなのわかすの絶対やだし。ご近所にもご迷惑かけたくないし。
開けると、すぐ日が差してきます。それも気持ちがいい。
ヤギ運動場の南側の藪を払って、隣の畑まで通り抜ける道を作ること。
と、方針を立てたはいいものの、いやあこれがなかなかに困難な作戦でございました。椿の木が密植されてそれが全部4mぐらいの高さになって、さらにはツルウメモドキやアケビ、スイカズラなどの蔓性植物が十重二十重に巻きついて、もうどこがどうなっているのやら。
愛用の手鋸をヤスリで研いで、剪定ばさみと共にベルトのケースに挟み、いざ出陣。切れども切れども網のように絡まりあった蔓が邪魔をして、まるでハンモックのごとくゆさゆさゆらゆらと揺れるばかり。
夏でもないのに大汗をかきかき、なんとか隣の畑が木立の向こうに見え始めた頃には、もうとっぷり日が暮れておりましたよ。
後は後日となりました。が、しかし明日、あさっての予報は雨。まあ、いい。雨が降ったら骨休めといたしましょうか。
最近のコメント